加藤木が航空自衛隊に入隊したのは昭和60年3月。
戦闘機パイロットとして各地で活躍し、飛行隊長は当時新田原に所在していた第5航空団第301飛行隊で経験した。
その後、石川地方協力本部長や、パイロットの卵たちにジェット機の基本操縦を教育する第13飛行教育団司令などの要職を歴任し、2015年8月からは特別航空輸送隊司令に着任。
同輸送隊は政府専用機を運行する部隊だが、そのパイロットに選ばれるのは原則として輸送機経験者からであり、言うまでもなく卓越した技術や能力を持つものだけが着任を許される。
航空自衛隊の中では、イーグルドライバーとはまた別の意味でパイロットの頂点といっても良い存在だ。
その政府専用機だが、政府要人はもちろん、天皇皇后両陛下のご外遊の際にも用いられ、また有事の際には邦人救出の為に活用されることも想定されていることは衆知の通りだろう。
あらゆる意味で、任務の失敗はもちろん、僅かな操縦ミスも許されない極めて重要なポジションとなる。
なお余談だが、政府専用機では一般のエアラインで言えばCA(キャビンアテンダント)に相当する仕事も、航空自衛隊員が担当する。
運行中の安全確保のためではあるが、客室には必ず空中輸送を担う幹部が配置され、運行中のあらゆる事態に備えて乗客の安全を確保する。
そして食事の世話や飲み物の給仕も空自の隊員が行うが、搭乗を許される機会があっても、こんなことをされてはなかなか食事が喉を通らなそうである。
なお特別輸送隊の運用する機体は、2019年度(平成31年度)にB747-400が退役し、B777-300ER型機となることが決まっている。
そのため2018年現在、パイロットや輸送幹部の選抜・教育が進められており、運行開始に向けて厳しい訓練の真っ只中だ。
見慣れた政府専用機の退役は寂しい限りだが、新しい機体のデビューも、とても楽しみである。
なお最後に、29期組の動向だが、現在29期組からは既に空将も選抜され、次期航空幕僚長候補として活躍している幹部もいる状況だ。
そして2018年5月現在、29期組で空将にあるものは以下の通りとなっている。
城殿保(第29期)・北部航空方面隊司令官(2016年7月)
三谷直人(第29期)・補給本部長(2016年7月)
増子豊(第29期)・統合幕僚監部運用部長(2016年12月)
長島純(第29期)・航空自衛隊幹部学校長(2016年12月)
井上浩秀(第29期相当)・航空開発実験集団司令官(2017年12月)
※肩書は2018年5月現在。( )内は空将昇任時期。
これら5名のうち、キャリアなどを総合的に考えると、29期組のエースはやはり城殿ということになるだろうか。
2018年5月現在で、航空幕僚長は丸茂吉成(第27期)が務めており、順当に行けば次の空幕長は29期組を軸に前後の3期から選ばれると考えてまず間違いがないだろう。
統幕長人事の行方と併せ、その行方にも注目したい。
※
本記事は当初2017年7月20日に公開していたが、加筆修正が重なったので2018年5月15日に整理し、改めて公開した。
◆加藤木一浩(航空自衛隊) 主要経歴
昭和
60年3月 航空自衛隊入隊(第29期)
平成
12年3月 航空幕僚監部防衛部防衛課
14年4月 第5航空団第301飛行隊長(新田原)
16年3月 航空幕僚監部防衛部運用課
18年3月 航空幕僚監部飛行教育班長
20年4月 第3航空団飛行群司令
21年8月 防衛大学校学生課長
22年8月 石川地方協力本部長
24年8月 航空教育集団司令部教育部計画課長
25年8月 第13飛行教育団司令
27年4月 特別航空輸送隊司令
29年8月 航空支援集団司令部幕僚長
【注記】
このページに使用している画像の一部及び主要経歴は、防衛省のルールに従い、防衛省のHPから引用。
主要経歴については、将補以上の階級のものにあっては防衛年鑑あるいは自衛隊年鑑も参照。
自衛官各位の敬称略。
※画像はそれぞれ、軽量化やサイズ調整などを目的に加工して用いているものがある。
【引用元】
防衛省航空自衛隊 特別航空輸送隊公式Webサイト(プロフィール画像及び政府専用機写真)
http://www.mod.go.jp/asdf/sag/from_commander.html
http://www.mod.go.jp/asdf/sag/gallery.html
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