三笠展隆(みかさ・のぶたか)|第37期・長野地方協力本部長

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その三笠が陸上自衛隊に入隊したのは平成5年3月。

1等陸佐に昇った時期が防衛省の1佐昇任人事の記録で確認できないために、おそらく平成22年6月、インドに赴任する前に1佐に昇任していると思われる。

これは防衛駐在官を巡る特別な昇任人事の扱いだが、これまで繰り返し詳述しているために今回は割愛したい。

(画像提供:自衛隊長野地方協力本部公式ツイッター

職種部隊で見ると、原隊は八戸に所在する第2対戦車ヘリコプター隊であり、同地で初級幹部として厳しい自衛官生活のスタートを切った。

また飛行隊長ポストは、平成20年8月に丘珠駐屯地で第7飛行隊長に上番するが、以降は職種部隊での勤務はない。

その代わり、といっては語弊があるが、三笠は国際貢献活動を始めとした海外への赴任で多くのキャリアを積むことになった。

平成13年1月には、イスラエルとシリアの停戦を確保するためのUNDOF司令部要員として、シリアに赴任。

また17年10月には、第8次イラク復興支援群の一員として戦後間もないイラクに渡るなど、命の危険が差し迫るタフな現場で成果を出し続けてきた。

22年6月からは、インド防衛駐在官として現地に渡り、目覚ましい成果を積み上げたことは先述のとおりである。

またその間、スタッフや幕僚のポジションでは、第8師団司令部、研究本部研究員、北部方面総監部情報部情報課長、幹部学校教官などを経て、統合幕僚監部では運用部運用第2課国際地域調整官を務めた。

また30年3月からは、防衛研究所の主任研究官として研究活動にも携わり、「中国安全保障レポート2019」の編纂に携わり、大いに成果を出している。

そして2019年3月、自衛隊長野地方協力本部長に着任し、「自衛隊の入り口・出口・窓口」として、重い責任を担っている。

37期を代表する、非常な活躍を積み上げてきた幹部の一人と言ってよいだろう。

 

なお余談だが、防衛駐在官というポストは華やかに聞こえるかもしれないが、実際は相当キツイ。

何がキツイかというと、予算も施設も十分与えられて無いのに、国対国の「軍人外交」を担わなければならないことだ。

ぶっちゃけ防衛駐在官は、外交官として現地の軍人と交流する任務を期待されるが、特別な予算を与えられるわけではない。

当然、大使公邸のような施設を与えられているわけではない。

そのため、なけなしの給与をはたいて身に余る豪邸を私費で賃貸し、また外交官にふさわしい食器や調度品を自費で揃える。

日本国を代表する武官として、みすぼらしいところを見せられないからだ。

そのため3年間の任期を終える頃には、多くの防衛駐在官が貯金を使い果たしてしまうそうだ。

そのために奥さんに逃げられる人もいると、聞いたことがある・・・

防衛駐在官という華やかなポジションの裏には、自衛官のこんな苦労も存在する。

ぜひ、国会議員の歳費を半減してでも、防衛駐在官の予算に回して欲しいものである。

 

では最後に、その三笠と同期である37期組の人事の動向について見てみたい。

37期組は、2018年夏の将官人事で最初の陸将補が選抜されたばかりの年次だ。

そして2019年6月現在で陸将補の任にあるのは、以下の幹部ということになる。

 

上野和士(第37期)・防衛監察本部監察官(2018年8月)

白川訓通(第37期)・第5施設団長(2018年8月)

田浦尚之(第37期)・通信学校長(2018年8月)

前島政樹(第37期)・西部方面総監部幕僚副長(2018年8月)

富崎隆志(第37期)・大阪地方協力本部長(2019年4月)

竹内哲也(第37期)・富士学校特科部長(2019年4月)

※肩書はいずれも2019年6月現在。( )内は陸将補昇任時期。

 

以上のようになっており、まずは上野、白川、田浦、前島の4名が1選抜前期で昇任し、それに富崎と竹内が続いているということになる。

今後も、この6名を中心に37期組の最高幹部人事が続いていくことになるだろう。

 

三笠については、これほどの大きな実績を誇り、なおかつ海外でのキャリアが豊富な幹部だ。

今後は中央や陸上総隊の国際貢献畑で要職を歴任するか、あるいはその知見を生かして後進の育成でも活躍することになるのではないだろうか。

いずれにせよ37期組はこの先、2030年代にかけて国防の中心となって活躍する世代である。

その活躍にはますます注目し、そして応援していきたい。

 

※文中、自衛官および関係者各位の敬称略。

(画像提供:自衛隊長野地方協力本部公式ツイッター

◆三笠展隆(陸上自衛隊) 主要経歴

平成
5年3月 陸上自衛隊入隊(第37期)
6年6月 第2対戦車ヘリコプター隊(八戸)
12年8月 陸上幕僚監部(市ヶ谷)
13年1月 UNDOF司令部(シリア)
14年2月 陸上幕僚監部(市ヶ谷)
16年8月 第8師団司令部(北熊本)
17年10月 第8次イラク復興支援群(イラク)
18年3月 陸上幕僚監部(市ヶ谷)
20年8月 第7飛行隊長(丘珠)
22年6月 インド防衛駐在官(インド)
25年8月 陸上自衛隊研究本部研究員(朝霞)
26年3月 北部方面総監部情報部情報課長(札幌)
27年12月 陸上自衛隊幹部学校教官(目黒)
28年3月 統合幕僚監部運用部運用第2課国際地域調整官(市ヶ谷)
30年3月 防衛研究所主任研究官(市ヶ谷)
31年3月 自衛隊長野地方協力本部長

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