伊﨑義彦(いざき・よしひこ)|第31期・陸上自衛隊

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伊﨑義彦(伊崎義彦)は昭和40年3月9日生まれの陸上自衛官。

防衛大学校第31期(電気工学)の卒業で幹候87期、職種は普通科だ。

 

平成27年12月(2015年12月) 第15旅団副旅団長兼ねて那覇駐屯地司令・1等陸佐

前職は中央即応集団司令部幕僚長兼ねて座間駐屯地司令であった。

なお那覇駐屯地司令としての統率方針は以下の通り。

 

【駐屯地司令要望事項】

「地域に愛され、頼りになる駐屯地の育成」

 

2018年5月現在、第15旅団副旅団長兼ねて那覇駐屯地司令をつとめる伊﨑だ。

第15旅団は言うまでもなく、2018年現在の国防の最前線と言っても良い部隊であり、南西方面島嶼部に対する中国人民解放軍の野心を、正面で受け止める部隊である。

旅団編成の部隊ではあるが、その基幹となる部隊の一つ、第51普通科連隊では陸士に至るまで空中機動で作戦地域に展開することができ、軽武装高機動の、離島防衛に特化した部隊となっている。

早い話が、極めて精強であり我が国の国境を守る、防人らしい防人部隊ということだ。

 

率直に言って、陸自は今、野戦特科などの重火砲を中心に全国で部隊が削減され、定員と装備が削られ続けている。

そのような中において、この南西方面は宮古島や石垣島に新たに陸自の駐屯地が建設されようとしており、また同地に配備予定である野戦特科の地対艦ミサイル部隊はその定員の増強と装備の更新が見込まれ、戦闘能力の充実が図られている状況だ。

 

そして、これら石垣島と宮古島の駐屯地に地対艦ミサイル及び高射特科部隊の配属が完了すると、決して誇張ではなく、南西方面の島嶼部における防衛能力は飛躍的に向上する。

ありていに言って、中国人民解放軍の海上勢力を、第1列島線の内側に封じ込めるほどにインパクトのある防衛体制になり、我が国の平和を愛し、維持しようとする能力はますます強固なものとなる見込みだ。

 

その過渡期にある中で、第15旅団の副旅団長を2年以上に渡り預かっている伊﨑である。

その任務は極めて重く、10年後、20年後の我が国の平和と安全をも左右する要職にあるといえるだろう。

 

さて次に、その伊﨑のキャリアについてみてみたい。

伊﨑が陸上自衛隊に入隊したのは昭和62年3月。

初任地が62年10月からの第1空挺団普通科群であり、初級幹部時代から既に、国防の最前線に立つことが予定されていた猛者であった。

ページ最上部の写真を見てもわかるが、いかにも空挺出身者らしい、脂肪だけでなくムダな筋肉もない、スラッとした体躯が印象的である。

 

そして初任地での任務を終えると、伊﨑はいきなりアフリカのモザンビークに国連PKO活動の一環で赴任する。

同活動は、自衛隊が経験する3番目の海外部隊派遣を伴う国連平和活動であり、それゆえにノウハウの蓄積がまだ不十分であった時代になされたものだ。

そのため、伊﨑以下のモザンビーク派遣輸送調整中隊要員は極めて過酷な気象条件の中、天幕で野営し、糧食・飲料水はポルトガル軍に分けてもらいながら凌ぐという過酷な条件の下で任務にあたるなど苦労するが、それでも黎明期のPKO活動で大きな活躍を見せた。

 

以降、ミャンマー防衛駐在官などの要職を経験し、連隊長職は長崎県に所在する第16普通科連隊で着任。

第16普通科連隊は、第30期の陸幕長候補筆頭と下馬評の高い髙田祐一(第30期)も連隊長を務めるなど、西方防衛の中で重要な役割が期待されている部隊だ。

さらに中央即応集団司令部の幕僚長を経て第15旅団の副旅団長に着任したわけだが、そのキャリアを見ると、国際色が豊かであり、なおかつ軽武装高機動の部隊を率いる能力を磨き続けた幹部であることが窺える。

2018年現在の東北アジア情勢を考えると、第15旅団の副旅団長職はまさに適任の人事であったと言えるだろう。

 

ちなみに上記画像は2012年頃、第16普通科連隊長であった頃の伊﨑で、年齢で言うと47歳ころだろうか。

さすがに若々しく、今よりもさらにイケメンである。

 

31期といえば、2018年夏の将官人事で最初の陸将が選抜される年次であり、2020年代前半にかけてもっとも重い責任を背負っていく世代にあたる。

伊﨑についても、そのキャリアから考えて陸上総隊や西方、水陸機動団あたりでの要職をさらに重ねていくと思われ、ますますの活躍が期待されるだろう。

 

その動向には注目をし続け、そして応援していきたい。

 

本記事は当初2017年8月18日に公開していたが、加筆修正が重なったので2018年5月11日に整理し、改めて公開した。

◆伊﨑義彦(陸上自衛隊) 主要経歴

昭和
62年3月 陸上自衛隊入隊(第31期)
62年10月 第1空挺団普通科群

平成
6年6月 第3次モザンビーク派遣輸送調整中隊
7年3月 空挺教育隊
7年8月 調査学校
8年8月 幹部学校(CGS学生)
10年8月 第22普通科連隊中隊長
12年3月 陸幕調査部調査課
14年3月 陸幕防衛部運用課
15年8月 陸幕調査部付
16年6月 外務事務官(ミャンマー)
19年7月 陸幕防衛部運用支援・情報課付
19年8月 第8師団司令部第3部長
21年12月 第16普通科連隊長
24年3月 国際活動教育隊長
25年8月 中央即応集団司令部幕僚長
27年12月 第15旅団副旅団長兼ねて那覇駐屯地司令

 

【注記】

このページに使用している画像の一部及び主要経歴は、防衛省のルールに従い、防衛省のHPから引用。

主要経歴については、将補以上の階級のものにあっては防衛年鑑あるいは自衛隊年鑑も参照。

自衛官各位の敬称略。

※画像はそれぞれ、軽量化やサイズ調整などを目的に加工して用いているものがある。

【引用元】

防衛省陸上自衛隊 第15旅団公式Webサイト(顔写真及び年始行事)

http://www.mod.go.jp/gsdf/wae/15b/15b/fukuryodancyo.html

http://www.mod.go.jp/gsdf/wae/15b/15b/saisinnews6.html

防衛省陸上自衛隊 大村駐屯地公式Webサイト(歴代司令画像)

http://www.mod.go.jp/gsdf/wae/4d/oomura/reki/reki.html

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2件のコメント

8月の定期異動で伊﨑一佐が異動しましたね。今度の任地は第15旅団副旅団長から何と北海道の北部方面混成団長の異動でほとんど日本の端から端への異動でビックリしました。移動するだけでもかなりの費用かかりますね。もう15旅団の原田陸将補と伊﨑一佐の上司部下でありながら31期コンビはもう見られないのは残念ですね。これだけのキャリアなら今年の冬あたりに陸将補への昇任があってもいいと思いますね。ちなみにこの記事の真ん中にある顔写真がなんか米陸軍の将校みたいに思えました。

はい、私もあまりの(物理的な距離の)異動に、陸自も凄いことするなあと思いました笑
確かに、いつ将補にご昇任されてもおかしくない堂々のキャリアで、楽しみな幹部ですね!

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