田村が陸上自衛隊に入隊したのは平成8年3月。
現場指揮官として生きる幹部のコースである、高射学校のFOC(幹部特修課程)に進んだのが、平成20年だ。
その後、第318高射中隊の中隊長や高射教導隊の3科長などの要職を歴任し、29年8月に第8高射特科大隊の大隊長に着任した。
(画像提供:陸上自衛隊第8師団公式Webサイト)
これらキャリアの中でも、やはり特筆したいのが現職の、第8高射特科大隊長のポストであろうか。
高射特科は、我が国に近接する敵の航空機や空対地ミサイルなどを迎撃し、地上の施設やユニットを防衛するための兵科だ。
特に第8師団の場合、九州から伸びる鹿児島の離島に沿って沖縄に至る、第1列島線の北側を守る極めて重要な国防の任務を担っている。
この際にまず威力を発揮するのは、侵入者を迎撃する地対艦ミサイル部隊である。
これら部隊は、我が国に近接しようとするあらゆる海上勢力をピンポイントで撃破する、極めて高い能力を備える。
そしてこの、敵にとって何よりも目障りな地対艦ミサイル部隊は当然攻撃の的になるが、これを阻止しようとするのが高射特科部隊の役割である。
現代の我が国の防衛構想にとって、極めて重要な地対艦ミサイル部隊と12式地対艦誘導弾だが、その活躍も高射特科の活躍なくしては考えられないということだ。
なかでも、この第8師団隷下にあって、離島防衛の要となる第8高射特科大隊の重要性は、我が国の国防そのものだと言ってもよいだろう。
その部隊を任された田村への陸自内外の期待値が、低いわけがない。
特に注目をしていきたい、高射特科の幹部の一人だ。
なお、その田村が属する40期組は、「出世頭」は既に1等陸佐に進み、その中でも極めて一握りのエリートが、2022年夏の将官人事で、最初の陸将補に選抜される予定だ。
しかし田村は、そんな人事はどこ吹く風で、与えられた重要な任務を確実にこなす、いぶし銀の幹部としてこれからも活躍していってくれることだろう。
そう言った幹部にこそ注目し、応援をしていきたい。
ただ正直に言うと、2等陸佐の人事はほとんどの場合、防衛省の公式サイトでリリースされる事がない。
そのため、あるいは田村の記事の更新はこれが最初で最後になり、現職を離れた時にも気が付けないのではないかと、とても残念だ。
そんな事情があり、あるいは動向を見失うことがあるかもしれないが、何かの折にその活躍が報じられることがあれば、是非積極的に記事を更新していきたい。
今後も、田村のような幹部にこそ注目をして、そして応援していきたいと願う。
※文中、自衛官および関係者各位の敬称略。
(画像提供:陸上自衛隊第8師団公式Webサイト)
◆田村大二郎(陸上自衛隊) 主要経歴
平成
8年3月 陸上自衛隊入隊(第40期)
8年10月 第12高射特科大隊(宇都宮)
13年3月 第12高射特科中隊(相馬原)
16年3月 第12旅団司令部3部(相馬原)
18年8月 東部方面総監部装備部(朝霞)
20年3月 高射学校(FOC46期)(下志津)
21年3月 第318高射中隊中隊長(名寄)
22年8月 東北方面総監部防衛部(仙台)
25年3月 研究本部(朝霞)
27年3月 高射教導隊3科長(下志津)
28年8月 第8高射特科大隊長
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