大場智覚(第22普通科連隊長・1等陸佐)|第40期・陸上自衛隊

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大場智覚(おおば・ともあき)は昭和49年3月15日生まれ、宮城県栗原市出身の陸上自衛官。

防衛大学校第40期の卒業で幹候77期、職種は普通科だ。

 

平成30年3月(2018年3月) 第22普通科連隊長兼ねて多賀城駐屯地司令・1等陸佐

前職は陸上幕僚監部人事教育部であった。

なお、第22普通科連隊長としての指導方針は以下の通り。

 

【要望事項】

「その一日を悔いなく生きよう」

(画像提供:陸上自衛隊第22普通科連隊公式Webサイト

(画像提供:陸上自衛隊第6師団公式Webサイト

2019年2月現在、東北の強兵・宮城県の多賀城駐屯地に所在する第22普通科連隊を率いる大場だ。

第22普通科連隊は間もなく、2019年3月にその長かった歴史に幕を閉じ、新たに第22即応機動連隊として生まれ変わることになっている。

大場の現職着任時期は2018年3月であったので、おそらくその組織改編を任された最後の連隊長であり、そして最初の即応機動連連隊長になるものと思われる。

我が国の新しい戦略単位と戦略ドクトリンを実践する現場責任者として、極めて重い責任を担うポジションだ。

 

ところでどんなことにも、必ず人事には理由があるものだ。

大場がなぜ、この大役を任されたのか、ということについてはそのキャリアを見れば明らかだが、その前に即応機動連隊という存在について少しおさらいしておきたい。

即応機動連隊とは、2018年3月の陸自大改革から順次導入されている戦闘単位で、普通科連隊をベースに野戦特科、機甲科など諸職種から編成される部隊だ。

ただしこの部隊編成では、野戦特科はFH-70のような重火力は備えず、120mm迫撃砲のように容易に運搬が可能な火砲を。

機甲科も無限軌道(いわゆるキャタピラ)で機動する主力戦車ではなく、2016年に制式化され、最高時速100kmで高速走行が可能な8輪の16式機動戦闘車を運用する。

また先に発足した諸部隊の編成を見ると、高射特科の小隊も近SAM(93式近距離地対空誘導弾)を備えて隷下部隊に組み込まれるだろう。

早い話が、いざ有事となった際には重火力などの正面装備を運搬し正面戦闘を行うことを想定せず、速やかに戦闘地域に入り、速やかに敵の初期勢力を制圧することを目的にしている部隊と言ってよいだろう。

 

2019年現在、陸上自衛隊では非常に厳しい予算の削減が続けられていながら、それでいてさらに、精強な部隊に進化することを国民から要求されている。

こうなれば、戦力の集中と機動力の向上以外に解決の方法は存在しない。

さらに今、喫緊となる国防の課題は南西方面だ。

この地域では、重火力を用いた正面戦闘というよりも、上陸作戦を仕掛ける敵性勢力をその初期に殲滅して、橋頭堡を作らせないことが何よりも重要な課題となることは明らかだ。

そのような時代の要請から、いつでも瞬時に作戦予定地域に展開ができることを企図した、即応機動連隊という戦略単位が編成されることになった。

 

特に東北の強兵は、近現代史を見れば明らかだが、我が国にとって屋台骨とも言える精強さを誇る諸部隊である。

しかしながら、戦場となることが予定されている地域まであまりにも遠い。

そのため重武装で駆動をすれば、下手をしたら先に作戦地域が制圧されてしまい、戦わずして敗れ去ることにもなりかねないだろう。

そういった意味で、東北のこの精強な部隊をどれだけ速やかに南西方面に投入することができるかが課題となる。

そして然る後に、北方の重火力が戦闘予定地域に投入され、敵の継戦能力と意図を完全に断ち切るというシナリオである。

これらの戦略が機能しなければ我が国は戦闘に敗れ、なし崩し的に国土を失うことになっていくだろう。

このドクトリンを必ず機能させるために、今この時期に現場を任されたのが大場ということだ。

その双肩にかかる責任は極めて重く、国民からの期待も非常に大きい。

 

ではなぜ大場は、このような大役を任されることになったのだろうか。

それはこれまでのキャリアをみれば明らかだが、そのあたりを含めて、詳細な経歴を次ページで見ていきたい。

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