【退役】佐伯精司(さえき・せいじ)|第28期相当・海上自衛隊

佐伯精司は昭和35年8月生まれ、神奈川県出身の海上自衛官。

東京大学を昭和59年3月に卒業し、同年海上自衛隊に入隊しているので28期相当の幹候35期だ。

平成29年12月20日(2017年12月20日) 潜水艦隊司令官・海将のポストを最後に勇退。

東大出身の英才で、数多くの功績を残した海の男がまた一人、海上自衛隊を去った。

【以下、2017年12月15日加筆】

東大出身の英才であり、幅広い分野に活躍を見せてくれた指揮官であった。

国際貢献活動の現場でも数多くの指揮を執り、また多くの臨機応変な対応をみせ、シーレーン防衛に貢献。

その仕事ぶりに対する評価は常に高く、海上自衛隊に対する国際的評価を高める上でも顕著な功績を残した。

第1護衛隊群司令としてインド洋に洋上給油任務に赴くなど、印象的な仕事は枚挙に暇がない。

このタイミングで退役になるとは全く予想もしていなかったが、海上自衛隊も2018年12月には、27期組の幕僚長が誕生する見込みになっている。

26期はもちろん、27-28期の将官の中からも退役するものが出始める頃合いだ。

なお、今回の異動で同期の菊地聡(28期)が、舞鶴地方総監から佐世保地方総監に転じた。

これにより、28期組の幕僚長候補レースは海上幕僚副長の山村浩(28期)と菊地の一騎打ちになりそうだ。

東大出身の英才で、実績十分の佐伯が絡み、盛り上がればと期待していたが、残念であり寂しく思う。

まずは、40数年ぶりとなるゆっくりのんびりした年末年始を過ごし、穏やかなお正月をお迎え下さい。

長い間、本当にお疲れ様でした。

佐伯海将の第二の人生が非常に充実したものでありますことを確信し、心から祈念いたします。

【以下、2017年9月21日加筆】

2017年9月現在、医官と技官を除き唯一の一般大学卒業生で海将を務める佐伯だ。

それだけに、一般大学からの海上幕僚長誕生があるのかが注目されるところだが、今のところ防衛大学校1期生が海上幕僚長に就任して以降、東大出身と言えども、一般大学卒業生からの海上幕僚長は1人も誕生していない。

その海上幕僚長に一般大学卒業生として就任したことがあるのは史上2人のみ。

1人は初代の海上幕僚長である山崎小五郎で東京帝国大学(東京大学)出身であるが、旧軍関係者がトップになりづらい戦後間もなくであり、これは例外と考えるべきであろう。

もう1人が第17代の東山収一郎(東京水産大学)。

東山が海上幕僚長に就任したのは1987年であったが、実はこの時期、旧軍の海兵出身者による将官が続々退役の年を迎え、なおかつ防衛大学校第1期卒業生がまだ将官に届いていない時期にあたる。

主に1982~1988年あたりの時期がこれにあたるが、この頃は陸上自衛隊の方面総監級もほぼ全員が一般大学卒業生という、今から考えれば異様な時期が続いた。

そのため、東山の一般大学卒業生からの海上幕僚長就任も極めて例外的な時期の産物であると言って良いだろう。

つまり、海兵出身者や防衛大学校出身者たちとの出世競争を勝ち抜き、一般大学出身者から海上幕僚長に就任したものは未だ一人も存在したことがないと言う状況だ。

佐伯はそのポストに、一步近づいた存在になっているといえる。

では気になる、同期の他の海将たちの様子はどうなっているのか。

2017年9月現在で、海将のポストにある28期(相当)の最高幹部は、医官や技官を除き、以下の4名。

菊地聡(28期)・舞鶴地方総監(航空出身)

佐伯精司(28期)・潜水艦隊司令官(水上艦艇出身)

佐藤直人(28期)・補給本部長(後方支援出身)

山村浩(28期)・海上幕僚副長(水上艦艇出身)

全員、1等海佐に昇ったのは同時期で、1選抜の平成15年1月だ。

その後海将補に昇ったのは菊地と山村が1番乗りで21年7月。

1等海佐を6年でパスする順調なキャリアである。

佐伯は22年3月、佐藤は23年8月とやや出遅れている。

そして海将に昇ったのは山村が最も早い27年8月。

そして菊地の27年12月、佐伯と佐藤の28年12月と続く。

このように見ると、28期組の海上幕僚長候補の筆頭は今のところ山村であることは間違いないだろう。

そしてそれを、航空出身である菊地が追う構図になっている。

なお、詳細は上記山村浩のページで詳述しているが、あるいは第33代海上幕僚長である村川豊(第25期)の後任である第34代海上幕僚長には、間を2期飛ばして山村がいきなり就任する可能性もあると見ている。

常識的に考えれば、そのポストに就くのは自衛艦隊司令官である山下万喜(第27期)であることは誰も疑いのないところだが、可能性として十分あり得るだろう。

しかし番狂わせがあるとすれば、この佐伯精司がその主役になるかもしれない。

佐伯のキャリアは、その肩書だけでは見えないほどに驚くほど海上自衛隊の指揮官として豊富なキャリアを積んでおり、また2等海佐でありさわぎりの艦長であった時代から、多くの海外経験を積んでいる。

さわぎりの艦長であった時は2002年。

アメリカ同時多発テロの発生を受け、我が国でもテロ特措法が成立し、インド洋などに海上自衛隊が派出され、洋上給油活動を行っていたことを記憶している人は多いだろう。

この時から佐伯は、洋上補給活動に指揮官として参加し、豊富な軍事外交経験を積んでいる。

また2008年からは、第1護衛隊群司令としてやはりインド洋に赴き、7カ国の海軍艦艇に洋上給油を行った。

なおこの際に洋上補給をした艦艇のうち、ドイツ海軍所属の「エムデン」は、実際に我が国が保有するタンカーがアデン湾においてロケット砲による攻撃を受け損傷を受けた時、直ちに現場に駆けつけ海賊を撃退する活躍を見せてくれている。

他にも同様に、同海域において佐伯が給油した各国海軍所属の艦艇が我が国のシーレーンを守ってくれた事例は事欠かないが、このような事実を日本の「どうしようもない」マスコミは決して伝えない。

それどころか、海上自衛隊の国際協力活動はまるでアメリカに言われて渋々やっている施しのように報道する左派系の新聞ばかりであり、日本のメディアが伝える情報からは、何一つ真実が見えてこない。

実際はこのように、日本が直接武力行使をできないが故に、各国海軍の後方支援を行いながら、我が国のシーレーンを守って貰っていたという側面が大きい。

本来であれば、海上自衛隊が自ら行うべき任務であるはずだが、政治家の怠慢とメディアのプロパガンダにより、そのような活動がなかなかできない状況が続いているのは残念な限りだ。

なお佐伯が第1護衛隊群司令としてインド洋に赴いたのは、自民党の福田内閣の時だ。

自民党と民主党の議席が参議院で逆転してしまい、どのような法案を国会に提出しても、民主党代表である小沢一郎が全て審議を拒否し、その結果最初に成立したテロ特措法が期限切れとなってしまって、やむなく海上自衛隊が一時撤退をする事態に陥っている。

佐伯はその補給活動再開の第一陣であったわけだが、我が国のシーレーンを守る活動から海上自衛隊が撤退し、後方支援にすら顔を出さないという事態がどれほど我が国の国益を損なったであろうか。

にも関わらず、そのことをまるで英雄的行為であるかのように報道するマスコミの報道などもあり、その後自民党は衆議院でも惨敗し、民主党政権が成立することになった。

一義的にはメディアの報道姿勢に責任を求めることも出来るかもしれないが、いい加減に日本国民も、もう少しメディアリテラシーを身につけるべきであろう。

この際に民主党が取った行動がどれほど我が国の国益を傷つけ、自衛隊に要らぬリスクを背負わせたか。

1社くらいはまともな報道姿勢のメディアが出ても良さそうなものだが、今のところその兆しはまったくない。

話を元に戻す。

そのように非常にキャリア豊富な佐伯だが、あるいは平時においては、史上初とも言える一般大学からの海上幕僚長就任も考えられたであろう。

特段の安全保障上の脅威がない限り、豊富な海外経験は我が国の海軍外交にも大いに貢献してくれるものとなるはずだからだ。

一方で2017年は、抜擢人事を行える余裕があるとはいい難い南西方面での中国人民解放軍の活発な動きが続いている時だ。

このような時期には、やはり同じ水上艦艇出身でも、自衛隊内に異論が少ない人事を行い、しっかりと将士のバインドを行える幹部がトップに立つことになるであろう。

とは言えおそらく、順当に考えれば次期海上幕僚長は恐らく山下万喜(27期)である可能性が高いので、そうなれば次の次の海上幕僚長という人事もありえるだろう。

さすがにその頃には、実績も含めて何があるかわからず、人事も予想し難いものになる。

佐伯だけでなく、その他の28期組高級幹部も含め、その動向を注視して見守りたい。

◆佐伯精司(海上自衛隊) 主要経歴

昭和
59年3月 海上自衛隊入隊(第28期相当)

平成
7年1月 3等海佐
10年7月 2等海佐
12年3月 第1護衛隊群幕僚
13年8月 さわぎり艦長
14年8月 海上幕僚監部補任課
15年1月 1等海佐
17年8月 海上幕僚監部防衛課防衛班長
19年3月 第1護衛隊群司令
20年8月 海上幕僚監部指揮通信課長
22年3月 第3護衛隊群司令 海将補
23年8月 統合幕僚監部指揮通信システム部長
25年8月 舞鶴地方総監部幕僚長
27年3月 海上幕僚監部装備部長
27年10月 海上幕僚監部装備計画部長
28年12月 潜水艦隊司令官 海将
29年12月 潜水艦隊司令官のポストを最後に退役
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【注記】

このページに使用している画像の一部及び主要経歴は、防衛省のルールに従い、防衛省のHPから引用。

主要経歴については、将補以上の階級のものにあっては防衛年鑑あるいは自衛隊年鑑も参照。

自衛官各位の敬称略。

※画像はそれぞれ、軽量化やサイズ調整などを目的に加工して用いているものがある。

【引用元】

防衛省海上自衛隊 第3護衛隊群公式Webサイト(顔写真)

http://www.mod.go.jp/msdf/ccf3/23nygre/index.html

防衛省海上自衛隊 自衛艦隊公式Webサイト(おうみ洋上補給写真)

http://www.mod.go.jp/msdf/sf/news/W006H0000152.html

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