その三輪が陸上自衛隊に入隊したのは平成13年3月。
原隊(初任地)は静岡県御殿場市の駒門駐屯地に所在する、第4施設群第352施設中隊であった。
その後、平成15年4月には新潟県上越市の高田駐屯地に所在する第5施設群の第307施設器材中隊に転じるなど、若き自衛官時代を各地の職種部隊で過ごすことになる。
(画像提供:陸上自衛隊第9施設大隊公式Webサイト 広報紙まべち第154号)
その後、三輪の職種部隊での勤務は長らく途切れることになる。
平成17年からは防衛大学校の理工研に。
また22年にはシステム開発隊に転じ、26年からは開発実験団で要職を務めるなど、研究・開発幹部としての道を歩む。
その間、中央(陸幕)では開発官付、防衛部の情報通信・研究課や防衛課での開発職などを経て、平成30年3月、13年ぶりの職種部隊となる第9施設大隊で、大隊長に着任した形だ。
久しぶりの職種部隊とあって、三輪も特に強い思いで、任務に集中しているのではないだろうか。
また三輪は、25年3月には幹部学校のTAC(技術高級課程)に学んだ経歴も持つ。
TACはCGS(指揮幕僚課程)と並ぶ難関中の難関試験であり、合格者は技術系の幹部として最高幹部にまで昇ることが多い、将官への登竜門とも言うべき教育課程だ。
実際に、技術・装備系の最重要ポストと言っても良い防衛装備庁の将官ポストは、例外なくTACの修了者で占められる。
一方でTACに合格したからと言って必ずしも、技術系の補職を歩むとは限らない。
例えば、2019年9月現在で陸上幕僚副長を務める竹本竜司(第31期)もTACの修了者だが、将官に昇任後は東京地方協力本部長、陸幕の人事部長、第11旅団長、第1師団長など、技術系の要職というよりも部隊長としての補職を重ねている。
技術系の知見を活かし指揮官職を進むか、あるいは技術に特化した道を歩むかは、やはり本人の特性も活かした上で判断されるということのようだ。
では最後に、その三輪の同期である45期組の人事の動向についてだ。
45期組は、1選抜の幹部が1等陸佐に昇任するのが2020年1月の昇任1佐人事であり、2018年10月現在では最速でも2等陸佐が出世頭にあたる。
そのためその数はまだとても多いので、個別のご紹介はまたの機会にしたい。
1選抜に向けて心当たりのある幹部は、今まさに一層の緊張感をもって、任務に集中している時ではないだろうか。
三輪についてはおそらく、今後は技術系の要職を重ねて、さらに重い責任を背負っていくことになるのは確実な幹部であろうと思われる。
そのため、なかなか表に出てくることがない、目立たない幹部となるかも知れないが、言うまでもなくこのような幹部の存在が精強な自衛隊を支える根幹となっている。
ぜひ、このレアキャラのような技術系幹部にも注目し、動向を注視して欲しい。
そして、駐屯地の記念行事などで見掛けることがあれば、より一層の声援を送ってもらえれば幸いだ。
※文中、自衛官および関係者各位の敬称略。
(画像提供:陸上自衛隊第9施設大隊公式Webサイト 広報紙まべち第154号)
◆三輪幸治(陸上自衛隊) 主要経歴
平成
13年3月 陸上自衛隊入隊(第45期相当)
14年2月 第4施設群第352施設中隊(駒門)
年 月 第4施設群第364施設中隊
15年4月 第5施設群第307施設器材中隊(髙田)
17年3月 防衛大学校理工研・土木(小田原台)
22年3月 システム開発隊プログラム開発隊(市ヶ谷)
25年3月 幹部学校付#41技術高級課程(目黒)
26年3月 開発実験団本部評価科(富士)
27年8月 陸上幕僚監部開発官付(市ヶ谷)
年 月 陸上幕僚監部防衛部情報通信・研究課(市ヶ谷)
27年10月 陸上幕僚監部防衛部防衛課・開発(市ヶ谷)
30年3月 第9施設大隊長(八戸)
防衛省も大変だな