さて次に、その荒木を含む27期組の人事の動向だ。
荒木が航空自衛隊に入隊したのは昭和58年3月。
1等空佐に昇ったのが平成14年7月であったので、27期組1選抜(1番乗り)のスピード出世であった。
空将補には21年3月に1選抜後期(1番手グループ)での昇任となるなど、常に27期組の航空幕僚長候補として、各階級で経験する要職を担い続けた。
(画像提供:航空自衛隊奈良基地公式Webサイト)
(画像提供:防衛省統合幕僚学校公式Webサイト)
そして実際に、荒木が空将に昇った26年末には、早くから近い将来の航空幕僚長候補として注目を集める存在となっていたが、この際に候補と目されていたのは以下の幹部たちであった。
前原弘昭(第27期)・航空総隊司令官(2014年3月)
丸茂吉成(第27期)・航空幕僚長(2014年8月)
荒木淳一(第27期)・航空教育集団司令官(2014年12月)
※肩書は全て2018年4月現在。( )は空将昇任時期。
以上のように錚々たる同期と錚々たる肩書の大幹部たちばかりだ。
なお丸茂については、空幕長に昇る前の肩書は航空幕僚副長。
この3名は、ポストの格からもキャリアからも、誰が航空幕僚長に昇ってもサプライズではなかったが、最終的には丸茂が僅かに上回り、27期から航空幕僚長に昇っている。
非常なキレ者ばかりが空将に昇った印象的な27期だったが、その中で最後まで空幕長候補で在り続けた荒木の凄さが、おわかり頂けるのでは無いだろうか。
なおこのような状況なので、荒木については間違いなく、現在の補職が最後のポストになるだろう。
遅くとも2018年冬の将官人事で退役になることは確実であり、或いは初夏にも予想される統合幕僚長人事にあわせ、夏の将官人事を前に退役となることも予想される。
最後は頂点の椅子に座ることはなかった荒木だが、その活躍と我が国の国防への貢献では、稀に見る最高幹部の一人であったことだけは間違いない。
長かった自衛官生活もあと僅かとなってはいるが、その活躍には最後まで注目し、そして応援していきたい。
※文中、自衛官および関係者各位の敬称略。
(画像提供:防衛省統合幕僚学校公式Webサイト)
◆荒木淳一(航空自衛隊) 主要経歴
昭和
58年3月 航空自衛隊入隊(第27期)
58年9月 航空教育集団司令部付
61年5月 第2航空団
平成
2年8月 第4航空団
4年4月 幹部学校付(米空軍士官学校)
6年1月 3等空佐
7年3月 第8航空団
8年8月 航空幕僚監部
9年4月 幹部学校付
10年1月 2等空佐
10年5月 タフツ大学フレッチャー法律外交大学院修士課程(米国)
11年7月 ハーバード大学国際問題研究所(米国)
12年8月 航空幕僚監部防衛課
14年7月 1等空佐
14年9月 防衛研修所第50期一般課程
15年8月 航空幕僚監部編成班長
18年3月 南西航空混成団司令部防衛部長
19年7月 航空幕僚監部運用支援課長
21年3月 第7航空団司令 空将補
23年12月 第1輸送航空隊司令
25年3月 統合幕僚監部総務部長
26年12月 南西航空混成団司令 空将
28年12月 航空教育集団司令官
30年12月 航空教育集団司令官のポストを最後に勇退
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