その栗木が陸上自衛隊に入隊したのは平成7年3月。
先述のように野戦特科の幹部で、原隊(初任地)は久留米に所在する第4特科連隊第2大隊第4中隊であった。
そしてその思い出深い原隊である第4特科連隊は、2019年3月に西部方面特科連隊に吸収され、栗木の隷下に入ることになっている。
(画像提供:陸上自衛隊第8師団公式Webサイト)
その後、第4特科連隊では第2中隊長まで昇り、平成15年8月まで勤務。
以降は24年3月から務めた豊川の第10特科連隊第2大隊を除き、幹部学校や各地の司令部での補職が続く。
また中央では、陸上幕僚監部運用支援・情報部で知見を積むなどして平成30年8月、5年ぶりの職種部隊勤務となる西部方面特科連隊長に着任した。
言うまでもなく、西部方面隊は九州から沖縄までをその警備区域として担当し、2018年現在の我が国の安全保障環境の中で、もっとも地域紛争の可能性が高いエリアだ。
その西部方面隊における野戦特科の役割は、着上陸を企図する敵性勢力を海上で撃滅し、あるいは上陸を果たしたとしても大火力の野砲で迎撃されることを想定させ、その意図を断念させる抑止力である。
言い換えれば、栗木以下の特科部隊が精強であればあるほど我が国は戦争から遠ざかり、脆弱であればあるほど、我が国は戦争に近づくことになる。
戦争を未然に防ぐ現実的な抑止力は、最終的に精強な自衛隊の存在に他ならない。
そしてその抑止力に大きな役割を果たすのは、この栗木以下、西部方面特科連隊の精強な幹部曹士たちだ。
それ程までに、この部隊は直接、我が国の平和と安全に関わる重要な役割を担う。
ぜひ、今後の再編を含めて注目して、そして機会があればその幹部曹士に励ましの声を掛けて欲しい。
最後に、栗木と同期である39期組の動向を・・・ご紹介したいところだが、39期組は2020年夏の将官人事で最初の陸将補が選抜される予定の年次だ。
そのため、1選抜(1番乗り)でも1等陸佐であり1ページでご紹介できるものではなく、詳細なご紹介は割愛したい。
いずれにせよ、39期組は2018年度で46歳~となる、自衛隊の中核を担う幹部の世代である。
2020年代後半にかけて、我が国の平和と安全にもっとも重い責任を背負っていくことになる幹部たちだ。
その動向には引き続き注目をして、そして応援していきたい。
※文中、自衛官および関係者各位の敬称略。
(画像提供:陸上自衛隊第8師団公式Webサイト)
◆栗木幹雄(第39期) 主要経歴
平成
7年3月 陸上自衛隊入隊(第39期)
8年3月 第4特科連隊第2大隊第4中隊(久留米)
11年8月 第4特科連隊第2大隊本部(久留米)
14年3月 第4特科連隊第1大隊第2中隊長(久留米)
15年8月 陸上自衛隊富士学校特科部(富士)
17年8月 陸上自衛隊幹部学校付(目黒)
19年8月 北部方面総監部防衛部訓練課(札幌)
21年3月 陸上幕僚監部運用支援・情報部(市ヶ谷)
24年3月 第10特科連隊第2大隊長(豊川)
25年3月 中部方面総監部人事部(伊丹)
27年1月 1等陸佐
27年3月 陸上自衛隊幹部学校(目黒)
27年8月 陸上自衛隊幹部学校付(目黒)
28年7月 第6師団司令部第3部(神町)
28年8月 第6師団司令部第3部長(神町)
30年8月 西部方面特科連隊長
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