冨樫勇一(とがし・ゆういち)|第33期・陸上自衛隊

Pocket

冨樫勇一は昭和41年8月3日生まれ、山形県出身の陸上自衛官。

防衛大学校第33期の卒業で70幹候、出身職種は判明しないが、おそらく普通科であろうと思われる。

 

平成29年8月(2017年8月) 統合幕僚監部報道官・陸将補

前職は北部方面総監部幕僚副長であった。

 

第33期組のエースの一人である冨樫だ。

なおいつもの話だが、陸自の将官は偉くなると、なぜか怖い顔でプロフィール写真撮影をする人が多い。

上記の写真は、冨樫の統幕報道官としてのプロフィール画像だが、本来はこんな人相が悪いイカツい見た目ではなく、鼻筋が通ったかなりのイケメンである。

特に、まだ30代前半の3等陸佐であった頃、ゴラン高原派遣輸送隊第13次隊隊長として隊旗を受け取った時の冨樫などは、イケメンすぎてまるで芸能人のコスプレなのかと思うほどだ。

細マッチョの締まった体。

精悍な顔つきに彫りが深く高い鼻。

強い意志と自信を溢れさせた、それでいて余裕を感じさせる目線。

30代前半の頃の冨樫はそんな感じの若者であり、今も当時の面影を色濃く残しているので、何もこんなコワモテで撮影しなくても良いのに・・・と思ってしまう。

 

それはともかくとして、33期のトップエリートである冨樫だ。

陸上自衛隊入隊は平成元年3月。

1等陸佐に昇ったのが平成20年1月で、陸将補に昇ったのが平成26年8月なので、共に33期の1選抜(1番乗り)であり、不動のトップエリートだ。

 

陸上自衛隊では、1選抜で陸将補に昇ることは、将来の陸上幕僚長候補レースでかなり大きなアドバンテージを握ることを意味する。

その意味において冨樫は、8年後辺りの有力な陸上幕僚長候補の一人であると言って良いだろう。

 

なおその33期において、冨樫のライバルである陸将補にある幹部は、2018年1月現在で以下の通りになっている。

 

冨樫勇一(第33期)・統合幕僚監部報道官(2014年8月)

山根寿一(第33期)・東北方面総監部幕僚副長(2014年8月)

牛嶋築(第33期)・陸上幕僚監部指揮通信システム・情報部長(2014年8月)

末吉洋明(第33期)・統幕運用部副部長(2014年8月)

廣惠次郎(第33期)・通信学校長(2015年3月)

児玉恭幸(第33期)・第1空挺団長(2015年8月)

梅田将(第33期相当)・大阪地方協力本部長(2015年12月)

酒井秀典(第33期)・航空学校副校長(2016年3月)

宮本久徳(第33期)・第1高射特科団長(2016年12月)

堀江祐一(第33期相当)・第8師団副師団長(2017年3月)

楠見晋一(第33期)・東京地方協力本部長(2017年8月)

※肩書はいずれも2018年1月現在。( )内は陸将補昇任時期。

 

上記のように、まずは冨樫、山根、牛嶋、末吉の4名が33期組の出世頭であり、トップエリートの先頭を走るメンバーになっている。

33期組から最初の陸将が選ばれるのは、2020年の予定だ。

その際にも、この4名を中心に4名前後が最初の33期組の陸将に選抜されることになるだろう。

 

 

さて、その冨樫だが、印象深いキャリアと言えばやはり3佐であった2002年(平成14年)に務めた、ゴラン高原派遣輸送隊の第13次隊隊長を務めたことであろうか。

このPKO活動は、UNDOF(国際連合兵力引き離し監視軍)の要員として参加したものだ。

UNDOFは第四次中東戦争後、イスラエルとシリアの間に国連が入り、両軍の兵力を引き離して平和を確保するために行われた活動で、我が国は後方支援要員として参加していた。

ちなみに初代隊長は「ヒゲの隊長」として知られる、現参議院議員の佐藤正久(第27期)。

2018年1月現在で陸上幕僚長を務める山崎幸二(第27期)の同期にあたる。

 

その他ゴラン高原派遣輸送隊で隊長を経験したものには、2017年12月に第3師団長・陸将で退役した角南良児(第27期)、2017年8月に第5旅団長・陸将補で退役した正木幸夫(第28期相当)、2018年1月現在で統合幕僚副長・陸将を務める本松敬史(第29期)など、最高幹部まで昇り詰めた錚々たる将官たちが並ぶ。

もちろん冨樫も、この大役を無事に務め上げ、一人の負傷者を出すこともなく隷下隊員を無事帰国させた成果は極めて大きい。

 

そういった意味では、間違いなく出世コースの王道にあり、この先ますますキャリアを伸ばしていくことは間違いのない最高幹部の一人と言って良いだろう。

 

33期組将官は、次の異動でどのポストに補職されるのかによって、その将来像がかなり見えてくることになりそうだ。

冨樫と併せ、その他の33期組幹部の活躍にも注目し、応援していきたい。

 

 

本記事は当初2017年8月5日に公開していたが、加筆修正が重なったので2018年1月19日に整理し、改めて公開した。

 

◆冨樫勇一(陸上自衛隊) 主要経歴

平成
元年3月 陸上自衛隊入隊(第33期)
12年1月 3等陸佐
14年1月 ゴラン高原派遣輸送隊第13次隊隊長
15年7月 2等陸佐
18年3月 陸上幕僚監部教育訓練科
20年1月 1等陸佐
20年4月 陸上幕僚監部補任課
21年8月 陸上幕僚監部補任課補任第1班長
23年8月 第14普通科連隊長
24年7月 陸幕人事部人事計画課長
26年8月 富士学校普通科部長 陸将補
28年3月 北部方面総監部幕僚副長(防衛)
28年7月 北部方面総監部幕僚副長(行政)
29年8月 統合幕僚監部報道官

 

【注記】

このページに使用している画像の一部及び主要経歴は、防衛省のルールに従い、防衛省のHPから引用。

主要経歴については、将補以上の階級のものにあっては防衛年鑑あるいは自衛隊年鑑も参照。

自衛官各位の敬称略。

※画像はそれぞれ、軽量化やサイズ調整などを目的に加工して用いているものがある。

【引用元】

防衛省統合幕僚監部 公式Webサイト(顔写真)

http://www.mod.go.jp/js/Joint-Staff/js_dpa.htm

防衛省 活動の記録公式Wenサイト(ゴラン高原写真)

http://www.mod.go.jp/js/Activity/Gallery/pko_undof_g33.htm

防衛省陸上自衛隊 北部方面総監部公式Webサイト(広報誌あかしやより)

http://www.mod.go.jp/gsdf/nae/katudou/akasiya/akasiya.html

Pocket

4件のコメント

8月1日の人事異動が出ましたね。今度は陸上幕僚監部人事教育部長という超エリート部署の部長になっていますね。しかも現統合幕僚監部報道官の後任が防大31期相当で実質先輩格のうえ、さらに女性自衛官である小野打一等空佐(8月1日~空将補)に引き継ぐことになるなんて富樫陸将補もこの異動を聞いた時は驚きを隠せなかったでしょうね。このまま順調にいくと早くて新元号年の夏か東京五輪直後の夏辺りの定期昇任で陸将誕生も期待されますね。

のりまき様
コメントありがとうございました。
おっしゃるように、見どころの多い人事になりましたね。
富樫将補については、33期1選抜として順調にエリート補職を重ねられていて、とても楽しみです。
特に、東北(山形)出身の陸将は本当にレアなので、それを含めて2年後が楽しみですね!

ありがとうございます!
次回の更新の際に、推測の形ではなく言い切りの形で記載を改めておきます!

コメントを残す