小原王巳(2等陸佐)|第43期・北部方面対舟艇対戦車隊長

小原王巳は北海道札幌市出身の陸上自衛官。

防衛大学校第43期の卒業で幹候80期、職種は普通科だ。

生年月日は判明しないが、第43期はストレートの場合、昭和51年度の生まれということになる。

平成30年8月(2018年8月) 北部方面対舟艇対戦車隊長兼ねて倶知安駐屯地司令・2等陸佐

前職は陸上幕僚監部人事教育部補任課人事第2班であった。

なお、北部方面対舟艇対戦車隊長としての指導方針は以下の通り。

【駐屯地司令要望事項】

「らしくあれ」

(画像提供:陸上自衛隊北部方面対舟艇対戦車隊公式Webサイト

(画像提供:陸上自衛隊北部方面対舟艇対戦車隊公式Webサイト

2019年5月現在、北海道の水際防衛を担う北部方面対舟艇対戦車隊で、隊長を務める小原だ。

倶知安駐屯地に所在し、その駐屯地司令も兼任する。

なお倶知安駐屯地は、北海道屈指の観光名所・羊蹄山の麓にあるが、なかなかイメージがつかないかも知れない。

札幌の南西、北海道全体で見ると左下に突き出ている部分のちょうど中央辺りに位置しており、この地から北部方面隊の対舟艇対戦車戦闘を担う部隊として、ロシアに対し睨みを利かせる。

なお、対舟艇対戦車隊とはその名前の通り、我が国に上陸を企図する、あるいは接岸を果たした舟艇や上陸した戦車を駆逐することを目的とした部隊である。

所属は普通科であり、その隊長を務める小原も普通科の幹部だ。

但し、その主兵装は96式多目的誘導弾システムなど、舟艇や戦車を撃破する強力な装備となっている。

普通に考えれば、地対艦誘導弾(ミサイル)を運用する野戦特科の守備範囲と思わなくもないが、96式多目的誘導弾システムは地対艦ミサイルに比べ射程が短く、推定値でおよそ10kmとされる。

そのため、最新の12式地対艦誘導弾が200~300kmの射程距離と言われていることを考えると、その運用範囲も運用思想も圧倒的に異なることがおわかり頂けるのではないだろうか。

但し96式多目的誘導弾システムは、その旧式であった79式とは異なり、見通し外射撃、すなわちレーダーシステムとリンクして水平線の向こう側に隠れる敵性勢力を直接照準することができるようになった。

そういった意味では、まさに接岸しようとする敵だけでなく、接岸準備段階にあるもっとも脆弱な状態にある敵を撃破する事ができる、非常に有効な装備であると言ってよいだろう。

ところで、このような装備が存在する意味について、少し触れておきたい。

時に、「海上自衛隊が存在するのであれば、地対艦ミサイルなどの部隊は必要ないのではないか」という意見を耳にすることがある。

確かに、我が国の海上自衛隊は極めて精強であり、その海上勢力は近隣諸国を上回る。

そういった意味では、そもそも敵性勢力が接岸する、もしくは上陸作戦を想定する必要が無いという理屈も説得力がないわけではない。

しかし、そのような理屈は間違っている。

わかりやすく言えば、そのような理屈は、「核兵器を持ってるのなら、通常兵器は必要ないのではないか」と言っているようなものだ。

具体的な例でお話してみたい。

2019年現在の我が国は、中国人民解放軍から南西方面島嶼部に対し、主権を脅かす圧力を受けている。

そしてこのような島嶼部で紛争になった場合。

日中両国とも、いきなり陸海空の全勢力で衝突することは全く想定できない。

なぜならそのような事態になった場合、両国共に容易に回復不可能な、極めて大きな深手を負うことになるからだ。

中国にしたところで、尖閣を強奪することにトータルでの利益がない限り、そのようなことをしてくる理屈はない。

であれば、侵攻を始めるとしても極めて小規模な陸上勢力だけで作戦を完了させようとするのがあり得るストーリーであり、海空勢力の投入は一義的に想定できない。

というよりも、日中両国が相手方の戦闘機、あるいは相手方の護衛艦1隻を撃破してしまえば、もはや全面戦争へのエスカレートは避けようがなくなるだろう。

そのため局地戦は、相当な段階になるまで陸上勢力同士の戦闘で収めるよう、日中双方とも努力をするはずだ。

そのような時に、現実的に相手方の驚異となりまた抑止力となる部隊こそが、陸上自衛隊の精鋭たちである。

尖閣を防衛するために護衛艦を出せば、中国も護衛艦を出す。

しかし、尖閣を防衛するために対舟艇対戦車隊を出しても、中国はこれに対応する部隊を出せない。

野戦特科の12式地対艦ミサイルも同様で、尖閣周辺に護衛艦や航空機勢力を出すこと無く、周辺海域における海上優勢を確保できれば、中国人民解放軍はその侵攻をためらわざるを得ない。

なぜなら、この防衛網を突破するためには、海空勢力の投入が不可欠だからだ。

しかしそうなれば、日中の全面戦争に発展するために、尖閣を奪う利益よりも失う損失のほうが遥かに莫大になる。

結果として中国は、この海域への侵攻を見送らざるを得ず、このようにして陸自部隊による抑止力は、現実的に我が国と世界の平和に貢献している。

専守防衛を貫く我が国の国防の要諦は、「どのようにして戦闘に勝つか」もさることながら、「どのようにして敵性勢力に、戦闘を断念させるか」という理念の方が勝る。

そしてそのような役割こそ、この小原率いる対舟艇対戦車隊を始めとした陸自の各部隊が握っている。

意外に思われるかも知れないが、実際に戦闘に巻き込まれるリスクは、海空よりも実は、陸自のほうが遥かに大きいと言ってよいだろう。

なぜなら、海空のユニットを破壊してしまえば、そのダメージの深刻さから、直ちに全面戦争になる可能性があるためだ。

言い換えれば、陸自が精強であることこそが、全面戦争の一歩手前である「小規模な局地戦」を、敵性勢力に躊躇わせることができる。

ぜひ、そういった意味でもこの小原率いる、対舟艇対戦車隊を始めとした抑止力に注目して欲しいと願っている。

では、そんな北の精鋭部隊を率いる小原とは、これまでどのようなキャリアを歩んできた幹部なのだろうか。

少し詳細に、その経歴を見ていきたい。

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