山根寿一(第13旅団長・陸将補)|第33期・陸上自衛隊

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その山根が陸上自衛隊に入隊したのは平成元年3月。

1等陸佐、陸将補に昇ったのがそれぞれ20年1月、26年8月であったので、33期組1選抜(1番乗り)のスピード出世だ。

原隊(初任地)は岩手県に所在する第9特科連隊であり、同地で初級幹部として、厳しい自衛官生活のスタートを切った。

(画像提供:陸上自衛隊第13旅団公式ツイッター

その後平成9年には、中東ゴラン高原で展開されていたPKO活動の一環として現地に赴任。

なおこの際の活動はUNDOFの司令部要員として赴いたもので、イスラエル軍とシリア軍の間に物理的に割って入り、停戦を担保するための非常に危険なものであった。

実際に、この活動への自衛隊の派遣は2012年に打ち切られたが、打ち切りの理由はシリアの内戦激化による治安の悪化であった。

そのような厳しい任務であったこともあるのだと思うが、若き士官であった時代にUNDOFでゴラン高原に赴いている幹部は、その後多くのものがとても目立つ存在になり、活躍をしている。

もちろん山根も、その一人である。

 

また帰国後の山根だが、職種部隊では富士学校特科部を経て、大隊長ポストは真駒内に所在する第11特科連隊第1大隊で着任。

連隊長には、豊川に所在する第10特科連隊で上番した。

また中央(陸上幕僚監部)では、班長ポストは防衛部防衛課の防衛班で経験。

課長ポストは装備部装備計画課で務めている。

その間、20年3月からは米国国防大への留学を経験するなど順調にキャリアを重ね、26年8月に陸将補に昇任。

最初のポストとして、先述のように沖縄地方協力本部長を任され、そして富士学校特科部長、東北方面総監部幕僚副長を経て、30年8月から第13旅団長を務めている。

陸上自衛隊の最高幹部らしい、見本のようなエリートコースを歩んできた将官の一人と言ってよいだろう。

 

では最後に、その山根と同期である33期組の人事の動向について見てみたい。

33期組は2014年に最初の陸将補が選抜され、2020年に最初の陸将が選抜される予定になっている年次だ。

そして2019年1月現在で、以下の幹部たちが陸将補の任にあたっている。

 

冨樫勇一(第33期)・陸上幕僚監部人事教育部長(2014年8月)

山根寿一(第33期)・第13旅団長(2014年8月)

牛嶋築(第33期)・東北方面総監部幕僚長兼ねて仙台駐屯地司令(2014年8月)

末吉洋明(第33期)・陸上幕僚監部運用支援・訓練部長(2014年8月)

廣惠次郎(第33期)・陸上幕僚監部指揮通信システム・情報部長(2015年3月)

児玉恭幸(第33期)・陸上幕僚監部監察官(2015年8月)

梅田将(第33期相当)・大阪地方協力本部長(2015年12月)

酒井秀典(第33期)・第1ヘリコプター団長兼ねて木更津駐屯地(2016年3月)

宮本久徳(第33期)・第1高射特科団長(2016年12月)

堀江祐一(第33期相当)・陸上自衛隊高等工科学校長兼ねて武山駐屯地司令(2017年3月)

楠見晋一(第33期)・中央情報隊長兼ねて陸上総隊司令部情報部長(2017年8月)

更谷光二(第33期)・東北方面総監部幕僚副長(2018年3月)

※肩書はいずれも2019年1月現在。( )内は陸将補昇任時期。

※2018年8月以降の将官人事で昇任した陸将補の確認が未了のため、加筆する可能性あり。

 

以上のような状況になっており、まずは冨樫、山根、牛島、末吉の4名が中心になって、33期組の最高幹部人事は進んでいくことになるだろう。

 

山根についても、2020年夏の将官人事で陸将に昇任し、いずれかの師団長に着任することはほぼ確実な情勢だ。

まだ先のことなのでその師団は見通せないが、そのキャリアから考えて1、3、4、8あたりが考えられるのではないだろうか。

いずれにせよ、この先2020年代半ばにかけて、我が国の平和と安全にもっとも重い責任を担っていくことは確実な山根のご紹介であった。

その活躍には今後も注目し、そして応援していきたい。

 

※文中、自衛官および関係者各位の敬称略。

(画像提供:陸上自衛隊第13旅団公式ツイッター

◆山根寿一(陸上自衛隊) 主要経歴

平成
元年3月 陸上絵自衛隊入隊(第33期)
2年 月 第9特科連隊(岩手)
8年 月 中央資料隊付(市ヶ谷)
9年 月 ゴラン高原PKO(UNDOF)司令部要員(ゴラン高原)
10年 月 陸上幕僚監部防衛部運用課(市ヶ谷)
10年 月 陸上自衛隊幹部学校(目黒)
12年1月 3等陸佐
12年 月 富士学校特科部(富士)
13年 月 陸上幕僚監部防衛部防衛課(市ヶ谷)
15年7月 2等陸佐
17年8月 第11特科連隊第1大隊長(真駒内)
18年8月 陸上幕僚監部防衛部防衛課(市ヶ谷)
20年1月 1等陸佐
20年3月 陸上自衛隊中央情報隊付・米国国防大留学(米国)
21年8月 陸上幕僚監部防衛部防衛課防衛班長(市ヶ谷)
23年8月 第10特科連隊長兼ねて豊川駐屯地司令(豊川)
24年7月 陸上幕僚監部装備部装備計画課長(市ヶ谷)
26年8月 自衛隊沖縄地方協力本部長(那覇) 陸将補
28年7月 陸上自衛隊富士学校特科部長(富士)
29年8月 東北方面総監部幕僚副長(仙台)
30年8月 第13旅団長(海田)

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