竹本竜司(第1師団長・陸将)|第31期・陸上自衛隊

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その竹本が陸上自衛隊に入隊したのは、先述のように昭和55年15歳の春。

幹部候補生学校には昭和62年3月に入校なので、防衛大学校は第31期の卒業となる。

1等陸佐、陸将補、陸将に昇ったのがそれぞれ平成18年1月、24年7月、30年8月であったので、全ての階級を1選抜(1番乗り)で昇ってきた、文字通り31期を代表する最高幹部だ。

原隊(初任地)は北熊本に所在していた第8特科連隊であり、同地で初級幹部として、厳しい幹部自衛官生活のスタートを切っている。

(画像提供:陸上自衛隊第1師団公式フェイスブック

その後、職種部隊では大隊長ポストを湯布院に所在していた第112特科大隊長で経験。

連隊長ポストは、岩手県の第9特科連隊で上番した。

中央では、班長ポストを陸上幕僚監部の人事部補任課人事第1班で、課長ポストは統合幕僚監部の運用部運用第2課で、部長ポストは陸上幕僚監部の人事教育部でそれぞれ着任している。

なお統合幕僚監部の運用2課長ポストはエリートの指定席であり、このポストを務めたものは後職でほぼ例外なく、1選抜で陸将補に昇任しているが、竹本もその一人である。

そして平成29年8月、真駒内の第11旅団長を務めた後、30年8月に陸将に昇任すると第1師団長に着任。

我が国の顔として、この頭号師団を率いる名誉と重責を担い続けている。

 

ところでこの第1師団長というポスト。

「平成30年度自衛隊記念日観閲式」では陸自が担当であったために、すなわち第1師団長である竹本が取り仕切ってこの国家的行事を成功させるという大役を果たしている。

しかしこれだけではない・・・

2019年にはさらにとんでもない、国家的行事に第1師団が参加することになっている。

10月に予定されている、新天皇の即位の礼だ。

あるいは竹本は、2019年夏の将官人事で次のポストに異動になる可能性もあるが、もしかしたらこの数十年に一度となる国家的慶事を任される師団長と言うことになるかも知れない。

いろいろな意味で、凄いタイミングでの第1師団長の重責と言うことになりそうだ。

 

では最後に、その竹本と同期である31期組の人事の動向について見てみたい。

31期組は、2018年夏の将官人事で1選抜の陸将が選抜されたばかりの年次にあたる。

そして2019年1月現在では、以下の幹部たちがその任にあたっている。

 

竹本竜司(第31期)・第1師団長(2018年8月)

沖邑佳彦(第31期)・第4師団長(2018年8月)

前田忠男(第31期)・第7師団長(2018年8月)

※肩書はいずれも2019年1月現在。( )は陸将昇任時期。

 

上記のようになっており、31期組についてはこの3名で、同期の陸幕長候補が出揃ったと考えてよいだろう。

本来であれば、4名が1選抜で陸将に昇任するのが慣例なのだが、2018年夏の将官人事では3名の陸将昇任に留まっているのが、31期組人事の特徴だ。

程なくして4人目が陸将に昇ると思われるが、あるいは陸自大改革か、もしくは自衛官の定年延長の影響で、人事の流れが少し変わったのかも知れない。

 

竹本については、間違いなく31期組の陸上幕僚長候補としてこの先も、要職を担い続けるだろう。

技術系の幹部ということで、あるいは防衛装備庁の技術系の要職を担う将官となるか。

あるいは人事や教育訓練系の補職が多いキャリアであることから、教育訓練研究本部長を担うのではないかという予測も考えられたが、今のところそのルートは無さそうだ。

おそらく2019年夏の将官人事で陸上幕僚副長や富士学校長、防衛大学校幹事などに昇ることになるのではないだろうか。

 

いずれにせよ、この先2020年代前半にかけて、我が国の国防にもっとも重い責任を担うことは間違いのない、竹本である。

その活躍にはこれからも注目し、そして応援していきたい。

 

※文中、自衛官および関係者各位の敬称略。

(画像提供:陸上自衛隊第1師団公式ウェブサイト

◆竹本竜司(陸上自衛隊) 主要経歴

昭和
55年4月 陸上自衛隊入隊(少年工科学校第26期)
59年3月 防衛大学校入学
62年3月 陸上自衛隊入隊(第31期)
63年3月 第8特科連隊(北熊本)

平成
2年3月 霞ヶ浦駐屯地業務隊付(筑波大博士課程)(霞ヶ浦)
7年3月 装備開発実験隊(富士)
9年3月 幹部学校・技術高級課程(目黒)
10年1月 3等陸佐
10年3月 技術本部(誘導武器開発官付)(三宿)
12年3月 陸上幕僚監部人事部補任課(檜町)
13年7月 2等陸佐
13年8月 第112特科大隊長(湯布院)
15年8月 陸上幕僚監部教育訓練部教育訓練課(市ヶ谷)
16年3月 陸上幕僚監部教育訓練部教育訓練計画課(市ヶ谷)
17年8月 幹部学校(目黒)
18年1月 1等陸佐
18年8月 陸上幕僚監部人事部補任課(市ヶ谷)
19年8月 陸上幕僚監部人事部補任課人事第1班長(市ヶ谷)
21年8月 第9特科連隊長(岩手)
22年7月 統合幕僚監部運用部運用第2課長(市ヶ谷)
24年7月 東部方面総監部幕僚副長(防衛)(朝霞) 陸将補
25年8月 東部方面総監部幕僚副長(行政)(朝霞)
26年8月 自衛隊東京地方協力本部長(市ヶ谷)
27年8月 陸上自衛隊富士学校特科部長(富士)
28年7月 陸上幕僚監部人事部長(市ヶ谷)
29年3月 陸上幕僚監部人事教育部長(市ヶ谷)
29年8月 第11旅団長(真駒内)
30年8月 第1師団長(練馬) 陸将

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2件のコメント

技術系では、異例の出世頭?
その人柄が周りを和ませる、素晴らしい方です。

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