丸茂吉成(航空幕僚長・航空幕僚長たる空将)|第27期・航空自衛隊

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その丸茂が航空自衛隊に入隊したのは昭和58年3月。

1等空佐、空将補、空将に昇ったのはそれぞれ14年1月、20年8月、26年8月であったので、すべての階級で27期1選抜であったことになる。

パイロットとしての初任地は、先述のように石川県の第6航空団。

スクランブルで上がった空から見た光景をみて、この国を護る決心を固めたのは前ページでご説明したとおりだ。

(画像提供:航空自衛隊公式Webサイト

(画像提供:航空自衛隊公式フェイスブック

指揮官としての経歴は、第5航空団(宮崎)、第8航空団司令(福岡県)、西部航空方面隊司令官(福岡県)と、南方を多く経験している。

これは、日本の脅威が対ロシアから対中国に比重が移り、西方重視の防衛政策が打ち出された時代背景と一致する。

すなわち、重要防衛拠点の指揮官に丸茂が選抜され続けたということだ。

また中央(航空幕僚監部)での勤務も長く、その全てを紹介していけばキリがないので一部を抜粋すると、やはり、いわゆる3防を経験していることだろうか。

すなわち、防衛部防衛班長、防衛部防衛課長、防衛部長の3つの防衛ポストを全て歴任しているということだ。

最高幹部に昇る者の中でもごく一部のエリートだけが通る道であり、丸茂はその全てで任務を全うしたが、これ以外にも次期戦闘機企画室長や運用支援・情報部長にも着任している。

特に次期戦闘機企画室長に着任したのは平成19年であり、まさに次期主力戦闘機の選定が佳境に入っていた頃合いだ。

40代の仕事盛りの頃にも丸茂は、日本の30年先のグランドデザインにも深く関わる仕事をしていたことになる。

 

ちなみに、上記写真2枚めは2018年7月、小野寺防衛大臣(当時)が宇宙航空研究開発機構(JAXA)を視察する際に丸茂を伴い、宇宙開発全般の知見を打ち合わせた時のものだ。

いうまでもなくこれは、非常に政治的な動きである。

すなわち、この場に丸茂がいるということは、我が国の宇宙開発技術をそのまま国防に応用し、実務者レベルでの検討を進めよという政権の意思表示に他ならない。

目先だけでなく、この先数十年に渡る国防の成否は、丸茂の働き次第ということになりそうだ。

 

では最後に、その丸茂の同期である・・・

と言いたいところだが、ご存知のように自衛隊の人事は期別管理という手法が採られており、同期から幕僚長が誕生するとその他の同期は原則として、現職を最後に退役となる。

そのためここでは、当然丸茂もその有力候補の一人であるが、河野克俊(第21期)の後を継ぐ、次期統合幕僚長は誰になるのか、ということについて軽く触れておきたい。

2019年1月現在、その候補者たる3幕長は以下の通りとなっている。

 

山崎幸二(第27期)・陸上幕僚長 2017年8月着任

村川豊(第25期)・海上幕僚長 2016年12月着任

丸茂吉成(第27期)・航空幕僚長 2017年12月着任

 

以上のようになっており、河野の延長された任期が2019年5月までであること、現在の東アジア情勢に一定の落ち着きが見られることなどを考えると、河野の再々々延期は考えづらい。

そのためこの3名の中から次の統合幕僚長が選抜されることは確実だ。

そして恐らく、この際に統合幕僚長に昇るのは山崎になるのではないだろうか。

理由については上記、山崎幸二(第27期)のページでも詳述しているのでここでは差し控えるが、要するにまだ、統合幕僚長人事には政治的な要素や持ち回りといった配慮も大きく関係するであろう、ということを予測の根拠にしている。

緊張感が更に高まっている国際情勢であれば、非常時の人事もありえるが、2019年1月現在ではそのような環境にない。

そういったことから、次は陸の山崎で間違いないのではないだろうか。

 

とは言え、丸茂のこれまでの実績や国防への貢献を考えると、人事はまだまだどう転ぶか全く予想がつかない。

そういった意味でも、丸茂の今後の活躍には更に注目し、そして応援していきたい。

 

※文中、自衛官および関係者各位の敬称略。

(画像提供:航空自衛隊公式Webサイト

◆丸茂吉成(航空自衛隊) 主要経歴

昭和
58年3月 航空自衛隊入隊 (第27期)
61年8月 第6航空団(石川県小松)

平成
5年8月 航空自衛隊幹部学校付(東京都)
6年1月 3等空佐
6年8月 防衛省防衛局(東京都)
9年3月 航空幕僚監部防衛部防衛課(東京都)
9年7月 2等空佐
11年3月 第5航空団(宮崎)
14年1月 1等空佐
17年4月 幹部学校付(東京都)
15年7月 航空幕僚監部防衛課(東京都)
16年4月 航空幕僚監部防衛班長(東京都)
17年4月 南西航空混成団防衛部長(沖縄県)
18年3月 航空幕僚監部庶務室長(東京都)
19年7月 航空幕僚監部防衛部防衛課長兼次期戦闘機企画室長(東京都)
20年8月 航空幕僚監部防衛部 空将補
21年7月 第8航空団司令(福岡県)
24年1月 航空幕僚監部運用支援・情報部長(東京都)
25年8月 航空幕僚監部防衛部長(東京都)
26年8月 西部航空方面隊司令官(福岡県) 空将
27年12月 航空幕僚副長(東京都)
29年12月 航空幕僚長(東京都)

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2件のコメント

幕僚長は一体誰が決めるのですか。防衛大臣、総理大臣、現幕僚長後継指名?

指定職人事ですので、内閣総理大臣ということになりますね。
もっとも、実務として誰が決めているのか、というのは別の問題かもしれません。

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