その二川が海上自衛隊に入隊したのは昭和63年3月。
1等海佐に昇ったのが19年1月、海将補に昇ったのが25年8月であったので、ともに32期組1選抜(1番乗り)となるスピード出世だ。
将官に昇る幹部の数が少ない海上自衛隊において、文字通り32期を代表する最高幹部の一人と言ってよいだろう。
(画像提供:海上自衛隊厚木航空基地公式フェイスブック)
1等海佐以降の経歴で見ると、職種部隊では八戸に所在するP-3C哨戒機を運用する第2航空隊司令、厚木航空基地に所在し同様にP-3C哨戒機(現在はP-1)を運用する第4航空群司令などを歴任。
なお第4航空群は他に硫黄島航空基地や南鳥島航空基地も運用する、東京都の離島を警戒監視下においていることでも知られる。
そして29年3月からは、第31航空群司令を務めていたことは先述のとおりだ。
各地の司令部などでは、大湊地方総監部の幕僚長に加え、横須賀地方総監部でも幕僚長を務めるなど、指揮官のみならず幕僚としてもその卓越した手腕を発揮。
またその間、中央(海上幕僚監部)では班長ポストを防衛課の業務計画班長で務めた他、総務課総務調整官も経験し、課長ポストは総務課長に着任している。
そして30年12月、海上自衛隊のほぼ全ての実力組織をその指揮下に収める自衛艦隊司令部で幕僚長を任され、活躍を重ねている状況だ。
まさに32期のみならず、海上自衛隊を代表する最高幹部の一人と言ってよいだろう。
では最後に、その二川と同期である32期組の人事の動向について見ていきたい。
32期組は、2013年夏の将官人事で最初の海将補が選抜され、2019年夏の将官人事で最初の海将が選抜される予定の年次にあたる。
そのため2019年2月現在での最高位は海将補ということになるが、その任にあるものは以下の幹部たちだ。
二川達也(32期)・自衛艦隊司令部幕僚長(2013年8月)
伊藤弘(第32期)・内閣審議官(国家安全保障局担当)(2013年8月)
白根勉(第32期)・ 掃海隊群司令(2014年12月)
小座間善隆(第32期相当)・潜水艦隊司令部幕僚長(2015年3月)
柴田弘(第32期相当)・海上幕僚監部人事教育部長(2015年8月)
梶元大介(第32期)・練習艦隊司令官(2016年12月)
中村敏弘(第32期)・第5航空群司令(2017年8月)
石田伸介(第32期)・防衛装備庁調達事業部総括装備調達官(2017年12月)
瀨戸慶一(第32期相当)・第2航空群司令(2018年3月)
※肩書はいずれも2019年2月現在。( )内の数字は将補昇任時期。
※2018年夏の将官人事以降に昇任した海将補について、期別整理未了のため、追記する可能性あり。
以上のような状況になっており、まずは二川、伊藤の2名が抜けているというところだろうか。
航空畑の二川に水上艦艇畑の伊藤の2名を中心に、今後も32期の最高幹部人事は進んでいくと思われる。
二川については、直近の補職をみても後職では海将に昇り、さらに重い責任を担うことは確実な状況だ。
そしてその時期は、2019年夏の将官人事であり、1選抜で海将に昇ることになるのではないだろうか。
2020年代前半にかけて、我が国の安全保障体制の中心で活躍することは確実な、二川のご紹介であった。
その動向には今後も注目し、そして応援していきたい。
※文中、自衛官および関係者各位の敬称略。
(画像提供:海上自衛隊厚木航空基地公式フェイスブック)
◆二川達也(海上自衛隊) 主要経歴
昭和
63年3月 海上自衛隊入隊(第32期)
平成
11年1月 3等海佐
14年7月 2等海佐
19年1月 1等海佐
20年8月 海上幕僚監部防衛課業務計画班長
22年7月 第2航空隊副司令
22年12月 第2航空隊司令
24年4月 海上幕僚監部総務課総務調整官
24年8月 海上幕僚監部総務課長
25年8月 大湊地方総監部幕僚長 海将補
26年8月 第4航空群司令
28年7月 海上自衛隊幹部学校副校長
29年3月 第31航空群司令
30年3月 横須賀地方総監部幕僚長
30年12月 自衛艦隊司令部幕僚長
二川氏は、自衛艦隊司令部幕僚長を務めた後に海将に昇任され、大湊地方総監、航空集団司令官、統合幕僚学校長を歴任し、現在は呉地方総監を務められていますね。
昨年の9月、私が縁あって呉地方総監部を訪れた際に、当時総監に着任されて間もない二川海将から直接お話を伺う機会がありました。
僅かな時間ではありましたが、色々なことを話してくださいました。
防大にいた時になぜ海上自衛隊を選んだのか、海上自衛隊の特徴、幹部自衛官としての心構え、海上自衛官として勤務する上で大切なこと、アメリカの海軍大学校へ留学した際の思い出話等々…
もう現れた瞬間から発しているオーラが途轍もなく、ずっと笑顔が絶えない上にユーモアにも溢れていて、
「あぁ… これが海上自衛隊という組織で海将まで上り詰める人の姿なんだな…」
と、感嘆をせずにはいられませんでした。
後ろに控えていた二川海将の副官らしき若い幹部の方も、二川海将が話している姿を見て微笑んでいたので、部下から非常に慕われている方だということも見て取れました。
恐らく年次的に現職の呉地方総監が最後の補職になると思いますが、二川海将には退官されるその時まで注目したいと思っております。
長文失礼致しました。
いい思い出ですね!
二川海将に届きますように~
(∩´∀`)∩