2020年11月、海上自衛隊1佐・1佐職の人事異動が防衛省から発令された。
海自も当月は異動が少なめなので、少し余談でごまかすことをご容赦願いたい・・・
かつて、掃海隊群司令と言えば、海上幕僚長に昇るようなエリートの補職とは無縁のポストだった。
そして「自衛隊のラスボス」であり続けた河野克俊(第21期)・前統合幕僚長は海幕の防衛部長時代、管理責任を取らされる形で「閑職に左遷」されている。
その時のポストこそが、まさに掃海隊群司令だった。
その河野統幕長ご本人は、当時のことに言及した上に、様々な偶然が重なって本流に復帰できたと述懐をされている。
平成20年3月のことであり、当時はまだこのポストの扱いは、そういうものだったのだろう。
その任務は非常に誇り高く、また戦後の復興期においても、我が国の国益にもっとも貢献した部隊の一つであることは間違いないが、しかしそのことと「出世ルート」とは別物であることが、不思議に思ったエピソードであった。
しかしながら時代は流れ2020年のいま。
そのポストにあるのは、近い将来の海上幕僚長最有力候補の一人である福田達也(第34期)である。
なおかつ、掃海隊群のWebサイトがメチャメチャかっこよく充実し始めており、覗き見ているだけでワクワクするようなコンテンツに溢れている。
特にこちらの記事、
などは、米軍と密接に協力しながら島しょ部を奪還する極めて実践的な訓練であり、このポストと組織がどれほど我が国の命運を握る存在であるのかを、明確に示している内容だ。
また、陸自との密接な協力関係の下で、3自衛隊の統合運用を象徴する組織であることも物語っている。
河野前統幕長が「左遷」されてからわずか12年後。
この組織とポストはここまで進化と発展を遂げ、そして海上幕僚長候補のエリートが指揮官に就くべき存在となった。
10年一昔というが、掃海隊群ほど、時代に合わせて変わり続けている組織もないだろう。
ぜひ、決して目立つことはないが実はいま激アツなこの組織、そして福田という海将補に注目してほしいと願っている。
なお、例によってアイキャッチ画像の美しい女性たちは、人事異動とは何の関係もない。
2020年度、ついに女性活躍の部隊は潜水艦にまで広げられることになり実際に配属が始まったが、その最初の隊員となる女性たちに、ドルフィンマークが授与されるシーンのお写真である。
そういえば3年ほど前に、元潜水艦乗りの方にお聞きした時、
「女性活躍の時代と言えども、潜水艦にまで女性が乗り込むことはないだろう」
と仰っていたことがあった。
理由をお聞きすればなるほどと納得するものだったが、時代や環境は急速に変化しているということか。
もしかしたら、数十年以内には女性の幕僚長が誕生する時代になっているのかもしれない。
その他、詳細な異動内容は以下の通り。
※文中、自衛官および関係者各位の敬称略。
(画像提供:海上自衛隊公式ツイッター)
大湊造修補給所長を命ずる兼ねて大湊地方総監部技術補給監理官を命ずる
(防衛装備庁プロジェクト管理部事業監理官付事業計画調整官)
1等海佐 安藤明宏
海上自衛隊艦船補給処副処長を命ずる
(大湊造修補給所長兼大湊地方総監部技術補給監理官)
1等海佐 伊東圭市
南関東防衛局調達部次長を命ずる
(海上自衛隊艦船補給処副処長)
1等海佐 山越博道
防衛装備庁プロジェクト管理部事業監理官付事業計画調整官を命ずる
(防衛装備庁長官官房艦船設計官付主任設計官)
1等海佐 橋本剛
防衛装備庁長官官房艦船設計官付主任設計官を命ずる
(防衛装備庁長官官房艦船設計官付)
1等海佐 松﨑英治
令和2年11月3日付
https://www.mod.go.jp/j/press/jinji/2020/1104a.pdf
呉地方総監部防衛部第4幕僚室長を命ずる兼ねて第1幕僚室長を命ずる
(呉地方総監部防衛部)
2等海佐 尾曲和弘
令和2年11月16日付
https://www.mod.go.jp/j/press/jinji/2020/1116a.pdf
佐世保地方総監部監察官を命ずる
(佐世保地方総監部監察官付)
2等海佐 西村信一郎
練習艦隊司令部勤務を命ずる
(海上幕僚監部指揮通信情報部情報課付)
1等海佐 渡邉達也
海上自衛隊警務隊副長事務取扱を命ずる
(海上自衛隊警務隊司令)
1等海佐 宮原伸行
令和2年11月20日付
https://www.mod.go.jp/j/press/jinji/2020/1120a.pdf
海上自衛隊第2術科学校研究部長を命ずる
(海上自衛隊第2術科学校)
2等海佐 髙篠博之
令和2年11月27日付
https://www.mod.go.jp/j/press/jinji/2020/1127a.pdf
コメントを残す