2017年9月、航空自衛隊・空将補の人事異動が防衛省から発令された。
防衛大学校第27期組であった野中盛(のなか・さかり)空将補が西部航空方面隊副司令官の職を最後に勇退することになり、後任には防大31期の引田淳(ひきた・あつし)空将補が着任。
2017年8月現在、航空幕僚長を務めている杉山良行は防大第24期の卒業だが、杉山の任期は2017年12月までに終わることが確実な情勢なので、既に「ポスト杉山」を睨んだ退職勧奨が始まっていると言えるだろう。
杉山の後任として航空幕僚長に就任する可能性があるのは、その筆頭が前原弘昭(第27期)であることは確実であり、対抗馬は丸茂吉成(第27期)といったところであろうか。
いずれにせよ26期、27期組が12月の航空幕僚長交代を前提に、特に将官級での退職勧奨と幹部の入れ替えが始まっていると思われ、今回27期の野中が勇退となった。
西部航空方面隊は、我が国の安全保障環境を考えると、ひと時の油断も許されない極めて厳しい状況の中にある。
そのような中にあって、優秀な後輩に託して行くとは言え、自衛隊の制服を脱ぎ、長年慣れ親しんだ現場を去ることは感慨無量でありながら、名残惜しさも感じているのではないだろうか。
野中空将補の第2の人生が充実したものとなり、また空自OBとしてこれまで以上に、国防のご意見番として活躍されることを期待したい。
また、F-4戦闘機パイロット上がりで、米国の政策決定プロセスにも深く精通する基地司令、安藤忠司(第33期)が第2航空団司令兼千歳基地司令の職を解かれ、航空戦術教導団司令に異動となった。
航空戦術教導団は飛行教導群、高射教導群、電子作戦群を隷下に持つ教導団であり、我が国の精鋭を取りまとめ、その実戦的な練度を高めることを目的として編成された航空総隊直下の団だ。
さらに大きな仕事を任されることになった33期の安藤が、今後どこまでキャリアを積み上げるのか、さらに注目して追っていきたい。
また、第8航空団司令兼築城基地司である今瀬信之(第29期)が飛行開発実験団司令に異動。
飛行開発実験団は新たに導入する戦闘機の試験飛行や装備品の実験などに携わる、いわゆるテストパイロットを擁する部隊であり、テストパイロットといえば、2等空佐で退官し宇宙パイロットになった油井亀美也氏の活躍などで、耳にしたことがある人も多いであろう。
今後今瀬は、同部隊の指揮官して開発・実験の指揮を執ることになる。
その他、異動の詳細な内容は以下の通り。
空将補に昇任させる
(航空幕僚監部人事教育部教育課長)
1等空佐 寺﨑隆行
第2航空団司令を命ずる兼ねて千歳基地司令を命ずる
(航空幕僚監部人事教育部教育課長)
空将補 寺﨑隆行
第8航空団司令を命ずる兼ねて築城基地司令を命ずる
(航空戦術教導団司令)
空将補 佐藤信知
航空戦術教導団司令を命ずる
(第2航空団司令兼千歳基地司令)
空将補 安藤忠司
西部航空方面隊副司令官を命ずる
(飛行開発実験団司令)
空将補 引田淳
飛行開発実験団司令を命ずる
(第8航空団司令兼築城基地司令)
空将補 今瀬信之
退職を承認する
(西部航空方面隊副司令官)
空将補 野中盛
(以上9月1日付)
防衛省発表資料
http://www.mod.go.jp/j/press/sankou/2017/09/01a.pdf
【注記】
このページに使用している画像は、防衛省のルールに従い、防衛省のHPから引用。
※画像はそれぞれ、軽量化やサイズ調整などを目的とし、軽量化処理やオリジナルからトリミングし切り取って用いているものがある。
【引用元】
防衛省航空自衛隊 主要装備一覧公式Webサイト(F-4EJ(改)写真)
http://www.mod.go.jp/asdf/equipment/sentouki/F-4/
コメントを残す