【自衛官の出世と給料】一般大学卒業生は自衛隊で出世できない、は本当か

まず、陸海空自衛隊の将官総数に対する防衛大学校卒業生と、それ以外の出身者の割合の比較だ。

以下のようになっている。

【階級別】防大・非防大出身者比較

総数 防大卒業生 非防大卒業生 非防大生率
陸将 25 24 1 4.0%
陸将補 97 87 10 10.3%
海将 18 16 2 11.1%
海将補 47 37 10 21.3%
空将 15 14 1 6.7%
空将補 50 46 4 8.0%
将官総数 252 223 28 11.1%

※(2018年6月現在)

【陸海空別】防大・非防大出身者比較

将官総数 防大卒業生 非防大卒業生 非防大生率
122 111 11 9.0%
65 53 12 18.5%
65 60 5 7.7%
将官総数 252 223 28 11.1%

※(2018年6月現在)

次に見たいのは、毎年幹部に任官する自衛官の総数に対する、防衛大学校卒業生と一般大学卒業生の割合だ。

ただ、防衛大学校を卒業し幹部に任官する者の数、それに一般大学を卒業し幹部候補として採用される者の数は、年によって大きく違う。

そのため、参考値として採用できるのは割合だけになりそうだが、直近の数字、2016年度の数字は以下のようになっている。

2016年度防衛大卒業生総数419名

内、自衛官になったもの372名(任官拒否47名)。

2016年度に採用予定であった一般大学卒業生325名

いずれも、日刊新聞もしくは防衛省の公式Webサイトから引用した数字なので、数字に間違いは無さそうだ。

なお、率直に言って単年度の数字比較は余りあてにならない

なぜなら2016年度は、世間の景気が良かったので任官拒否者がとても多く出た年になったからであり、また任官拒否者数は年によって変化の割合が大きいからだ。

また一般大学卒業生は、防大卒業生を補完する意味合いもあったために、採用する人数も過去、年度によって無視できないほどの大きな差があったことも容易に想像ができる。

そのため、荒っぽい数字の比較になることは割り引いて考えてもらいたい

その上で、2016年度を参考に、1年で採用する幹部自衛官の数は概ね700名。

そのうち防大卒業生が400名で、一般大学卒業生は300名であるという仮定を置いて考えてみたい。

つまり、幹部自衛官の数は、防大生:非防大生=4:3で設計されてきた、という仮定だ。

もしかして年によっては、5:3であったり、あるいは5:5になったのかも知れないが、おそらく4:6や5:1などという数字になったことは、まあまずないだろう。

その上で、上記の将官総数に対する非防衛大学校卒業生の割合に戻ってみたい。

2018年6月現在では、11.1%。つまり、9:1である。

うん、どう考えてもこれは、一般大学卒業生は出世に不利である。

ちまたでよく言われている噂は、どうやら本当だった、というオチだ。

何のことはない、結構な手間暇をかけたが、サプライズの結果を何一つ出すことができなかった。

正直この結果には管理人自身も、余りにヒネリがないので、どうしたものかと困っているほどである。

一方で逆に考えてみたい。

ぶっちゃけ、防衛大学校を受験し自衛官になろうという者は、18歳で既に自分の生き方を決めている者だ。

人生に明確な目標を持ち、強い志でその貫徹に生きることを決めている、相当に気合の入った若者である。

一方で大学を卒業し幹部候補生を受けようというものは、就職を考えた時に初めて、自衛隊に入ることを考えた者であることが多い。

いわば、生きていく手段として自衛官という職業を選んだものだ。

それに対して、防衛大学校から自衛官を志した若者は、生きていく目標として自衛官という職業を選んだ者であることが多い。

この差は圧倒的に大きい。

自衛官として活躍することが生きる手段である者10人と、自衛官として活躍することが生きる目的であるもの10人が集まれば、自ずからモティベーションにも結果にも、差が現れるに決まっている。

ただもちろん、全員がそうであるわけではない。

一般大学卒業生にも気合いが入った者もいれば、防衛大学校卒業生にもフヌケはいるはずだ。

しかし、傾向としてそのようなものがあるのであれば、結果としてこの数字は必ずしも、

一般大学卒業生は出世に不利

という結論に直結するものではないだろう。

というわけで、改めての結論だ。

気合を入れて任務に臨み、あらゆる局面で結果を出せば、一般大学生でも出世は余裕でできる

としておきたい。

実際に、2017年12月に退役をされた宮川正(第26期)・元空将のキャリアを見てもらいたい。

一般大学卒業生でありながら極めて責任の重い補職を歴任し、素晴らしい自衛官人生を駆け抜けられた、もはやレジェンドとも言うべき存在だ。

卒業した大学でキャリアが決まるのではなく、入隊後の活躍でキャリアが決まることを、宮川元空将の人生が物語っている。

ぜひこれから自衛隊を志している若者には、リスクではなくこのような先人の活躍を見て欲しい。

そして、自衛隊の門を一人でも多くの若者に叩いてもらえれば、嬉しく思う。

なお例によって、アイキャッチ画像は記事とは一切関係がなく・・・もないかもしれない。

防衛省公式Webサイトの、自衛官募集ポスター特集から借用した1枚である。

このポスターからもわかるように、自衛官になれば男子は皆モテモテだぞ、頑張ろう!

女子の皆様も宜しくお願いします・・・。


(画像提供:防衛省公式Webサイト

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コメント

  1. すーさん より:

    私もこの問題は大きな問題と考えています、別に将軍様だけが目標では有りませんが、同じスタートラインとしている分けですから、結果が伴わないのは問題だと思います、此れは聞いた話ですが 海空 は幹部候補生学校の成績重視とか、陸はやっぱり人間関係重視の為の士官学校での絆とか、、、但しU幹の離職率はどうなんでしょうかこの辺も少し加味する必要が有るかも知れません、士官学校出の方たちよりは多いかもしれませんね、でも私が危惧しているのはI幹方々の方です、米軍は幹部に関しては能力主義で色々問題は有りますが日本で言う二士から将官までの道筋が多用に有ると思います、私は米軍が理想とは思いませんが、米軍は有能な部内幹部で有れば米国内の大学へ入学させ、そして学歴(学力)を付けさて能力主義で将官を作っていると(本当かな?)、実は前に慶応の教授が 自衛隊の幹部の他国に比べての学歴の低さに言及してました、逸れはそうでしょう部内幹部が約半数居るんですから、只此れは某ブログ主様が書いていましたが、日本の大学は現職自衛官の就学は認めないそうです、では問題定義した慶応大学自身はは現職自衛官の就学を認めるのか と言う問題と成り笑えますね、もう一度 温故知新 で旧軍の敗戦理由を考えて見ませんか、そして下は上を見て育ち考えます、そろそろ考えても良い頃ですね。

    • ytamon より:

      すーさん!
      真剣な長文で驚きました笑
      現職自衛官の入学認めないって本当ですか?
      さすがに、大学によると思いたいのですが。。。

  2. より:

    防衛大を卒業して自衛隊を中途退職した者です。確かに、以前はU幹部はB幹部よりも出世しにくかったかもしれませんが、陸幹候でB幹部とU幹部の扱いが一緒になったこともありB幹部とU幹部の出世の差はあまりなさそうです。ちなみに、米軍は2佐以上に昇任するには修士号を持っていることが必須らしいです。

    なお、私は現在はとある企業で働いていますが、出世するのはやはり新卒の総合職採用です。私は中途採用の総合職で新卒総合職と同じ扱いになりますが、やはり役員クラスになるのは新卒採用が圧倒的に多いです。まあ、出世をしたくて転職したわけじゃないのでかまいませんが。

    自衛隊ではB幹部がメジャーでU幹部はマイナーですが民間では当然ながら逆で、防大卒はかなり珍しがられます。職場に大学の同期など一切いなく、他の人なら心細さを感じるところですが、私の場合は一切のしがらみがない分、仕事では言いたいことを言えますので伸び伸びしています。あまり大勢でわいわいガヤガヤするのが好きじゃないのでちょうどいいです。こんな私は、自衛隊向きではなかったかもしれませんね。防大卒にもこういう奴が一人くらいいてもいいと思っています。

    • ytamon より:

      T様、お疲れ様でした。
      どのような職場にも仕事にも、向き不向きはあるかと思います。
      新しい職場で新しいやりがいを見つけられたこと、素晴らしいことと思います。
      これからも頑張って下さい!

  3. 中部方面管内人 より:

    『実は前に慶応の教授が 自衛隊の幹部の他国に比べての学歴の低さに言及』に関して少し書きます。自衛隊の制度に関して、自衛隊生徒(現在は陸上自衛隊のみ存続)は1961年入校者より高卒資格が得られるようになりましたが、それまでは「中卒」でした。防衛大学校も1991年入校者より「大卒に準ずる資格」を得られるようになりましたが、それまでは「高卒」だったのです。しかしながら自衛隊における人事上の取扱いは、それぞれ見做し「高卒」「大卒」とされていたそうです。前述の『慶応の教授』はご存じなかった可能性があるかと思います。私は個人的に「中卒の元方面総監」を存じています。現状では防大卒と一般大卒の、人事取扱上の格差は非常に小さいそうで問題は「定着率」だと聞いています。一般大卒の幹部自衛官の方が中途退職(転職率)が高いのだそうです。尚、自衛隊には少数ですが現役自衛官を一般大学に通わせる制度があります。(28歳まで大卒資格を得ることが出来れば幹部候補生学校への受験も可能)

    • ytamon より:

      あの慶応の教授は、余りにも勉強不足すぎましたね。
      そもそも、他省庁のキャリア=幹部自衛官という設定からしてアホです。
      ご意見に相乗りさせていただきますと、現在の1D長(竹本さん)も、そういう意味では中卒の博士です笑
      竹本さんも、このまま行けば間違いなく方面総監クラスに昇られるでしょうね。