陸将補人事|2020年8月・陸上自衛隊

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2020年8月、陸上自衛隊・陸将補の人事異動が防衛省から発令された。

 

申し上げるまでもなく、夏の将官人事は1選抜(同期1番乗り)の陸将補が選抜されることもあり、自衛隊内外の注目を集める。

特に陸上自衛隊の場合、1選抜で陸将補に選ばれることは

「極めて近い将来の陸上幕僚長候補」

に選抜されたことを直接意味する。

逆に言うと、陸自の場合、1選抜で陸将補に昇任していない幹部から陸上幕僚長が選ばれることは無い。

 

そしてこの夏、1選抜で陸将補に昇るのは、防衛大学校第39期(幹候76期)だ。

寄り道なしのストレートの場合、昭和47年度の生まれということになる。

そしてその、将来の陸上幕僚長候補たる1選抜陸将補に選ばれたのは、以下の顔ぶれだ。

 

北島一(第39期) ・普通科出身

末永政則(第39期)・機甲科出身

牧野雄三(第39期)・野戦特科出身

坂田裕樹(第39期)・輸送科出身

 

普通科、機甲科、野戦特科といった職種は1選抜将補おなじみの顔ぶれだが、ここに今回、輸送科出身の坂田陸将補が選抜されていることがとても印象的だ。

言うまでもなく、2017年から始まった陸自大改革の要諦は戦力の集中と機動力の向上にある。

理不尽とも言える陸自の火力削減圧力の中で、それでもなお戦力を維持するどころか向上させよという国民からの付託に応えるためには、これしか戦術はない。

そしてその要とも言えるのが、戦力の輸送手段を確保し、文字通り

「死んでも輸送手段を確保する」

事が求められる輸送科である。

 

どれほど優れた戦力であり部隊であっても、輸送手段を失えば戦わずして我が国は敗れ去る。

あの東日本大震災では、陸続きの東北ですら「陸の孤島」と化し、陸自の部隊が必ずしも、速やかに現地に入れなかった部隊が一部存在した事実があった。

もちろん陸自の輸送科は、その教訓からさらに精強に部隊を鍛え上げてくれていることは間違いないが、要するに有事にあってはまさに、日本の命運を託されることになるのが輸送科ということだ。

さらに坂田陸将補の場合、連隊長は第8後方支援連隊長で上番している。

国防の最前線を任された経験値とも併せ、今後の活躍が益々楽しみな最高幹部である。

 

なおもちろん、北島、末永、牧野の各将補も1選抜将官らしい極めて充実したキャリアを歩んできているが、ここでは割愛し、個別の記事で改めて、そのご活躍を更新したい。

 

その他、第1空挺団での勤務経験がないと思われる堺一夫(第36期)の第1空挺団長着任。

まだ32期であるにも関わらず退役となったイケメン陸将補、佐々木俊哉(第32期)など書きたいことは多々あるものの、個別のコラムで言及することにしたいと思う。

 

最後にアレではあるが・・・

私に文春砲のことをお聞き頂いても、絶対に何も答えないし、何も知らないし、憶測でなにか言うこともありえない。

一つ一つお返事は差し上げないので、どうかご容赦いただきたい。

 

なお例によって、アイキャッチ画像の美しい女性は、陸将補人事とは何の関係もない。

北海道の政治経済の中心・札幌を守護する第11旅団隷下、第11通信隊で活躍する三田村愛恵・3等陸曹だ。

通信科はもちろん、戦いの帰趨を決定づける重要な役割を担う。

通信科を封じられれば、どれほど勇猛な部隊であっても全く身動きが取れなくなる重要な兵科だが、その一方でこのように、カメラを構えて戦場での撮影や情報収集そのものも行うことを知る人はあまり多くない。

そしてその延長で、各種行事でカメラを構えてたりするのだが、こんな美人さんが記念行事でカメラを構えてたら、逆にカメラ小僧たちから一斉に撮影されそうである。

管理人だって、

「一緒にお写真を撮って頂けませんか?」

と、お声掛けをしてしまいそうだ・・・(*´ω`*)

 

全国の若者諸君!

自衛隊ではこんな美人さんが、国と国民を守る重要な仕事で大活躍をしているんだぞ!

さあ、今すぐ最寄りの地本に願書を貰いに行き、来年の春から自衛官デビューするんだ!

(`・ω・´)

 

その他、詳細な人事異動の内容は以下の通り。

※文中、自衛官および関係者各位の敬称略。

(画像提供:陸上自衛隊北部方面隊公式Webサイト

陸将補に昇任させる
(統合幕僚監部運用部運用第2課長)
1等陸佐 北島一

(統合幕僚監部防衛計画部防衛課付)
1等陸佐 末永政則

(陸上幕僚監部監理部総務課広報室長)
1等陸佐 牧野雄三

(陸上幕僚監部人事教育部人事教育計画課長)
1等陸佐 坂田裕樹

(陸上自衛隊開発実験団装備実験隊長)
1等陸佐 山﨑義浩

(自衛隊中央病院第1歯科部長)
1等陸佐 抱井淑郎

(情報本部計画部長)
1等陸佐 實藤聖

防衛研究所副所長を命ずる
(中部方面総監部幕僚長兼伊丹駐屯地司令)
陸将補 木口雄司

 

統合幕僚監部運用部副部長を命ずる
(自衛隊沖縄地方協力本部長)
陸将補 松永浩二

 

陸上幕僚監部人事教育部長を命ずる
(統合幕僚監部運用部副部長)
陸将補 井土川一友

 

陸上幕僚監部運用支援・訓練部長を命ずる
(第1空挺団長兼習志野駐屯地司令)
陸将補 戒田重雄

 

陸上幕僚監部指揮通信システム・情報部長を命ずる
(陸上幕僚監部指揮通信システム・情報部付)
陸将補 足立吉樹

 

北部方面総監部幕僚長を命ずる兼ねて札幌駐屯地司令を命ずる
(陸上自衛隊需品学校長兼松戸駐屯地司令)
陸将補 上田和幹

 

北部方面総監部幕僚副長を命ずる
(自衛隊大阪地方協力本部長)
陸将補 富崎隆志

 

東部方面総監部幕僚副長を命ずる
(第5施設団長兼小郡駐屯地司令)
陸将補 白川訓通

 

中部方面総監部幕僚長を命ずる兼ねて伊丹駐屯地司令を命ずる
(防衛研究所副所長)
陸将補 中野義久

 

中部方面総監部幕僚副長を命ずる
(自衛隊東京地方協力本部長)
陸将補 岸良知樹

 

西部方面総監部幕僚副長を命ずる
(第7師団副師団長兼東千歳駐屯地司令)
陸将補 栁裕樹

 

第7師団副師団長を命ずる兼ねて東千歳駐屯地司令を命ずる
(統合幕僚監部防衛計画部防衛課付)
陸将補 末永政則

 

第5旅団長を命ずる
(陸上幕僚監部指揮通信システム・情報部長)
陸将補 廣惠次郎

 

第13旅団長を命ずる
(陸上自衛隊教育訓練研究本部副本部長兼総合企画部長)
陸将補 兒玉恭幸

 

第14旅団長を命ずる
(陸上自衛隊富士学校普通科部長兼諸職種協同センター副センター長)
陸将補 遠藤充

 

第1空挺団長を命ずる兼ねて習志野駐屯地司令を命ずる
(西部方面総監部幕僚副長)
陸将補 堺一夫

 

第5施設団長を命ずる兼ねて小郡駐屯地司令を命ずる
(統合幕僚監部運用部運用第2課長)
陸将補 北島一

 

陸上自衛隊中央業務支援隊長を命ずる兼ねて市ヶ谷駐屯地司令を命ずる
(北部方面総監部幕僚副長)
陸将補 今村武

 

陸上自衛隊富士学校普通科部長を命ずる兼ねて諸職種協同センター副センター長を命ずる
(中部方面総監部幕僚副長)
陸将補 松永康則

 

陸上自衛隊施設学校長を命ずる兼ねて勝田駐屯地司令を命ずる
(陸上自衛隊開発実験団装備実験隊長)
陸将補 山﨑義浩

 

陸上自衛隊需品学校長を命ずる兼ねて松戸駐屯地司令を命ずる
(陸上自衛隊関東補給処副処長)
陸将補 池田頼昭

 

陸上自衛隊教育訓練研究本部副本部長を命ずる兼ねて総合企画部長を命ずる
(第14旅団長)
陸将補 藤岡登志樹

 

陸上自衛隊補給統制本部副本部長を命ずる
(北部方面総監部幕僚長兼札幌駐屯地司令)
陸将補 柿野正和

 

陸上自衛隊関東補給処副処長を命ずる
(東部方面総監部幕僚副長)
陸将補 若松純也

 

自衛隊情報保全隊司令を命ずる
(情報本部計画部長)
陸将補 實藤聖

 

自衛隊東京地方協力本部長を命ずる
(陸上幕僚監部監理部総務課広報室長)
陸将補 牧野雄三

 

自衛隊大阪地方協力本部長を命ずる
(統合幕僚監部報道官)
陸将補 濱田博之

 

自衛隊沖縄地方協力本部長を命ずる
(陸上幕僚監部人事教育部人事教育計画課長)
陸将補 坂田裕樹

 

退職を承認する
(中央業務支援隊長兼市ヶ谷駐屯地司令)
陸将補 九鬼東一

(陸上自衛隊補給統制本部副本部長)
陸将補 福田和彦

(自衛隊情報保全隊司令)
陸将補 佐々木俊哉

 

(以上、2020年8月25日付)

防衛省発表資料

https://www.mod.go.jp/j/press/jinji/2020/0825b.pdf

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9件のコメント

陸幕広報室長の1佐が陸将補になっていますが、将補に上がる人は課長以上のかたが多い中、室長ポストから将補へというのはやはり防衛省としても広報を重要視しているということでしょうかね。警察でも広報は出世コースと聞きます。

牧野将補ですね。
確かに、広報室長から1選抜将補というのは目を引きますよね。
キャリアを拝見すると、陸幕で防衛班長をご経験され、ゴラン高原でもご活躍されているなど、1選抜将補らしい要職を歴任されていますが、将補昇任直前が室長ポストとは意外な気がします。
今回の補職は東京PCOですので、広報室長とも合わせ、相当魅力的な、人間力溢れる方なのでしょうね。

前回空自人事にしか興味がないと書いておきながら、関西人様のコメントに非常に興味を惹かれ、性懲りもなくまた書き込みをさせていただきました。と言うのも、幕の室長ポストは確か1佐(二)ではなかったでしょうか?。もしそうだとすると、この牧野将補は実質2階級特進されたことになり、異例中の異例ということになります…。駐在武官に就任される方は相手国に合わせ早く将官昇任される方もおられると思いますが、今回は違いますし…。私は空自を基準に見ているので陸自は全く分かりませんが、空自ではまずあり得ない人事です。管理人様は陸自にお詳しいと言うことで、陸自ではこういう人事は過去にもあるのでしょうか?。

いえいえ、詳しいなどとはとんでもないです。
ただの素人です。

その上で、実は陸幕の広報室長は、超エリートポストのようですね。
室長という肩書きでも、実質課長と同格と考えて間違いないでしょう。
1佐(二)か1佐(一)かまではわかりませんが、過去、広報室長の後職として将官に昇った事例はとても多くあります。
現役では、この8月に補給統制本部長に着任された大塚陸将。
東部方面総監をお務めの小野塚陸将。
去年8月にご退役された元中部方面総監の岸川元陸将も、広報室長の後職に着任する際に、陸将補に昇任されています。

他の室長ポストは少しわかりませんが、少なくとも広報室長は別格と考えて良さそうですね。

流石管理人様。直ぐに前例をあげてご回答頂けるところは、興味のある空自に関する狭い知識しかない私など恥ずかしささえ感じております。前例があるということは、恐らく管理人さんが仰るとおり、陸幕の広報室長は課長と同格の1佐(一)のポストだろうと納得いたしました。知識が薄い私の質問にこんなにも早くご回答をいただき感謝しております。有り難う御座いました。

私も名の通り自衛隊時代の職種は施設科で、勤務地は東北地方の施設団本部のあるところでした。

人事の基準は分かりませんが、施設団長未経験の施設学校長誕生の傍ら、一方で施設団長を2年務めても施設学校長にお呼びも掛からないという事もあるんですねえ、まぁ施設学校長以前に退職だと思っていましたが。

元・施設学校長の中野陸将補、東部方面総監部幕僚長→防衛研究所副所長→中部方面総監部幕僚長こんな人事初めて見た気がするんですが、素人考えですが旅団長でも良かった気がするんですが。

本当ですね・・・
中野陸将補の異動は、ちょっと異例な気がします。
現職でおそらくご退役でしょうし、指揮官ポストでお見送りしたかった気がしますね。

始めまして!いつも楽しく記事を読ませて頂いております。今回発令での異動はありませんでしたが、個人的には防大37期一選抜の前島政樹陸将補が非常に気になっております。
前島将補が私の地元秋田の第21普通科連隊長を務めていた時代に防災訓練でお会いして短いお話と握手をさせていただいたことがありますが、とても柔和で気さくなだけでなく、聡明で隊員達から慕われているお方あったことをよく覚えております。
(陸自21連隊と空自第33警戒隊の方々と避難所開設やカレーの炊き出しの訓練を行うという中々貴重な時間でした)
前島将補は第4戦車大隊の大隊長と21連隊の連隊長、陸幕広報室長、西部方面総監部幕僚副長などを経て現職の富士学校機甲科部長を務めていると聞き及んでおります、近い将来の陸幕長候補者と見て間違いないでしょう。
来年陸自幹部候補生学校の受験を考えている身として近い将来幹部自衛官になったら前島氏のような幹部になりたいと考えているので大変失礼かつお手数ですが、37期の出世頭であり近い将来の陸幕長候補者、そして私の憧れの人である前島政樹陸将補の記事を書いて頂けたら幸いであります。

野生のなまはげさん
コメントありがとうございます!
今年、幹部候補生学校を受験されるのですね。
ということは、4年制大学卒業を控えているというところでしょうか。
そのお志に、心からの敬意を申しあげます!
本当に、頑張って下さい。

前島陸将補の記事、承知しました!
近いうちに、頑張って書きますね。
楽しみにしておいて下さい。

なまはげさんも、30年後には1選抜で将官に昇っていますように・・・!

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