倉田裕(第5術科学校副校長・1等空佐)|第31期・航空自衛隊

Pocket

その倉田が航空自衛隊に入隊したのは昭和62年3月。

初任地は第3航空団であり、元々はF-1戦闘機のパイロットとして最前線で任務にあたっていたことになる。

その後、第3航空団ではF-1が退役を迎え、F-2戦闘機に機種転換が行われることになったが、この際に倉田は第4航空団に異動になり、キャリアの一つの転機となったようだ。


(画像提供:2枚ともに航空自衛隊公式Webサイト

そして平成18年3月、日本で最も愛され、誰もが知る航空自衛隊の航空隊の一つであると言ってよいだろう。

宮城県東松島市に所在する松島基地、その第4航空団第11飛行隊、すなわちブルーインパルスの第6代隊長の重責を任され、栄光の翼を日本中に広げることになった。

自信持って広げる羽を~みんなが見上げるぅ~♪

そして2年に渡り、航空自衛隊の技量の高さを世界に知らしめ、平成20年3月31日にラストフライトを迎えると『道』という言葉を残し、ブルーインパルスを去っている。

 

以降の倉田は、航空自衛隊の幹部パイロットとして再び各地で指揮を執り、また一方で情報本部でも手腕を発揮するなど多方面で活躍。

2018年7月現在では、第5術科学校の副校長を務めている。

華やかであったブルーインパルスの隊長時代とは違い、実直に、丁寧に、後進となる航空管制要員を育てるのが、その与えられた職責だ。

いうまでもなく極めて重要なポストであり、その責任は非常に重く、パイロット時代とはまた違った形で我が国の平和と安全に大きく貢献している。

 

では最後に、その同期となる31期組の人事の動向について見ておきたい。

31期組は、2018年夏の将官人事で最初の空将が選抜された年次にあたる。

そのため、2018年8月1日からは同期の出世頭は空将と言うことになるが、今回選ばれた1選抜空将は以下の通りだ。

 

引田淳(第31期)・統合幕僚監部運用部長(2018年8月)

内倉浩昭(第31期)・防衛装備庁長官官房装備官(2018年8月)

※肩書はいずれも2018年8月現在。( )内は空将昇任時期

 

並み居る空将補を抑え、まずはこの2名が頭一つ抜けたことになるだろう。

共にパイロットの出身だが、正直言うと内倉の昇任は想定通りでも、補職はかなり意外であった。

引田については、米国防衛駐在官の経験もあり、空自の幹部に不可欠な米国通の知見も豊富であることから、あるいは31期組の航空幕僚長候補として、その選考の中心になっていくこともあるのではないだろうか。

 

倉田については、そういったコースとは全く異なり現場で活躍することを選んだ航空自衛官人生である。

栄光のブルーで隊長まで背負った幹部が今後、どんな補職で活躍を魅せてくれるのか。

その動向には特に注目し、そして応援していきたい。

 

※文中、自衛官および関係者各位の敬称略。


(画像提供:航空自衛隊公式Webサイト

◆倉田裕(航空自衛隊) 主要経歴

昭和
62年3月 航空自衛隊入隊(第31期)
62年9月 飛行教育集団司令部付

平成
元年3月 航空教育集団司令部付
2年4月 第3航空団
9年1月 第4航空団
10年3月 幹部学校付
11年3月 幹部候補生学校
13年3月 航空幕僚監部防衛部
18年3月 第4航空団第11飛行隊長
20年4月 南西航空混成団司令部防衛部
21年8月 幹部学校付
22年8月 情報本部
24年8月 第8航空団飛行群司令
26年4月 第3航空団副司令
28年3月 航空自衛隊第5術科学校副校長

Pocket