湯浅秀樹(海上自衛隊幹部学校長・海将)|第30期・海上自衛隊

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その湯浅が海上自衛隊に入隊したのは昭和61年3月。

1等海佐に昇ったのが17年1月だったので、30期組1選抜(1番乗り)となるスピード出世だ。

海将補に昇ったのは23年12月、海将に昇ったのが29年12月だったので、こちらは1選抜から4ヶ月遅れとなる、いわば1選抜後期(1番手グループ)であり、こちらもトップエリートと言って良いスピード昇任であった。


(画像提供:海上自衛隊横須賀地方隊公式Webサイト


(画像提供:海上自衛隊掃海隊群公式Webサイト

1佐以降の職種部隊で見ると、第14護衛隊司令、第2護衛隊群司令、そして将補職にある海自幹部にとって非常な名誉である、練習艦隊司令官も経験。

中央(海上幕僚監部)では、装備体系課に加え、エリートポストの一つである人事教育部補任課長を経験。

また、防衛大学校の学生にとってもっとも怖い存在の一人である防衛大学校訓練部長として、将来の幹部たちを鍛え上げるポストも経験した。

そして先述のように、2016年3月から掃海隊群司令に着任しその再編を担い、後職として海上自衛隊幹部学校長に着任している。

豊富な現場経験に加え、後進の育成と「軍人外交」にも通じた経歴であり、幹部学校長はまさに適任と言えるだろう。

非常に頼もしい、活躍が楽しみな学校長だ。

 

なお上記写真2枚めだが、これは湯浅が掃海隊軍司令にあった時に、司令室で撮影されたものだ。

いかに広報用の資料とは言え、将官クラスまで昇ると、上手な笑顔を作れる自衛官はそう多くない。

特に陸自の将官はみな、「笑ったら負け」と脅迫されてるかのような、強面の写真と気合の入った掛け軸などと共に写る写真がとても多い。

そんな中、湯浅はこれ以上はない明るい笑顔で、「笑う門には福来たる」である。

正直、かなり斬新な一枚だ。

そして、こんな写真を堂々と掲げられる度量の大きさと心の余裕が、どこか頼もしい司令であることを感じざるをえない。

この司令の下でならどんなに厳しい状況でも悲観的にならず、また敵の弾も避けていきそうな勇気と安心感を貰えそうな気持ちになる。

特にこの時期の掃海隊群は厳しい任務を付与されたばかりのことであり、その心身に渡る重圧は相当なものであっただろう。

そのトップに立つ湯浅のプレッシャーたるやいかがばかりであったと思うが、そのトップがこんな笑顔で任務に臨むのだから、その部下もきっとどこかで、余裕を貰うことができたのではないだろうか。

組織のトップに立つ将器には色々なタイプがあると思うが、その一つは間違いなく、湯浅のような最高幹部であろう。

きっと幹部学校長としても満面の笑顔を振りまき、我が国の国益に大いに貢献してくれているはずだ。

 

では最後に、その湯浅と同期である30期組の動向について見ておきたい。

30期組は、2017年夏の将官人事で最初の海将が選抜された年次に当たり、既に同期の海上幕僚長候補たちが次々と名乗りを上げている真っ最中だ。

そして2018年10月現在で、その候補者たる海将の任には、以下の幹部たちがあたっている。

 

出口佳努(第30期相当)・統合幕僚学校長(2017年8月)

湯浅秀樹(第30期)・海上自衛隊幹部学校長(2017年12月)

西成人(第30期)・教育航空集団司令官(2018年3月)

※肩書は全て2018年10月現在。( )は海将昇任時期。

 

以上のような状況になっており、まずは1選抜の前後期・海将である3名が出揃っている状況だ。

中でも、1番乗りの昇任は岡山大学を卒業し海上自衛隊に入隊した出口であり、とても印象深い。

当面は、この3名を中心に30期組の最高幹部人事は続いていくだろう。

 

湯浅については、防衛大学校卒業生としては30期組で一番乗りの昇任ということを考えると、間違いなく同期の、海上幕僚長候補の一人となるだろう。

あるいはそれは、次の次のトップのイスである可能性もあり、幹部学校長の次のポストとしてどこに異動になるのか。

そのポスト次第で、その可能性を大きく占える事になりそうだ。

いつも笑顔を忘れない、度量の大きな最高幹部である。

こんな海上幕僚長が誕生するかもしれないと思うと、非常にワクワクする思いだ。

今後とも、その活躍には心から期待し、そして応援していきたい。

 

※文中、自衛官および関係者各位の敬称略。


(画像提供:海上自衛隊幹部学校公式Webサイト

◆湯浅秀樹(海上自衛隊) 主要経歴

昭和
61年3月 海上自衛隊入隊(第30期)

平成
9年1月 3等海佐
12年7月 2等海佐
13年3月 海上幕僚監部装備体系課
14年8月 護衛艦みねゆき艦長
15年8月 防衛研究所所員
16年7月 海上幕僚監部補任課
17年1月 1等海佐
19年8月 海上幕僚監部装備体系課
19年12月 海上幕僚監部装備体系課艦船体系班長
20年12月 第14護衛隊司令
22年3月 海上幕僚監部人事教育部補任課服務室長
22年8月 海上幕僚監部人事教育部補任課長
23年12月 第2護衛隊群司令 海将補
25年12月 練習艦隊司令官
26年12月 防衛大学校訓練部長
28年3月 掃海隊群司令
29年12月 海上自衛隊幹部学校長 海将

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