大場剛(おおば・たけし)は昭和43年1月生まれ、山形県出身の陸上自衛官。
防衛大学校第34期の卒業で幹候71期、出身職種は野戦特科だ。
平成29年8月(2017年8月) 第4師団副師団長兼ねて福岡駐屯地司令・陸将補
前職は統合幕僚監部防衛計画部計画課長であった。
(画像提供:陸上自衛隊第1特科団公式Webサイト)
2019年7月現在、第4師団副師団長兼ねて福岡駐屯地司令を務める大場だ。
福岡駐屯地は、文字通り13世紀の「防人」の言葉の発祥の地であり、中国大陸から九州、ひいては我が国に侵攻を図る外敵の防衛にあたった中心地であった。
更に古くは、有名な金印「漢委奴国王(かんのわのなのこくおう)」で知られる奴国の中心地であったとも考えられ、古代から我が国の外交・防衛の最前線であった土地でもある。
そしてそれは今も変わらず、朝鮮半島にもっとも近い師団として、その重要性は増すばかりだ。
その、外交と防衛の最前線である第4師団と福岡駐屯地で、副師団長兼福岡駐屯地司令を任された大場である。
34期組野戦特科のエースであり、各地の職種部隊で指揮を執ってきた、非常に充実したキャリアを誇る幹部だ。
また中央即応集団の防衛部長も務めるなど、時代の要請に応じた、野戦特科に求められる「戦い方の変化」への対応にも不安はない。
そんな大場のキャリアを概観すると、やはり目立つのは平成24年4月から務めた、第4特科群長兼ねて上富良野駐屯地司令のポストだろうか。
第4特科群は、203mm自走りゅう弾砲などのいかにも北部方面隊らしい、正面戦闘の切り札といえる重厚な部隊を運用する部隊だ。
その一方で、従来は水際の防衛用途とされていた多連装ロケットシステムMLRSも運用するなど、我が国に着上陸を企図する敵を、その上陸初期において無力化することも任務とする。
しかし近年、野戦特科の大幅な装備・人員の削減方針と12式地対艦ミサイルなどの影響により、これら防衛構想のあり方にも大きな変化が生じ始めている。
すなわち、着上陸直後にある敵性勢力の撃滅ではなく、洋上から我が国に最後の近接を図ろうとする敵性勢力に対する、至近距離からの迎撃だ。
12式地対艦ミサイルの獲得は、我が国の国土から200km~300kmも離れた洋上にある敵性勢力の無力化に、高い精度で対応可能な防衛力の整備を実現させた。
しかしこれら防衛網をすり抜け、もしくは戦闘初期でこれら火力を投入できなかった段階で我が国の領土至近まで接近を果たした、より小さなユニットへの対応も当然考えなくてはならない。
そのような、いわば野戦特科としての2重の防衛網として、これら大口径の火砲と多連装ロケットシステムMLRSは、その役割を変えようとしている。
実際にMLRSは、海自の輸送艦に搭載され、敵上陸部隊を無力化する任務が正式に付与されるに至り、富士総合火力演習の演目にも登場している。
いわば大場は、いろいろな意味で過渡期にある野戦特科を知り尽くすエキスパートであり、「予算と人員の大幅削減」の上で、「更に精強な野戦特科の確立」を託された最高幹部であると言ってよいだろう。
この時期に、野戦特科出身の将官である大場に寄せられる陸自内外の期待は極めて大きい。
では、そんな大場とはこれまで、どんなキャリアを歩んできた幹部なのだろうか。
少し詳細に、その経歴を見ていきたい。
コメントを残す