石原由尊(いしはら・よしたか)|第40期・第3地対艦ミサイル連隊長

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その石原が陸上自衛隊に入隊したのは平成8年3月。

1等陸佐に昇ったのが27年1月なので、40期組1選抜(1番乗り)となるスピード出世だ。

先述のように、その原隊は第6特科連隊だが、2年後には第1空挺団に転じ、エリート街道を順調に歩んでいる。


(画像提供:陸上自衛隊第1特科団公式Webサイト


(画像提供:陸上自衛隊上富良野駐屯地公式Webサイト

そして2019年7月現在で務めているのは第3地対艦ミサイル連隊の連隊長職だが、この地対艦ミサイルという部隊。

これほど、多くの国民にはピンと来ていないにも関わらず、我が国の国防の要となる部隊はそう多くないだろう。

おそらく多くの国民にとっては南西方面の島嶼部に、例えば中国人民解放軍の侵攻が始まった際に、頼りになるのは空自の戦闘機であり海自の護衛艦だという認識が一般的であるはずだ。

陸自については、率直に言って例えば尖閣防衛のために何ができるのか。

よくわかっていない人も多いように思われる。

しかしこと、南西方面の島嶼部防衛という局地に限定すれば、おそらく陸自の地対艦ミサイル部隊以上に戦争の抑止力となり、なおかつ実際の強力な攻撃力となる兵科はいない。

特に、海上から侵攻するあらゆる敵性勢力に対しては、この地対艦ミサイル部隊と、12式地対艦ミサイルの抑止力は非常に強力な存在感を示している。

決して誇張ではなく、その能力は極東アジアにおける我が国の海上優位をさらに強固なものとし、そして第1列島線の内側に中国人民解放軍を封じ込めるほどに、インパクトのあるものとして機能している。

 

詳細はこちらのコラム

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で詳述しているのでここでは割愛するが、いずれにせよ陸自の地対艦ミサイル部隊は2019年現在の安全保障環境の中で、直接的に我が国の平和と安全を担っている非常に重要な兵科ということだ。

そしてその指揮官たる石原もまた、我が国の平和と安全に重い責任を担い、厳しい任務の中で成果を出し続けている。

ぜひ、注目をして欲しい中堅幹部の一人である。

 

なお余談だが、若い頃を第1空挺団で過ごした幹部自衛官は、その多くのものが再び第1空挺団に戻りたいと熱望するという。

特に、空挺団経験者の多くの幹部にとって、第1空挺団長ポストは憧れであると聞くが、石原もきっとその一人なのではないだろうか。

しかしこの、我が国を代表する指折りの激務に自ら志願するのは、いったいどういう心境なのだろうか・・・。

一般人にはわからない、選ばれし自衛官にだけ見えている世界があるのかも知れない。

 

では最後に、その石原と同期である40期組の・・・と言いたいところだが、40期組は2019年7月現在で、1選抜でも1等陸佐が出世頭の年次だ。

最初の陸将補が選ばれるのは2021年夏の将官人事の予定だが、心当たりのある幹部たちにはもっとも大事な追い込みの時期であるかも知れない。

そしてこれほどのキャリアを誇る石原である。

将来の将官候補としてますます任務に励み、我が国の平和と安全のために力を尽くしてくれるはずだ。

 

いずれにせよ、40期組は2030年代前半にかけて、自衛隊の中枢として活躍していく世代である。

その動向には特に注目し、そして応援していきたい。

 

※文中、自衛官および関係者各位の敬称略。


(画像提供:陸上自衛隊上富良野駐屯地公式Webサイト


(画像提供:陸上自衛隊第1特科団公式Webサイト

◆石原由尊(陸上自衛隊) 主要経歴

平成
8年3月 陸上自衛隊入隊(第40期)
9年3月 第6特科連隊
11年3月 第1空挺団特科大隊
15年8月 幹部学校CGS学生
17年8月 第1特科隊中隊長
19年8月 研究本部総合研究部
20年3月 陸上幕僚監部人事部
23年3月 中央情報隊本部・米海兵隊指揮幕僚課程
24年7月 陸上幕僚監部運用支援・情報部運用支援第1班
27年1月 1等陸佐
27年3月 陸上幕僚監部運用支援・情報部付
27年8月 幹部学校付・防衛研究所一般課程
28年7月 統合幕僚監部防衛警備班長
30年3月 第3地対艦ミサイル連隊長

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3件のコメント

遅くなりましたが、石原一等陸佐殿の陸将補への昇任をお祝い申し上げます。
益々のご活躍をお祈り申し上げます。

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