植松佳郎(うえまつ・よしろう)|第35期・第101不発弾処理隊長

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その植松が陸上自衛隊に入隊したのは平成3年3月。

職種は武器科であり、武器や装備の取り扱いを中心にした兵站部門の幹部の道を選ぶ。

原隊(初任地)は千僧駐屯地(伊丹市)に所在していた第3武器隊であり、同地で初級幹部として、厳しい自衛官生活のスタートを切った。

(画像提供:陸上自衛隊第15旅団公式Webサイト

なおその原隊は、配属して数日で第3武器隊・第3補給隊・第3輸送隊・第3衛生隊を統合し、第3後方支援連隊として再編されている。

その後職種部隊では、沖縄・那覇に所在していた第1混成団隷下、第101後方支援隊を経て平成7年8月からは第101不発弾処理隊の現場指揮官として活躍し、さらに13年3月からは、朝霞に所在する東部方面後方支援隊隷下・第102不発弾処理隊でも指揮を執った。

その後は後方支援部隊での任務が続き、吉井弾薬支処補給科長兼ねて誘導弾薬科長、第3後方支援連隊第1整備大隊長、反町弾薬支処長兼ねて反町分屯地司令、吉井弾薬支処総務科長などの要職を歴任。

またその間、スタッフや幕僚のポジションでは、補給統制本部、陸上幕僚監部装備部、富士学校、補給統制本部弾薬部試験室などでも活躍を続けた。

そして平成31年3月、第101不発弾処理隊長に上番し我が国の最精鋭不発弾処理部隊で指揮を執っている。

不発弾処理はもちろん、武器弾薬の後方支援を知り尽くす、非常に頼もしい2等陸佐である。

 

なお、これら不発弾処理を行う部隊については、是非知っておいて欲しい事実がある。

それは、このような命の危険がつきまとう非常に危険な任務を日常的に行っている、彼ら・彼女らの「手当て」についてだ。

この不発弾処理に出動する隊員に、出動1回あたりに支給される手当は、たったの5200円である。

一般企業では、1出張当たりの手当でもうちょっと出すぞ・・・と言いたくなるところだが、「危険性が低い」と判断された爆弾の処理であれば更に低く、時給(時間手当)110円である。

いくらなんでも、この手当はないのではないだろうか。。

自分なら、この手当で任務を引き受けられるのか。

自分の家族に、こんな手当で危険な任務をさせたいだろうか。

もう少し、担うリスクに見合った報酬が支給されてもよいのではないかと、この不発弾処理部隊については待遇が改善されることを願ってやまない。

ぜひ、「防衛族」の議員さんあたりはこんな時こそ、良い影響力を発揮してほしいものである。

 

では最後に、その植松と同期である、35期組の人事の動向について見てみたい。

35期組は最初の陸将補が2017年夏の将官人事で選抜されたばかりの年次であり、2018年7月現在では、以下の幹部たちがその任にあたっている。

 

井土川一友(第35期)・北部方面総監部幕僚副長(2016年7月)

上田和幹(第35期)・需品学校長兼ねて松戸駐屯地司令(2016年7月)

遠藤充(第35期)・第3施設団長(2016年7月)

戒田重雄(第35期)・第1空挺団長兼ねて習志野駐屯地司令(2016年7月)

坂本雄一(第35期)・中部方面総監部幕僚副長(2017年3月)

武田敏裕(第35期)・富士学校機甲科部長(2017年8月)

青木誠(第35期)・陸上幕僚監部監察官(2017年8月)

※肩書は全て2019年5月現在。( )は陸将補昇任時期。

※2018年夏以降の将官人事で昇任した将補について、年次未確認のために追記する可能性あり。

 

以上にような状況になっており、まずは井戸川、上田、遠藤、戒田の4名が頭一つ抜けている形だが、この7名については恐らく、陸将まで昇り要職を歴任していく最高幹部となるだろう。

年齢で言うと、35期はまだ、ストレートであれば2018年度で50歳を迎えることになる年次だ。

そのため、2020年代後半にかけてまさにこれから、日本の平和と安全を中枢で担っていく世代である。

 

植松については、今後も現場で生き、現場を率いていく頼もしいリーダーとして、常に一線にあって活躍をしていくだろう。

このような幹部の存在こそが、我が国の自衛隊を精強に維持し、また発展をしていく原動力になる。

その活躍には今後とも注目し、そして応援していきたいと願っている。

 

※文中、自衛官および関係者各位の敬称略。

(画像提供:陸上自衛隊第15旅団公式Webサイト

◆植松佳郎(陸上自衛隊) 主要経歴

平成
3年3月 陸上自衛隊入隊(第35期)
4年3月 第3武器隊
4年3月 第3後方支援連隊
5年8月 第101後方支援隊
7年8月 第101不発弾処理隊
10年8月 武器学校
13年3月 第102不発弾処理隊
14年3月 武器学校付
15年3月 補給統制本部
17年3月 陸上幕僚監部装備部
18年3月 富士学校
20年3月 補統弾薬部試験室
22年3月 関東処吉井弾薬支処補給科長兼ねて誘導弾薬科長
24年8月 第3後方支援連隊第1整備大隊長
26年8月 東北処反町弾薬支処長兼ねて反町分屯地司令
28年8月 関東処吉井弾薬支処総務科長
31年3月 第101不発弾処理隊長

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5件のコメント

彬様ありがとうございました!
間もなく、防衛年鑑2019が発売されますので、各期の将官名簿を全てキレイにまとめ直しますね!

やはり癒される顔と連隊長の時の活躍や西方で湯浅総監の下で防衛部長として勤務されたことがですかね!

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