その坂本が陸上自衛隊に入隊したのは平成5年3月。
先述のように航空科の幹部であり、平成29年に1等陸佐に昇任し、最初のポストとして第15ヘリコプター隊長に着任している。
(画像提供:陸上自衛隊公式Webサイト)
その原隊(初任地)は、大阪の八尾に所在する中部方面ヘリコプター隊。
政経中枢師団である第3師団のお膝元にあり、都市型災害や都市型攻撃に際し、その機動力や観測力を活かす極めて重要な部隊だが、同部隊で初級幹部としての知見を積み上げた。
そして、都市型防衛の部隊での任務を終えると後職では、やはり即応機動性の求められる第1空挺団本部に転じ、さらに第1ヘリコプター団隷下の第102飛行隊長などの要職を歴任。
さらに第1ヘリコプター団で高級幕僚を任され、同ポストで1等陸佐に昇り、その後職で第15ヘリコプター隊長に着任した。
このようなキャリアから見える坂本の強みは、圧倒的な即応性への強さと、そのような部隊での豊富な現場経験だ。
どのような不測の事態にも、あらゆる方策で対応することができる非常に頼もしい指揮官であり、国防の最前線である第15ヘリコプター隊の隊長を任されたのは、まさに適任と言えるだろう。
今や広く国民の知るところとなったが、第15旅団が担当する沖縄とその離島地域には、いつ中国人民解放軍が領土敵野心を現実のものにしてくるか、切迫した危機が迫る。
そのような事態には、間違いなく第15旅団や水陸機動団が尖兵となるが、第15ヘリコプター隊もその先駆けとして任務を遂行するべく、厳しい訓練を積み上げている。
またそのような厳しい任務の傍らで、離島域の急患輸送任務にも従事し、住民の健康と安心して暮らせる毎日にも貢献しているのが、この第15ヘリコプター隊だ。
ぜひ坂本以下、精鋭たちの活躍には特に注目して、同地のイベントに参加することがあれば、
「厳しい任務、いつも本当にお疲れ様です」
と声を掛けて欲しい。
では最後に、その坂本と同期である37期組の人事の動向について見ておきたい。
37期組は、2018年夏の将官人事で最初の陸将補が選抜されたばかりの年次だ。
そして2019年9月現在で陸将補の任にあるのは、以下の幹部ということになる。
上野和士(第37期)・防衛監察本部監察官(2018年8月)
白川訓通(第37期)・第5施設団長(2018年8月)
田浦尚之(第37期)・通信学校長(2018年8月)
前島政樹(第37期)・西部方面総監部幕僚副長(2018年8月)
富崎隆志(第37期)・大阪地方協力本部長(2019年4月)
竹内哲也(第37期)・富士学校特科部長(2019年4月)
※肩書はいずれも2019年9月現在。( )内は陸将補昇任時期。
※2019年夏の将官人事で昇任した幹部の期別は未確認のため、加筆する可能性あり。
以上のようになっており、まずは上野、白川、田浦、前島の4名が1選抜前期で昇任し、それに富崎と竹内が続いているということになる。
今後も、この6名を中心に37期組の最高幹部人事が続いていくことになるだろう。
坂本については、国防の最前線でもっとも困難な任務を担う部隊長である。
その経験を活かし、今後は陸上総隊での要職はもちろん、中央(陸上幕僚監部)でも、さらに活躍の場を広げていくことになるのではないだろうか。
いずれにせよ、37期組は今後2030年頃にかけて、我が国と世界の平和を守るために中心になって活躍する世代だ。
その動向にはますます注目し、そして応援していきたい。
※文中、自衛官および関係者各位の敬称略。
(画像提供:陸上自衛隊第15ヘリコプター隊公式Webサイト)
◆坂本貴宏(陸上自衛隊) 主要経歴
平成
5年3月 陸上自衛隊入隊(第37期)
6年3月 中部方面ヘリコプター隊
15年3月 第1空挺団本部
17年3月 航空学校
19年3月 統合幕僚監部運用部
21年3月 航空学校
22年3月 第102飛行隊長
24年8月 陸上幕僚監部装備部
26年8月 教育支援飛行隊長
28年12月 第1ヘリコプター団高級幕僚
29年7月 1等陸佐
30年8月 第15ヘリコプター隊長
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