その塩入が陸上自衛隊に入隊したのは平成11年3月。
原隊(初任地)は、気合の入った幹部の多くが熱望する北海道にあって、函館に所在する第28普通科連隊であった。
先述のように、塩入の職種は普通科だが、その普通科の初級幹部としての知見をこの北海道で積み上げている。
(画像提供:陸上自衛隊第8師団公式Webサイト)
そしてその塩入の原隊経験は、いきなりのハードモードだ。
着任して2年余りで、PKO活動の一環として政情不安定な東ティモールに派遣施設群の一員として参加。
8ヶ月の任務を終えると原隊に戻るが、さらにその1年余り後にはさらに政情が不安定なイラク戦争後のバクダッドに、第2次イラク復興支援群の一員として参加している。
国際経験豊富といえばカッコいいが、いきなりの厳しい現場に幹部に任官したての若者が放り込まれることになり、骨太な20代を過ごした。
そのようなこともあるのだろう。
イラクから原隊に戻った3年半後となる平成20年には、中央即応集団隷下(当時)にあり、国際貢献活動に従事する自衛官の教育を担当する、国際活動教育隊に異動。
現場の肌感覚で吸収した国際貢献の現場を、教育する立場として任されることになった。
さらにその後、防衛大学校の訓練部に転じるが、やはり次世代を担う幹部自衛官の候補となる学生には、塩入の豊富な国際貢献活動の現場感が大事だと言うことだったのだろうか。
更に教育者としての要職を歴任し、非常に充実した、幹部自衛官としての強みを作り上げていった。
そして、中央などでいくつか要職を経験した後に、10年ぶりとなる職種部隊勤務で平成30年、西部方面対舟艇対戦車隊の隊長に着任している。
やはり、そのキャリアから見える塩入の強みは、圧倒的に国際貢献活動分野での経験と、その経験を次の世代に伝える教育者としての経験だ。
今後も、あるいは陸上総隊などの関連部署で要職を歴任し、さらに我が国の国益に貢献するポストで活躍していってくれるだろう。
では最後に、その塩入と同期である43期組の人事の動向を・・・と言いたいところだが、43期組は2018年1月の昇任1佐人事で、最初の1等陸佐が選抜されたばかりの年次だ。
そのため、1等陸佐・2等陸佐のご紹介はその数が非常に多く、とてもご紹介しきれないので割愛したい。
いずれにせよ、43期組は2018年度でまだ40代前半の、若き最高幹部たちである。
2030年代にかけて我が国の平和と安全を中心になって担っていく世代であり、その活躍には要注目だ。
これからも、塩入を始めとした43期組には注目を続け、そして応援していきたい。
※文中、自衛官および関係者各位の敬称略。
(画像提供:陸上自衛隊第8師団公式Webサイト)
◆塩入和行(陸上自衛隊) 主要経歴
平成
11年3月 陸上自衛隊入隊(第43期)
11年10月 第28普通科連隊(函館)
14年2月 東ティモール派遣施設群
14年10月 第28普通科連隊(函館)
15年4月 第2次イラク復興支援群
16年9月 第28普通科連隊(函館)
20年3月 国際活動教育隊勤務
23年3月 防衛大学校訓練部次席指導教官(横須賀)
24年3月 防衛大学校訓練部学生課補導係長(横須賀)
25年3月 陸上幕僚監部運用支援・情報部情報科
27年3月 富士学校総務部(富士)
30年3月 西部方面対舟艇対戦車隊長
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