小座間善隆 (おざま・よしたか)|第32期相当・海上自衛隊

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小座間善隆は昭和39年9月22日生まれ、神奈川県出身の海上自衛官。

明治大学政治経済学部出身であり、昭和63年3月に海上自衛隊に入隊したので幹候39期、防衛大学校第32期相当ということになる。

 

平成29年8月(2017年8月) 潜水艦隊司令部幕僚長・海将補

前職は舞鶴地方総監部幕僚長であった。

 

2018年2月現在で、潜水艦隊幕僚長を務める小座間だ。

50代なかばになった今もマラソンを趣味にしており、ハーフマラソンは2時間20分で完走する体力を持つ。

我が国の防衛の要であり、世界最強と言ってもよいであろう潜水艦搭乗員として指揮を執ってきた海上自衛隊のエリートだ。

指揮官としてあらゆる能力に秀でた者にしか着任できない潜水艦の司令官として積み上げたそのキャリアは極めて充実しており、32期組エースの一人である。

米海軍大学(幕僚過程)に留学した経験も持つなど、海上自衛隊の幹部として不可欠な米軍へのパイプという意味でも、全く不安要素がない。

 

過去に、インドネシア・スマトラ島で発生した巨大地震及びそれに続く大津波で壊滅的な打撃を受けた現地に復興支援要員として赴いた経験もあり、その経験を活かして地域の防災・減災にも力を発揮する一面も見せる。

 

 

上記の画像はその時、2005年1月頃でまだ小座間が2等海佐であったころの画像だ。

当時39歳だが、今より少し肉付きが良いがっしりした体型である。

自衛艦隊連絡官兼ねて統合連絡調整所要員の立場で現地に入り、20万人以上が犠牲になったスマトラ島で復興支援活動を行った。

 

小座間はこの時の経験から、海幕や統幕では主に防災・減災の仕事に携わることが多くなり、活躍の場を広げる。

2013年5月には、統合幕僚監部運用第2課訓練調整官の立場でARF(ASEAN地域フォーラム)に派遣され、東南アジア諸国連合を中心に24カ国が参加した災害救助訓練に参加。

タイ南部で大地震と津波が発生した前提で、自衛隊員50名とともに要救助者を発見・救助するなど実戦さながらの想定を行い、大規模災害時における各国間の協力体制を話し合った。

 

小座間はこの時のことを振り返り、東日本震災に際してARF加盟国から多くの援助を受けたことを引き合いに訓練の意義を強調。

また「相互理解を深め合う上で非常に意義深い訓練」と述べ、軍人外交でも大きな成果を挙げる一面を示した。

 

この積み上げがあってのことだろう。

2015年3月から務めた海上自衛隊舞鶴地方総監部の幕僚長であった頃には、福井県の原発事故を想定した対処訓練の指揮も多く執り、地域の防災・減災にも貢献する。

さまざまな分野で成果を上げ続ける、存在感の大きな幹部である。

 

さてその小座間と、32期同期の状況について見ていたい。

小座間が海上自衛隊に入隊したのは昭和63年3月。

1等海佐に昇ったのが平成19年1月であり、32期組1選抜(1番乗り)のスピード出世だ。

海将補に昇ったのは27年3月なので、こちらは同期1選抜に比べ1年半の遅れということにはなるが、海空自衛隊ではそもそも将官に昇る者の数が非常に少ない。

そのため陸自のように、1選抜で将官に昇ることが直ちに同期の幕僚長候補に近づくことを意味しておらず、1年半遅れであれば32期のトップエリートの1人といって全く差し支えのない最高幹部だ。

 

そして2018年2月現在で、32期組の海将補にある幹部は以下の通りとなっている。

32期組は2019年夏の将官人事で最初の海将が選抜される年次にあたるので、32期の出世頭名簿と言うことになるだろう。

 

二川達也(32期)・第31航空群司令(2013年8月)

伊藤弘(第32期)・内閣審議官(国家安全保障局担当)(2013年8月)

白根勉(第32期)・ 掃海隊群司令(2014年12月)

小座間善隆(第32期相当)・潜水艦隊司令部幕僚長(2015年3月)

柴田弘(第32期相当)・海上幕僚監部装備計画部長(2015年8月)

梶元大介(第32期)・第3護衛隊群司令(2016年12月)

中村敏弘(第32期)・第1航空群司令(2017年8月)

※肩書はいずれも2018年2月現在。( )内の数字は将補昇任時期。

 

上記のような状況になっており、海将補に昇任後の経過年数と併せて考えると、2019年夏の将官人事で32期組最初の海将に昇る可能性があるのは、二川、伊藤、白根、小座間の4人までに限られそうだ。

いずれ劣らぬ極めて充実したキャリアを積み上げてきたスーパーエリートばかりであり、誰が海将に昇ったとしてもおかしくない、そして頼もしい最高幹部ばかりである。

 

小座間については、明治大学の文系学部を卒業しながらにしてここまでの出世を重ねてきたという意味でも、凄い幹部であり、要注目の海将補である。

その動向からは目を離さずに、今後とも応援していきたい。

 

本記事は当初2017年7月27日に公開していたが、加筆修正が重なったので2018年2月25日に整理し、改めて公開した。

 

◆小座間善隆 (海上自衛隊) 主要経歴

昭和
63年3月 海上自衛隊入隊(第32期相当)

平成
11年1月 3等海佐
14年7月 2等海佐
15年1月 統合幕僚監部第1幕僚室兼副官
16年9月 潜水艦教育訓練隊
17年6月 まきしお艦長
18年6月 海上幕僚監部人事計画課
19年1月 1等海佐
21年8月 海上幕僚監部防衛課編成班長
23年8月 第2潜水隊司令
24年7月 統合幕僚監部運用第2課訓練調整官
25年8月 海上幕僚監部総務部総務課長
27年3月 舞鶴地方総監部幕僚長 海将補
29年8月 潜水艦隊司令部幕僚長

 

【注記】

このページに使用している画像の一部及び主要経歴は、防衛省のルールに従い、防衛省のHPから引用。

主要経歴については、将補以上の階級のものにあっては防衛年鑑あるいは自衛隊年鑑も参照。

自衛官各位の敬称略。

※画像はそれぞれ、軽量化やサイズ調整などを目的に加工して用いているものがある。

【引用元】

防衛省海上自衛隊 舞鶴地方隊公式Webサイト(顔写真)

http://www.mod.go.jp/msdf/maizuru/about/message/1bakuryoutyou.html

防衛省 防衛白書2005年版公式Webサイト(インドネシア派遣時画像)

http://www.clearing.mod.go.jp/hakusho_data/2005/2005/html/1741c800.html

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