加藤忠幸|少年工科学校第30期・陸上自衛隊

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加藤忠幸は少年工科学校第30期卒業の陸上自衛官。

生年月日は判明しないが、少年工科学校第30期生であれば、昭和44年度の生まれであると思われる。

 

平成28年3月(2016年3月) 第10戦車大隊長・2等陸佐

前職は富士学校機甲科部教育課企画係長であった。

 

残念ながら、50年以上の歴史に幕を下ろし、間もなく廃止されることが確実な第10戦車大隊。

滋賀県高島市に所在する、その第10戦車大隊を率いる加藤である。

少年工科学校卒業の機甲科幹部らしく、その自衛官人生は本当に見事だ。

 

一般に、防衛大学校卒業の幹部自衛官は、現場指揮と中央を往復しながら部隊の運用方針そのものや、部隊の改編、あるいは装備の更新などと言った自衛隊全体の仕組み作りにも携わる。

曹士(下士官及び士)は部隊に有り、厳しい訓練を行いながら現場を動かす職人となり、スペシャリストとしての役割を担う。

 

例外ももちろんいるが、その間にあるのが加藤のような工科学校卒業生であり、曹から士官までを経験した上で、知識に上滑りしない堅実な部隊運用を担保してくれる役割を担う幹部となる。

このようにして自衛隊は、その個々人の精強さを組織力に変えて強さを発揮する。

 

その加藤の機甲科幹部としての人生は、ほとんどが我が国最強の機甲科の一つである第71戦車連隊及び第73戦車連隊とともに有り、また機甲師団である第7師団とともにあった。

小隊長は第71戦車連隊及び第73戦車連隊の双方で経験。

中隊長は第71戦車連隊で着任し、機甲戦闘経験を文字通り現場から積み上げる。

その任地は、初任地である東千歳から四半世紀以上に渡り、機甲科の聖地である北海道に在ったが、平成26年に初めて富士学校機甲科部に補職されて本州勤務を経験。

その後職として今度は滋賀県に所在する第10戦車大隊の大隊長に着任した。

 

まさに機甲科を愛し、機甲科に愛された幹部らしい人生であった。

 

 

機甲科の聖地である北海道で鍛え上げたベテラン幹部だが、その表情はとても穏やかで、後進を育てる目は優しさに溢れている。

上記画像は、第10戦車大隊に着隊した新入隊員一人ひとりと握手を交わし、歓迎する加藤だが、ネームが白なので教育隊を終えて部隊配属になったばかりの若手曹士のはずだ。

その若手曹士を両手で抱えるように握手をし、目を覗き込む大隊長の姿はまるで子を見るオヤジのようである。

加藤の指導方針や考え方を窺い知ることが出来る、とても印象的な一枚だ。

 

先述のように、第10戦車大隊は早ければ3年以内、遅くとも5年以内には恐らく解隊(廃止)されるだろう。

戦車部隊は北海道と九州に集約される方針が決っている上に、74式戦車の運用期間(耐用年数)から考えると、恐らく間違いないと思われる。

その後はどういう名称になるのか、まだ公式発表がないので分からないが、おそらく第10戦車大隊を母体にして、機動戦闘車を運用する部隊として再編されるはずだ。

そして中部方面隊の隷下にある機動戦闘部隊として、主に都市部や市街地における対ゲリコマ戦闘などを想定した、軽武装で機動力を重視した戦闘集団になるだろう。

 

形は変われど、50年以上に渡り受け継がれてきた第10戦車大隊の魂は途切れること無く、良き伝統の上に新しい時代を作っていってくれるはずだ。

その現場を指揮し、支える加藤。

トップエリートととはまた違う、いぶし銀のカッコよさを持つ機甲科幹部である。

加藤のような男がいるからこそ、自衛隊は精強で有り続けられる。

 

◆加藤忠幸(陸上自衛隊) 主要経歴

昭和
59年3月 陸上自衛隊入隊(少年工科学校第30期生)
63年3月 第7偵察隊第2戦闘偵察小隊戦車陸曹(東千歳)

平成
8年3月 第71戦車連隊第1中隊小隊長(北千歳)
11年8月 第73戦車連隊第4中隊小隊長(南恵庭)
14年3月 第73戦車連隊連隊本部運用訓練幹部(南恵庭)
14年8月 第73戦車連隊第2中隊運用訓練幹部(南恵庭)
16年3月 第71戦車連隊第1中隊副中隊長(北千歳)
16年8月 第71戦車連隊連隊本部運用訓練幹部(北千歳)
18年3月 第71戦車連隊第2中隊長(北千歳)
21年3月 第7師団司令部第2部情報班長(東千歳)
22年10月 第7後方支援連隊第3科長(業務支援)(東千歳)
23年8月 第1戦車群第3科長(北恵庭)
26年3月 富士学校機甲科部教育課企画係長(富士)
28年3月 第10戦車大隊長(今津)

 

【注記】

このページに使用している画像の一部及び主要経歴は、防衛省のルールに従い、防衛省のHPから引用。

主要経歴については、将補以上の階級のものにあっては防衛年鑑あるいは自衛隊年鑑も参照。

自衛官各位の敬称略。

※画像はそれぞれ、軽量化やサイズ調整などを目的に加工して用いているものがある。

【引用元】

防衛省陸上自衛隊 第10戦車大隊公式Webサイト(顔写真及び配属者激励写真)

http://www.mod.go.jp/gsdf/mae/10d/butai/butai/10tk/daitaityou/daitaityou.htm

http://www.mod.go.jp/gsdf/mae/10d/butai/butai/10tk/kunren/kunren.htm

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