その古賀が陸上自衛隊に入隊したのは平成4年3月。
高校を卒業し自衛隊に入隊後、平成11年に幹部候補生となった部内幹部、いわゆるI幹部だ。
自衛隊が精強であり続けるために不可欠な、現場を知り尽くし幹部に昇ったとても頼もしい、叩き上げの2等陸佐である。
(画像提供:陸上自衛隊第15旅団公式Webサイト)
幹部任官以降の経歴で見ると、最初の配置が横須賀に所在する中央野外通信群の第101搬送通信大隊。
主に野外における通信機能の構築や維持を担う部隊であり、戦場における目となり耳となる部隊で、初級幹部として厳しいスタートを切った。
その後、現場を知り尽くすI幹部らしい任務と言えるだろう、平成17年2月には、まだ戦後で治安が定まらないイラクに渡り、第3次イラク復興業務支援隊の一員として力を尽くす。
帰国後は首都圏での任務が続き、第1師団司令部の通信課で保全班長を、その後職として同じ第1師団隷下にある第1通信大隊で第2中隊長に上番。
さらにその上級組織である東部方面総監部では、防衛部防衛課の通信班でも力を発揮した。
その間中央では、統合幕僚監部の指揮通信システム部、陸上幕僚監部の指揮通信システム・情報部でも勤務を重ね、大きな仕組みづくりの仕事でも手腕を発揮し活躍を重ねる。
そして平成30年12月、初めての西部方面隊勤務で第15通信隊長兼ねて第15旅団司令部通信課長に上番し、我が国と世界の平和に貢献している。
我が国の国防の最前線を守るために無くてはならない、非常に重要な任務を果たしている幹部自衛官の一人である。
なお繰り返しになるが、その古賀は部内幹部、いわゆるI幹部だ。
自衛隊では、幹部になるためにはざっと3つのルートが有る。
防衛大学校を卒業し、自衛隊に入隊すること。
一般大学を卒業し幹部候補生試験に合格して、自衛隊に入隊すること。
そして、部内から選抜されて幹部候補試験を受験し、幹部に任官されるルートだ。
前者の2つが大学などで専門教育を受けた経験があるのに対し、I幹部はその期間を曹士として現場にあり、机上で学ぶ代わりに現場経験を積み上げ知見を磨いて過ごした。
当然、曹士として現場にあった期間がある分、最初から幹部に任官した防衛大学校卒業者、もしくは一般大学卒業で幹部になった者より、現場に対する理解が深い。
現場に対する理解が深い幹部の存在は、言うまでもなく、組織として意思決定する上で非常に大きな武器となる。
アメリカ映画あたりでは、エリート幹部よりもカッコよく描かれるのが定番の立ち位置だ。
このような幹部の存在こそが、自衛隊が精強であり続けられるための、力の源泉であると言ってもよいだろう。
しかしながら、慶応大学の偉い先生がこのようなI幹部の存在を念頭に、「自衛隊は驚くべき低学歴集団」と自衛隊を罵ったことは、まだ記憶に新しい人も多いはずだ。
どれだけ見識がなければ、このような発言ができるのか。
繰り返し言及したことなので今回はサラッと収めるが、それでも古賀のように、部内から叩き上げて活躍するI幹部を紹介する時には、黙っていられない。
ぜひ、自衛隊に限らず強い組織とは、このような叩き上げが活躍できる組織であることを、改めて強調しておきたい。
では最後に、いつも通りその古賀と同期である43期組の人事の動向について・・・
と言いたいところだが、43期組は2019年3月現在、1選抜でも1佐であり、数も多くご紹介は割愛したい。
またこれからも、現場と最高幹部を繋ぐ役割を担っていく古賀にとって、同期の人事の動向はあまり関係ないだろう。
FOC(幹部特修過程)を修めているキャリアから考えても、2等陸佐のポジションで要職を歴任し、活躍を続けていってくれるはずだ。
国防の最前線で活躍するI幹部、古賀のご紹介であった。
ぜひ、叩き上げ幹部の今後の活躍に一人でも多くの国民が注目し、そして応援してもらいたいと願っている。
※文中、自衛官および関係者各位の敬称略。
(画像提供:陸上自衛隊第15旅団公式Webサイト)
◆古賀晃嘉(陸上自衛隊) 主要経歴
平成
4年3月 入隊
4年12月 第2混成団本部中隊
11年10月 幹部候補生学校(第43期相当)
13年3月 中央野外通信群第101搬送通信大隊
17年2月 第3次イラク復興業務支援隊第3科
17年7月 中央野外通信群第101搬送通信大隊
18年3月 第1師団司令部通信課保全班長
19年8月 第1通信大隊第2中隊長
21年8月 東部方面総監部防衛部防衛課通信班
24年8月 通信学校第1教育部訓練教官
25年3月 通信学校付幹部特修課程学生
26年3月 統合幕僚監部指揮通信システム部
29年3月 陸上幕僚監部指揮通信システム・情報部
30年12月 第15通信隊長兼ねて第15旅団司令部通信課長
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