その藤田が陸上自衛隊に入隊したのは昭和62年3月。
先述のように、その職種は高射特科であり、国際貢献活動にも充実した成果を残した一方で、各地の部隊でも多く指揮を執ってきたキャリアを持つ。
(画像提供:陸上自衛隊第15高射特科連隊公式Webサイト)
多くの幹部自衛官が、もっとも印象深いポストとして振り返る中隊長職は、東千歳に所在する第7高射特科連隊で経験。
大隊長ポストも、同じ北部方面隊隷下にある旭川の第2高射特科大隊長だ。
さらに連隊長ポストは、沖縄に所在する第6高射特科群長だが、在任中に再編があり第15高射特科連隊へと再編された部隊の初代連隊長である。
藤田の職種部隊での任務はこのように、常に国防の最前線で、北部方面隊の大規模火力部隊を率い、あるいは今まさに、地域紛争の可能性が高い沖縄の職種部隊の指揮官として、常に先頭に立ち続けてきたものであった。
またその間、中央では陸幕では防衛部を、統幕では運用第2課の国際協力室長を務めるなど、日本だけでなく広く、世界平和に貢献する大きな仕事も経験。
そして平成29年3月、福岡地方協力本部長に着任し、自衛官の第二の人生の出発を支援し、あるいは自衛官の採用に力を尽くし、「平時における最前線」の指揮官として、厳しい任務に臨んでいる。
高射特科のエキスパートということを含めて、いま我が国にとって無くてはならない、非常にその活躍が期待される幹部自衛官の一人と言ってよいだろう。
では最後に、その藤田と同期である31期組の人事の動向について見てみたい。
31期組は、ちょうど2018年夏の将官人事で、最初の陸将が選抜されたばかりの年次だ。
そして2018年11月現在、以下の幹部たちがその任にあたっている。
竹本竜司(第31期)・第1師団長(2018年8月)
沖邑佳彦(第31期)・第4師団長(2018年8月)
前田忠男(第31期)・第7師団長(2018年8月)
※肩書はいずれも2018年11月現在。( )は陸将昇任時期。
上記のようになっており、31期組についてはこの3名で、同期の陸幕長候補が出揃ったと考えてよいだろう。
本来であれば、4名が1選抜で陸将に昇任するのが慣例なのだが、2018年夏の将官人事では3名の陸将昇任に留まっているのが、31期組人事の特徴だ。
程なくして4人目が陸将に昇ると思われるが、あるいは陸自大改革の影響で、また人事の流れが少し変わったのかも知れない。
藤田については、先述のように福岡地方協力本部長のポストは、1等陸佐が着任する地本長としてもっとも「格上」とも言えるポジションだ。
そのため、後職では陸将補に昇り、いずれかの師団の副師団長に昇る可能性があるのではないだろうか。
そしてますますその活躍の幅を広げ、我が国の国益と世界平和のために、その辣腕を振るってくれるはずだ。
31期組と言えば、そろそろ退役の時が近づいてくる年次ではあるが、藤田に関してはまだ、国民からの大きな期待から解放されるのに、僅かばかり時間がかかりそうだ。
そしてその活躍を楽しみに追い続け、これからも応援を続けていきたい。
※文中、自衛官および関係者各位の敬称略。
(画像提供:自衛隊福岡地方協力本部公式Webサイト)
◆藤田英俊(陸上自衛隊) 主要経歴
昭和
62年3月 陸上自衛隊入隊(第31期)
平成
8年8月1日 第7高射特科連隊中隊長(東千歳)
14年3月23日 第2高射特科大隊長(旭川)
15年8月1日 陸上幕僚監部防衛部(市ヶ谷)
16年1月9日 イラク復興業務支援隊
16年8月2日 陸上幕僚監部防衛部(市ヶ谷)
18年3月27日 統合幕僚監部運用部運用第2課(市ヶ谷)
20年4月1日 東北方面総監部防衛部防衛課長(仙台)
22年6月4日 統合幕僚監部運用部運用第2課国際協力室長(市ヶ谷)
24年12月4日 第6高射特科群長/第15高射特科連隊長(八重瀬)
26年12月19日 東部方面総監部情報部長(朝霞)
29年3月27日 福岡地方協力本部長(福岡)
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