岡田豊(おかだ・ゆたか)|第42期・第10即応機動連隊長

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その岡田が陸上自衛隊に入隊したのは平成10年3月。

1等陸佐に昇ったのが平成29年1月だったので、第42期組1選抜(1番乗り)となるスピード出世だ。

原隊(初任地)は山口県に所在する第17普通科連隊であり、同地で初級幹部として、厳しい自衛官生活のスタートを切った。

(画像提供:陸上自衛隊滝川駐屯地公式Webサイト

その原隊では、小島いわく

「岡田連隊長は、この初級幹部時代を印象深く話してくれました。厳しくも温かく育ててくれた原隊であると。それは連隊の伝統なのかもしれないですね。」

とのことであった。

そして小隊長や連隊本部の幹部として岩国基地の警護訓練や警察・地元自治体との共同訓練など思い出深い任務を重ねている。

その後17年10月に米陸軍歩兵学校に留学すると、18年8月から陸自最難関の高級幹部育成課程であるCGS(指揮幕僚課程)に進む。

さらに20年8月にはキャンプ座間に赴任し在日米陸軍司令部陸上連絡官を務め、20年8月からは中央即応集団司令部の防衛部に。
22年2月からは先述のように、UNDOF司令部要員として現地に渡る。

その後も研究本部、陸幕防衛課、運用支援・訓練部運用支援課など、中央での活躍を重ねた。

その間、新潟県の高田駐屯地で業務隊長を務め、平成29年6月からは2回めとなる米国留学を果たし、米陸軍戦略大学で戦略学修士を修めているのも非常に印象的である。

そして令和2年3月から、第10即応機動連隊長兼ねて滝川駐屯地司令に上番し、新しい時代における陸自の戦い方を指揮する最前線に立って、この精鋭部隊を率いている。

42期のみならず、10年後には我が国の国防を先頭に立って引っ張っていることは疑いようのない、エリート幹部の一人であると言ってよいだろう。

 

なお、これらのキャリアから見える岡田の強さは、言うまでもなく国際畑でのその多彩な経験と知見だ。

中でもそのキャリアから見て、米軍と太いパイプを持っているであろうことは疑いようがなく、実はこのようなアナログな人の繋がりこそ、国防の根幹を成している。

どこまで行っても国防の実務は、自衛官にしか担えない。

政治がなにかを決定しても、現場に精通し、汗を流して日米同盟の実務をこなしてきた自衛官がいなければ、何一つ物事は進まない。

さらに言えば、日本が有事に巻き込まれた際。

米軍が動くか動かないか、といったギリギリの決断は、この岡田のような現場のキーマンが米軍とどのような関係を構築しているかによっても、大きく結果が変わるだろう。

ぜひ、そんな意味合いでも今後の岡田の活躍に注目してもらえれば幸いだ。

 

なおここで、今回も岡田の写真をご提供して頂き、また岡田を表敬訪問された際のお話を聞かせて下さった小島肇(第19期)・元2等陸佐の現在のお仕事のご紹介をさせていただくことをお許し願いたい。

当ブログでは何度かご紹介させていただいたが、小島は現役時代、師団広報室長として数々の活躍を重ねてきた元自衛官だ。

そして退役後は映像作家として活躍しているが、実は昨年から、

『令和の新戦力‼️第10即応機動連隊』

というタイトルでDVDの製作に取り掛かっていたのだが、この7月、ついにそのDVDが完成した。

その完成報告もあって、新連隊長の岡田に表敬訪問のため赴いたというのが、今回お写真をお分け頂いた経緯である。

今回の作品は、小島にとって宝島社、(株)アースゲートを通じて発売される全国発売の7作品目だ。
第10即応機動連隊に改編後、約一年も密着し、延べ約30回の撮影を重ねるなど、非常な時間と手間を投入されている。

小島はかつて、その第10普通科連隊で中隊長を務めていたこともあるので、相当強い思い入れで作り上げた作品だったようだ。

そもそも、かつて自分が中隊長を務めていた部隊を、退役後に映像作家して記録に残そうなどという試みが、もはや前代未聞である。

後にも先にも、「中の人の目」で仕上げた映像作品はこれっきりではないだろうか。

そんなこともあるのだと思うが、

「ぜひ、一人でも多くの人にみて欲しい」

と小島本人も仰っていたので、この場をお借りして宣伝をさせて頂いた。

現在予約受付中で、アマゾンでも買えるようなので、ぜひご興味があれば購入して欲しい。

(画像提供:小島肇・元2等陸佐

 

では最後に、いつもどおりその岡田と同期である42期組の人事の動向について・・・

見ていきたいところではあるが、42期組は最初の陸将補が選抜されるのが2023年夏の将官人事の予定である。

そのため2020年7月現在、1選抜の幹部が1佐であり、本稿でご紹介するには人数が多いので割愛したい。

ちなみに同期には、エリートの指定ポストである、第14普通科連隊長兼ねて金沢駐屯地司令を務める根本勉(第42期)などがいる。

岡田のキャリアも凄いが、根本のキャリアも相当なものだ。

この2名は、いずれ42期組を先頭に立って引っ張っていく最高幹部に昇ることになるのではないだろうか。

 

いずれにせよ、岡田を始めとした42期組は、2020年代後半~2030年代前半にかけて、我が国の国防を中心になって担う世代である。

その活躍には今後も注目し、そして応援していきたい。

 

※文中、自衛官および関係者各位の敬称略。

(画像提供:小島肇・元2等陸佐

◆岡田豊(陸上自衛隊) 主要経歴

平成
10年3月 陸上自衛隊入隊
10年10月 第17普通科連隊(山口)
17年3月 小平学校(小平)
17年10月 米陸軍歩兵学校(米国)
18年8月 指揮幕僚課程(目黒)
20年8月 在日米陸軍司令部陸上連絡官(キャンプ座間)
20年8月 中央即応集団司令部防衛部(朝霞)
22年2月 国連兵力引き離し監視隊(UNDOF)司令部(シリア)
23年4月 陸上自衛隊研究本部(朝霞)
23年8月 陸上幕僚監部防衛部防衛課(市ヶ谷)
28年3月 高田駐屯地業務隊長(高田)
29年1月 1等陸佐
29年3月 中央情報隊本部付(市ヶ谷)
29年6月 米陸軍戦略大学(米国)
30年7月 陸上幕僚監部運用支援・訓練部運用支援課(市ヶ谷)

令和
2年3月 第10即応機動連隊長兼ねて滝川駐屯地司令(滝川)

 

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