その大場が陸上自衛隊に入隊したのは平成8年3月。
1等陸佐に昇ったのが27年1月であったので、40期組1選抜(1番乗り)となるスピード出世だ。
原隊(初任地)は北海道の美幌に所在する第6普通科連隊であり、同地で初級幹部として、厳しい自衛官生活のスタートを切っている。
(画像提供:陸上自衛隊第6師団公式Webサイト)
(画像提供:陸上自衛隊第22普通科連隊公式Webサイト)
その後職種部隊では、滝ヶ原に所在する普通科教導連隊を経て、中隊長ポストは”頭号連隊”の尊称を持つ第1普通科連隊で経験。
第1普通科連隊は練馬に所在し、首都東京を始めとした我が国の政治・経済の中枢を守護する部隊だ。
その編成は正面戦闘を想定すると言うよりも、市街におけるCQB(Close Quarters Battle:近接戦闘)や対NBC、すなわち核(nuclear)、生物(biological)、化学(chemical)といった特殊攻撃に備える必要がある。
また狭い戦闘地域で敵味方だけでなく、一般市民をも瞬時に見分け、引き金を引くことが求められる非常にタフな戦闘を要求される部隊であり、大場はこのような部隊で中隊長を経験した。
その間中央(陸上幕僚監部)では、人事部や防衛部を経て、班長ポストは人事部募集・援護課の総括班長で任されている。
また各地のスタッフや幕僚のポストでは、国防の最前線である西部方面総監部の防衛部に詰めた他、こちらも国防の最前線・鹿児島の国分に所在する第12普通科連隊で第3科長を務めた。
そして平成30年3月に第22普通科連隊長兼多賀城駐屯地司令に上番し、過渡期にある同連隊の改変を任される、非常に重い責任を担っている。
1選抜1佐であることと併せて、40期を代表する高級幹部の一人であると言ってよいだろう。
このような経歴から明らかなように、大場は軽武装・高機動力の運用を求められる部隊に加え、特殊戦闘や狭い地域での戦闘にも優れた知見を持つ指揮官ということだ。
さらに国防の最前線でのスタッフ経験も持ち合わせており、今まさに、東北健児を長駆速やかに南方に投入する部隊の初代指揮官ポストとして、最大限に力を発揮してくれるのではないだろうか。
まさに適材適所の補職と思われ、ぜひ、2019年3月に発足する第22即応機動連隊に注目をして頂ければと願っている。
では最後に、その大場と同期である40期組の人事の動向について・・・
見ていきたいところなのだが、40期組は2021年夏の将官人事で最初の陸将補が選抜される予定の年次である。
そのため2019年2月現在では1選抜の幹部が1佐であり、また最初の陸将補が選抜されたタイミングで追記をしていきたい。
大場については上記のように、我が国の新しい戦略ドクトリンの中で無くてはならない幹部であり、さらにその活躍の幅を広げていくことは疑いのない高級幹部である。
その活躍は要注目であり、今後とも変わらず応援していきたい。
※文中、自衛官および関係者各位の敬称略。
(画像提供:陸上自衛隊第6師団公式Webサイト)
◆大場智覚(陸上自衛隊) 主要経歴
8年3月 陸上自衛隊入隊(第40期)
9年3月 第6普通科連隊(美幌)
14年3月 普通科教導連隊(滝ヶ原)
15年8月 幹部学校・CGS課程(目黒)
17年8月 西部方面総監部防衛部(健軍)
19年3月 第1普通科連隊中隊長(練馬)
20年3月 陸上幕僚監部人事部(市ヶ谷)
23年4月 第12普通科連隊第3科長(国分)
24年3月 陸上幕僚監部防衛部(市ヶ谷)
26年8月 陸上幕僚監部防衛部防衛課(市ヶ谷)
27年1月 1等陸佐
27年8月 幹部学校・防衛研究所一般課程(目黒)
28年7月 陸上幕僚監部人事部募集・援護課(市ヶ谷)
28年8月 陸上幕僚監部人事部募集・援護課総括班長(市ヶ谷)
30年3月 第22普通科連隊長兼多賀城駐屯地司令
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