中村裕亮(なかむら・ひろあき)|第32期・第15旅団長

Pocket

中村裕亮(なかむら・ひろあき)は昭和40年8月生まれ、香川県出身の陸上自衛官。

防衛大学校第32期の卒業で幹候69期、出身職種は普通科だ。

 

平成31年4月(2019年4月) 第15旅団長・陸将補

前職は陸上自衛隊教育訓練研究本部副本部長兼ねて総合企画部長であった。

(画像提供:陸上自衛隊第15旅団公式フェイスブック

2019年6月現在、国防の最前線・沖縄那覇に所在する第15旅団で、旅団長を務める中村だ。

言うまでもなく、尖閣を含む沖縄の島嶼部一帯をその防衛担当地域とし、中国人民解放軍の野心を正面で受け止め、抑止する指揮官である。

ご覧の通り、現役自衛官では同期である梶原直樹(第32期)・統合幕僚監部防衛計画部長とトップを争うイケメンでもある(※個人の感想です)。

 

ところで管理人は、余り自衛隊や国防政策に詳しくない友人などから、

「国防を最前線で担うのは、空であり海じゃないの?陸自って今の時代に必要ないのでは?」

という質問を、たまに受けることがある。

確かに、陸上自衛隊は護衛艦も戦闘機も保有していないので、最前線で戦う機会など無いのではないか?というイメージが有ることはわからなくもない。

しかしそのイメージは明らかな間違いであり、率直に言って海上自衛隊と中国海軍、航空自衛隊と中国空軍の戦闘が生起する場面は、もはや全面戦争の段階だ。

それはすなわち、東南アジア~東アジア一帯を巻き込んだ大戦に発展する可能性すらある段階であり、このような事態はさすがの中国も望んでいない。

中国が望むのは、極めて小規模で米軍が参加しない形での、限定紛争による沖縄島嶼部の強奪にある。

言い換えれば、陸上勢力同士の「小競り合い」だけで済ませて、島の強奪という「果実」だけを得ようという考えだ。

 

そして中国人民解放軍が、海軍や空軍ではなく陸上勢力だけで島を奪おうとすれば、当然我が国も陸上自衛隊だけで対応することになる。

つまり、尖閣を始めとした島嶼部紛争では、直接の戦闘に参加するのは陸自のみになる可能性が極めて高いということだ。

おそらく現実的なシナリオとしては、

・尖閣に上陸した中国陸軍の排除

・宮古島・石垣島に上陸した、もしくは上陸を企図する中国陸軍の排除

・奄美大島に上陸した、もしくは上陸を企図する中国陸軍の排除

というのが、もっともあり得るこの地域での戦闘となるだろう。

(画像提供:グーグルマップ)

上の図を見て頂ければわかりやすいと思うが、この際、中国人民解放軍が宮古島と石垣島を抑えようとするのは、尖閣周辺を射程に納める12式地対艦ミサイルを無力化するためである。

また奄美大島を抑えるのは兵站・輸送を遮断することが目的であり、これら島嶼部を失えば、我が国は尖閣を維持できない。

後は、海空自衛隊を出して全面戦争覚悟の奪還作戦を発動するかどうかを、決断する段階になる。

そしてこの際、尖閣はもちろん、石垣島と宮古島の防衛に責任を追うのが第15旅団であり、その指揮官である中村だ。

奄美大島は、第8師団がその防衛にあたることになる。

 

おそらく中村は、宮古島や石垣島に中国人民解放軍が迫れば、那覇などから主力部隊を直ちに派遣し、これら島嶼部の防衛に駆けつけるだろう。

そして防衛拠点、すなわち橋頭堡を確保した上で、第1空挺団を始めとした即応精鋭部隊の増援を待つことになる。

言い換えれば、この地域・海域を中心とした紛争を全面戦争に発展させずに収束できるかどうかは、ひとえに第15旅団と中村に掛かっているということだ。

第15旅団が崩れれば、我が国は尖閣を放棄するか、全面戦争を選択するかの究極の2択を迫られる。

その場合おそらく、我が国は米国などからの干渉もあり、尖閣の放棄を選ぶだろう。

そして国民感情は極めて不安定になり、我が国は想定が難しい危機的状況を迎えることになる。

 

冒頭、「国防の最前線に立つのは海空であり、陸自はそれほど重要ではないのではないか」と考える友人の話を引用したが、おそらくそう考える国民は決して少数ではないだろう。

しかし現実には、中国人民解放軍に侵略を躊躇わせ、抑止力となるのは一義的には陸自であり、これら限定紛争を仕掛けても勝ち目がないと思わせることにあることが、おわかり頂けるのではないだろうか。

そうすれば当然、中国人民解放軍も全面戦争覚悟でいきなり、陸海空軍による同時侵攻など仕掛けることなく、この地域の平和は守られることになる。

ぜひ、この南西方面における紛争を抑止するのは、一義的には陸上自衛隊の精鋭たちであることを、一人でも多くの国民に正しく理解してもらいたいと願っている。

 

では、そんな最前線にあって指揮を執る中村とは、これまでどのようなキャリアを歩んできた幹部なのだろうか。

少し詳細に、その経歴を見ていきたい。

Pocket

2件のコメント

毎朝通学中に楽しく拝見しております。
私も、相手国に海空が対応しきれず本土に侵攻されるまでは陸自は活躍しないのかとも思っていましたが、そんなことないのですね。管理人さんのご説明とてもわかりやすかったです。

かてん様

いつも記事を読んで頂いて嬉しく思います。
また嬉しいコメントありがとうございました。

かてん様のお役に立てたようで、本当に嬉しく思います。
もちろん、一義的には陸自であっても、トータルで見れば海空の精強さも大きな抑止力です。
そんな中、抑止力としての陸自の存在に余り気がついていない人の理解のお役に立てればという思いで、記事にさせて頂きました。
これからも、お役に立てる記事を書いていきますので、応援宜しくお願いします!

コメントを残す