佐藤直人(さとう・なおと)|第28期・海上自衛隊

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佐藤直人は昭和36年12月生まれ、神奈川県出身の海上自衛官。

防衛大学校第28期の卒業(航空工学)で35幹候、出身職種は補給だ。

防衛大学校時代はボート部で体を鍛え、卒業後もOBとしてボート部の運営に関わる面倒見の良い将官である。

 

平成28年12月(2016年12月) 海上自衛隊補給本部長・海将

前職は防衛装備庁プロジェクト管理部プロジェクト管理統括官であった。

 

平成28年12月の補給本部長就任と同時に海将に昇った佐藤だが、海将としてはやや遅咲きということになるだろうか。

1佐から海将補に昇るのに8年、海将補から海将に昇るのに5年かかったが、それでも防衛大学校卒業生の数%しか昇り詰めることができない将官であり、将である。

これ以上はない階級まで昇りつめ、海上自衛隊補給本部長という極めて重要なポストに補職される。

 

なお、その補給本部は海上自衛隊の後方支援の全てを担当する組織であり、防衛大臣の直轄部署だ。

需品や消耗品、装備や弾薬といった一般的な調達品はもちろん、航空機や艦船の整備なども請け負っており、この部署のモノの流れを把握することは、我が国の国防に対する意志そのものを把握することでもある。

 

つまり、補給本部長とはある意味で幕僚長並に海上自衛隊の意志の全てを読み解くことが可能な役職であり、またそのような情報を把握させることになんら問題のない人間を就けなければならない極めて重要なポストにであるということだ。

そしてその意図を理解し、我が国の防衛政策が滞りなく進められるよう務めることができる者のみが、この椅子に座ることを許される。

 

一方で、このように極めて重要な部署でありながら、やはり軍事組織がある意味で持ち合わせている特性であろうか。

最高幹部ではあるものの、トップに就任するものを排出する部署ではないという扱いに、長らくの間甘んじてきた歴史がある。

その流れが変わったのは、第31代補給本部長である村川豊(第25期)が海上幕僚長に就任し、史上初めて後方支援出身者からのトップが生まれることとなってからであろう。

或いはこれを先例として、海上自衛隊も後方支援出身者の士気がさらに上がったものと思われるが、佐藤直人は村川の2代後、第33代の補給本部長にあたる。

後方支援部署の高い士気を引き継ぎ、さらに精強な部隊へと指導育成していってくれることを期待したい。

 

 

さて、その佐藤を含む28期組の海将であるが、28期組の海将は恐らく佐藤で最後の昇進となるだろう。

すでに27期~28期組は、同期の中から海上幕僚長に就任するものが出る時期を迎えており、場合によっては次期海上幕僚長に28期組から就任することも可能性は0ではない。

 

そんな中で、佐藤と同期である28期の海将は以下の4人。

 

菊地聡(28期)・舞鶴地方総監(航空出身)

佐伯精司(28期)・潜水艦隊司令官(水上艦艇出身)

佐藤直人(28期)・補給本部長(後方支援出身)

山村浩(28期)・海上幕僚副長(水上艦艇出身)

 

この4名は全員が1選抜で1等海佐に昇っているエリート幹部で、その時期は平成15年1月。

 

ただし、海将補に昇る頃に差がつき、菊地と山村が21年7月に海将補に昇るが、佐伯は22年3月であり、佐藤は23年8月。

さらに海将に昇ったのは山村が27年8月で、菊地は27年12月。

佐伯と佐藤の28年12月であり、この記事をポストしている時点で海将昇進からまだ1年経っていない状態だ。

 

この状況だけを見ると、28期組から海上幕僚長が誕生する政治的な状況があり得るとすれば、山村がその候補者筆頭であると言えるだろう。

村川豊のように、海上幕僚副長から直接のジャンプアップも考えられる位置につけており、キャリアも抜群であってその動向が注目される。

 

とはいえ、村川の後任である第34代海上幕僚長は、恐らく客観的に見れば山下万喜(第27期)になる可能性が最も高い。

そうなれば、あるいは28期からはトップの椅子を誰も取れずに、全員退役を迎えることもありそうだ。

 

同期とのレースは実力でどうにかなるかもしれないが、トップの椅子は概ね2期で一人しか座ることができない。

完全に運にも左右されるポストであり、運によるところが大きいが、いずれにせよ村川が海上幕僚長に就任したのは2016年12月だ。

その任期は2018年12月までと思われ、まだ少し間があるだろう。

 

或いは陸上自衛隊のように、その間にきな臭い出来事をきっかけに大きな人事の刷新があるかも知れず自衛隊の人事は一寸先が闇だ。

まだもう少し、28期組の動向を含め次期海上幕僚長は誰になるのか、その予想が楽しみな時期が続くだろう。

補給本部長に就いた佐藤も、まだもうひと踏ん張りの時期が続く。

恐らく現行ポストが海上自衛隊最後の奉職になると思われるが、ぜひ務めを果たしながら、後進の指導育成にも活躍されることを期待したい。

 

◆佐藤直人(海上自衛隊) 主要経歴

昭和
59年3月 海上自衛隊入隊(第28期)

平成
7年1月 3等海佐
10年7月 2等海佐
10年12月 横須賀造修補給所誘導武器科長
11年3月 海上幕僚監部武器課
13年2月 国連監視検証査察委員会派遣
15年1月 1等海佐
16年8月 海上幕僚監部武器課武器班長兼通信電子班長
19年3月 海上幕僚監部防衛課防衛調整官
20年4月 海上自衛隊艦艇開発隊副長兼装備実験部長
21年12月 海上自衛隊佐世保弾薬整備補給所長
22年12月 補給本部装備計画部長
23年8月 装備施設本部副本部長 海将補
25年3月 技術研究本部副開発官(船舶担当)
27年8月 海上幕僚監部技術部長
27年10月 防衛装備庁プロジェクト管理部プロジェクト管理統括官
28年12月 海上自衛隊補給本部長 海将

 

【注記】

このページに使用している画像の一部及び主要経歴は、防衛省のルールに従い、防衛省のHPから引用。

主要経歴については、将補以上の階級のものにあっては防衛年鑑あるいは自衛隊年鑑も参照。

自衛官各位の敬称略。

※画像はそれぞれ、軽量化やサイズ調整などを目的に加工して用いているものがある。

【引用元】

防衛省海上自衛隊 補給本部公式Webサイト(顔写真及び初度視察写真)

http://www.mod.go.jp/msdf/ju/mmcinfo.html

http://www.mod.go.jp/msdf/ju/ivent.html

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2件のコメント

佐藤直人は「補給マン」ではありません。装備幹部で艦艇武器が専門です。

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