山下慎一(茨城地方協力本部長・1等陸佐)|第33期・陸上自衛隊

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山下慎一(やました・しんいち)は昭和41年5月24日生まれ、千葉県出身の陸上自衛官。

防衛大学校第33期(応用物理)の卒業で幹候70期、職種は野戦特科だ。

 

平成29年8月(2017年8月) 自衛隊茨城地方協力本部長・1等陸佐

前職は富士学校(特科部)訓練評価室長であった。

(画像提供:自衛隊茨城地方協力本部公式Webサイト 三の丸だより夏号)

2019年4月現在、茨城地方協力本部長を務める山下だ。

地本長らしいイケメンに優しそうな笑顔、50代とは思えないほどに引き締まった腕の筋肉が印象的な、野戦特科の幹部である。

2019年現在で、防衛省がその増強にもっとも注力している、地対艦ミサイルを指揮するエキスパートでもある。

 

さて、冒頭でいきなりの話で恐縮だが、この地対艦ミサイルという兵科。

今でこそ、我が国の国土を防衛するばかりか、中国人民解放軍を第1列島線の内側に封じ込めるほどに、インパクトのある兵器として注目されている。

宮古島や石垣島にも配備が予定されており、またリムパックでは米軍幹部が陸自に参加を要請するほどにその有用性に世界が注目しているほどだ。

その最新版である12式地対艦ミサイルは、陸自にしては珍しくその人員も取得費用もどんどん上積みされており、専守防衛の思想とも相まってこれ以上はない傑作兵器と言ってもよいだろう。

 

しかしながら、今からわずか14年前の2005年。

「郵政解散」で国民が熱狂したあの小泉内閣の時に、この兵科が潰されそうになったことを知っている人は、どれだけいるだろうか。

小泉元総理の下でまとめられた、中期防2005(中期防衛力整備計画)である。

この計画の中で、地対艦ミサイル部隊は極めて近視眼的な政策により、存亡の危機を迎えている。

 

この際に策定された中期防は、我が国が直面する脅威の中で、地対艦ミサイルという兵科が果たす役割を過小評価した、極めて的外れな内容であった。

そして、当時6つ存在していた地対艦ミサイル連隊を段階的に3個連隊に半減することとされ、実際に宇都宮に所在していた第6地対艦ミサイル連隊は廃止の憂き目を見ている。

この際に痛手になったのは、もちろん装備が削減されたこともだが、それだけではない。

兵装そのものよりも深刻なことは、部隊を指揮する多くの幹部の経験値と、熟練の曹士を多く失ったことだ。

第6地対艦ミサイル連隊が解散された時には、その曹士はほとんどが普通科へ転属となってしまっている。

そして山下自身も、この中期防の翌年である2006年に、第9特科連隊第1大隊長(岩手)に上番している。

同部隊はFH-70を主装備とする野戦特科部隊であり、地対艦ミサイルを運用する部隊ではない。

 

ほんの僅かでも、10年後の国防を見据える知恵がある政治家と財務省の役人がいれば、こんなことにはならなかっただろう。

なお、その小泉内閣当時、財務省で防衛予算を担当する主計局主計官を務めていたのは、現自民党参議院議員の女性議員、片○氏である。

この際、防衛予算を大幅にカットしたのは片○氏であるとする説が多くある一方で、○山氏本人はそれを否定しているので、本当のところまではわからない。

しかしながら、少なくとも財務省の防衛予算担当者であったことは事実であり、その時にこの痛恨の予算を編成した実務責任者であったことは事実だ。

一度失われた部隊は、急に予算を付け装備を更新してもにわかに運用できるものではなく、非常に悔やまれる政策となった。

そのような人が今、有力議員として閣内に在る事実を、どれだけの国民が理解しているのだろうか。

政権や政策を全体として支持しても、個別にはその動向を楽観するわけには行かない、要注意人物も数多くいるというということである。

 

なおこの際の中期防2005は、第1次安倍内閣の際にその方針が早々に撤回され、地対艦ミサイル部隊の半減計画は直ちに中止された。

そして12式地対艦ミサイルの制式化と、今に至る我が国の防衛体制の切り札たる部隊として増強される流れに変わり、世界が注目する兵装になった。

この間、わずか14年である。

防衛政策の黒歴史として、私たち国民はもっと、この事実を知らなければならない。

 

ところで山下は、連隊長(相当職)ポストを宇都宮駐屯地に所在する、第12特科隊長で上番している。

とても皮肉なことだが、かつて第6地対艦ミサイル連隊が設置されていた宇都宮にある部隊を、同部隊が廃止された2年後に、隊長として預かったことになる。

本来であれば、第6地対艦ミサイル連隊長に上番し大いに腕をふるい、今に至る国防の流れの中でさらに活躍を見せてくれていたはずだ。

その心中は、いかばかりだっただろうか。

笑顔が魅力的な山下だが、きっとその笑顔の裏で、少し苦い記憶になっているのではないだろうか。

 

では、その地対艦ミサイルのエキスパートである山下とは、これまでどのようなキャリアを歩んできた幹部なのだろうか。

少し詳細に、その経歴を見ていきたい。

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3件のコメント

まったく関係ないコメント失礼します。
自衛隊基地と云えば基地内に床屋やトレーニングルームがあり
食事は栄養士さんが考えてくれた食事を食べることが可能と
色々充実しております。

下記 航空自衛隊基地でも同様でしょうか?
府中基地
十条基地(補給処)
横田基地

うーん・・・どうでしょう。
さすがにちょっと、想像がつきません。。
今度、中の人に会った時に聞いておきますね!

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