その小田島が陸上自衛隊に入隊したのは平成5年3月。
原隊(初任地)は北熊本駐屯地に所在していた第8特科連隊であり、こちらは一足先に第42即応機動連隊として統合・再編される形で、新たな役割を担い活躍している形だ。
そして先述のように、小田島もまたこの第12特科隊を、精強で時代の要求に応じた新たな戦力へと改変すべく、厳しい任務を預かっている。
(画像提供:陸上自衛隊宇都宮駐屯地公式Webサイト)
(画像提供:陸上自衛隊宇都宮駐屯地公式Webサイト)
そのキャリアを見ると、佐官(3佐)以降では、職種部隊での勤務というよりも、中央(陸上幕僚監部・統合幕僚監部)や各地の司令部・総監部での活躍が目立つ。
第10師団司令部、陸幕運用支援・情報部、統幕人事教育課、西部方面総監部防衛部といったような経歴だ。
さらにその間、富士学校には教官を含め数次に渡り勤務をしており、諸職種協働の戦力化に関する任務を担っていたことが窺える。
職種部隊ではわずかに、第1特科団隷下に所在していた第103特科大隊での勤務経験があるが、公式サイトでは判明しないものの、あるいは時期的に大隊長であったのではないだろうか。
そしてこの第103特科大隊も、小田島がその廃止を手掛け、部隊再編の最後の仕事をやりきってから、次に異動している形だ。
そしてそれ以来となる職種部隊である第12特科隊長に、平成29年3月に着任。
ここでもまた、特科隊廃止・再編期の最後の仕事を、やり遂げようとしている。
ある意味において小田島は、組織改編を担う能力を評価され、そのような補職が続いている幹部なのかも知れない。
では最後に、その小田島と同期である37期組の人事の動向について見ておきたい。
37期組は、2018年夏の将官人事で最初の陸将補が選抜されたばかりの年次だ。
そして2019年7月現在で陸将補の任にあるのは、以下の幹部ということになる。
上野和士(第37期)・防衛監察本部監察官(2018年8月)
白川訓通(第37期)・第5施設団長(2018年8月)
田浦尚之(第37期)・通信学校長(2018年8月)
前島政樹(第37期)・西部方面総監部幕僚副長(2018年8月)
富崎隆志(第37期)・大阪地方協力本部長(2019年4月)
竹内哲也(第37期)・富士学校特科部長(2019年4月)
※肩書はいずれも2019年7月現在。( )内は陸将補昇任時期。
以上のようになっており、まずは上野、白川、田浦、前島の4名が1選抜前期で昇任し、それに富崎と竹内が続いているということになる。
今後も、この6名を中心に37期組の最高幹部人事が続いていくことになるだろう。
その1選抜将補が選ばれたばかりの、37期の小田島である。
この先10年に渡り、我が国の平和と安全に重い責任を背負っていく世代の中で、さらに重い責任を担い、組織を率いる指揮官の一人だ。
その動向は要注目であり、これからもその活躍からは目を離さずに応援を続けていきたい。
※文中、自衛官および関係者各位の敬称略。
(画像提供:陸上自衛隊宇都宮駐屯地公式Webサイト)
◆小田島邦弘(陸上自衛隊) 主要経歴
平成
5年3月 陸上自衛隊入隊(第37期相当)
6年2月 第8特科連隊(熊本)
14年3月 富士学校(静岡県)
15年8月 幹部学校付(東京都)
17年8月 第10師団司令部(愛知県)
19年8月 陸幕運用支援・情報部(東京都)
21年8月 第103特科大隊(北海道)
23年4月 統合幕僚監部総務部人事教育課(東京都)
25年3月 西部方面総監部防衛部(熊本)
26年1月 1等陸佐
26年3月 幹部学校付・統合幕僚学校(東京都)
27年3月 陸上自衛隊富士学校主任教官(静岡県)
29年3月 第12特科隊長兼ねて宇都宮駐屯地司令
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