【退役】小林茂(陸上総隊司令官・陸将)|第27期・陸上自衛隊

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小林茂(こばやし・しげる)は昭和35年11月生まれ、宮城県出身の陸上自衛官。

防衛大学校第27期の卒業で幹候64期、出身職種は野戦特科だ。

 

平成30年8月(2018年8月) 初代陸上総隊司令官・陸将の職を最後に退役することが決まった。

前職は中央即応集団司令官であった。

なお、最後の補職となった陸上総隊司令官としての指導方針は、以下の通りであった。

 

【統 率 方 針】

「即動必遂」

【要 望 事 項】

方面隊 「準備を周到にして初動に万全を期せ」
隷下部隊「唯一無二の部隊たる誇りと練度を維持せよ」
司令部 「全国運用を司る識能と矜持を保持せよ」


(画像提供:陸上自衛隊中央即応集団公式Webサイト

【以下、2018年7月28日加筆】

また一人、陸上自衛隊を作り上げてきた、非常に大きな功績を遺した幹部が自衛隊を去ることが決まった。

2018年3月に行われた陸自大改革の中心であった、陸上総隊。

その初代司令官を務めた、小林茂(第27期)だ。

これほどまでの大改革の中心であった組織の、その最初の伝統を作る幹部となった初代司令官である。

小林の名前と栄誉は、ある意味で30数名を数える陸上幕僚長よりもより強く、そして長く人々の記憶に残り、語り継がれるだろう。

正直、陸上総隊司令官に着任してから記事の更新をサボってしまい、最後の更新は末代の中央即応集団司令官であった時のものになってしまったのが心残りだ。

 

僅か4ヶ月の在任期間となったが、その初代陸上総隊司令官としての功績は顕著なものであった。

そもそもが、中央即応集団司令官時代からの組織大変革を担った小林である。

この大仕事をやり遂げて、陸上総隊の立ち上げをやり遂げただけでも非常な功績であるが、間が悪い(良い?)というのだろうか・・・。

2018年は、2年に1度開催されるRIMPACの年にあたり、しかも米海軍が、陸上自衛隊の12式地対空誘導弾に非常な興味を示した統合訓練になった。

そして実際に陸自は、小林自らが2018年6月から、水陸機動団や地対艦ミサイル部隊を率いてリムパックに乗り込むことになった。

というよりも、この記事をポストしている時はまだRIMPAC2018は開催中である。

そのため、乗り込むことになった、というよりも、まだ乗り込んでいる、という方が正確なのかも知れないが、あるいは12式地対艦誘導弾の訓練は想定通りの成果を挙げて米海軍を驚かせたニュースが既に飛び込んできているので、主要な日程は終えているのかも知れない。

 

いずれにせよ、最後の最後まで小林は国防の最前線に立ち、最後の最後までRIMPAC2018という大舞台で指揮を執るなど、陸上自衛官として我が国の平和と安全の為に貢献をし続けた人生を過ごした。

そして間もなく、2018年8月1日に、35年の長きに渡った自衛官生活に別れを告げる。

本当に寂しく、もう小林の勇姿も見納めなのかと思うと、一つの時代が終わったような気持ちにさえなるが、これも自衛隊が精強であり続けるためにやむを得ない勇退なのだろう。

いまはただ、その自衛官生活に最大限の敬意をお送りして、明るくお見送りしたい。

 

本当に、お疲れ様でした。

そして、長い間、本当にありがとうございました。

小林陸将の第二の人生も素晴らしいものとなることを、心からお祈り申し上げております。

 

【以下、2017年11月26日までの過去記事】

2018年3月で廃止が決まっている、CRF(中央即応集団)最後の司令官である小林だ。

数々の海外派遣や災害救助で国益と国家・国民のために力を尽くしてきた中央即応集団であったが、陸自大改革の一環としてその栄光の歴史に幕を降ろし、隷下各部隊は同時期に新設される陸上総隊へ編入されることになっている。

 

CRFは、我が国陸上戦力の精鋭中の精鋭であり、海外派兵でも国内の災派(災害派遣)の現場でも、もっとも困難な任務に正面からぶつかり続けた部隊だ。

南スーダンにおける国連南スーダン共和国ミッション (UNMISS)では、現地に先遣隊として乗り込みその任務に道筋をつけ、総員無事に帰国したことなどが記憶に新しい。

東日本震災においては、福島第一原発のまさにその現場で指揮を統括し、また実働部隊として鎮火・事態の収集にあたった。

文字通り、誇り高き精鋭たちの集団であり、その組織は編成が変わり名前が変わったとしても、陸上自衛隊の歴史に、その名前は長く語り継がれるだろう。

 

なお、そのCRF隷下部隊を引き継ぐことが決まっている陸上総隊だが、有事に際し、防衛大臣の命令があれば2つ以上の方面隊を指揮下に収めて実戦指揮を執る可能性がある組織だ。

その司令官には、我が国で最も大きな指揮権が付与される可能性があり、まさに陸自大改革の中心となる部隊と言ってもよい。

 

では、その初代司令官に小林がそのまま横滑りで着任するかと言えば、正直かなり厳しいものがあるだろう。

小林の指揮経験や能力に問題があるという意味ではもちろんない。

2つ以上の方面隊を指揮下に収める可能性がある以上、方面総監経験者が着任することが予想されるためであり、小林には方面総監経験がないということだ。

詳細な人事予想は下記、

【コラム】初代陸上総隊司令官人事予想|2017年10月

で詳述しているのでここでは割愛するが、このポストには原則として次期陸上幕僚長候補の筆頭者が座ることになるだろう。

その為おそらく小林は、CRF司令官のポストを最後に、2018年3月で退役となる可能性が高いのではないだろうか。

 

では次に、そんな小林はこれまでどんなキャリアを歩んできた幹部なのか。

少し詳細に見て行きたい。

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