横尾が航空自衛隊に入隊したのは平成2年3月。
1等空佐に昇ったのが平成21年1月なので、第34期(相当)1選抜前期となるスピード昇任だ。
空将補昇任は2017年7月だったので、同期1選抜前期昇任の2年遅れと言うことになるが、そもそも将官に昇る幹部がとても少ない航空自衛隊である。十分なスピード昇任であり、堂々の将官昇任であった。
(画像提供:防衛省東北防衛局公式Webサイト)
なおそのキャリアの中で特筆するべきは、やはり2等空佐時代の第6高射群第21高射隊長(車力分屯基地司令)と、それに続く航空幕僚監部装備体系課の勤務だろうか。
横尾はこの時期、米陸軍の世界展開としては初めてとなるXバンドレーダーの車力分屯基地への配備に、基地司令としてあるいは空幕の担当者として最前線で尽力。
その安定運用に大きく貢献し、我が国の東北方面から北海道にかけての防空体制の整備・強化に非常に大きな貢献を果たす活躍をみせている。
またその功績で、米陸軍からセイントバーバラ賞を授与されるなど、その成果は非常に顕著なものであり、きっと忘れ得ない補職の一つとなっているのではないだろうか。
ちなみに同賞は米国防空砲兵協会から高射部隊の功労者に対して贈呈される賞で、対象になるものは主に米陸軍の幹部曹士だ。
それだけ、横尾の仕事が非常なものであったことの証左だろう。
次に、その34期の人事の動向についてさっと見ておきたい。
34期の幹部が空将補に最初に昇任したのは2015年。そして2018年6月現在では、以下の幹部がその任にあたっている。
小笠原卓人(第34期)・西部航空警戒管制団司令兼春日基地司令(2015年7月)
佐藤信知(第34期)・第8航空団司令兼築城基地司令(2015年7月)
小島隆(第34期)・航空開発実験集団司令部幕僚長(2016年12月)
谷嶋正仁(第34期)・南西航空方面隊副司令官(2016年12月)
横尾広(第34期)・南西航空警戒管制団司令(2017年7月)
坂本浩一(第34期)・防衛大学校防衛学教育学群長(2017年12月)
※肩書はいずれも2018年6月現在。( )は空将補昇任時期。
以上のような状況になっており、まずは小笠原、佐藤、小島、谷嶋の4名までが34期の人事で、アドバンテージを持って先行している。
横尾はそれを追う2番手グループといったところであろうか。
いずれにせよ、2018年現在の我が国の安全保障環境において、最前線とも言える南西航空方面隊で警戒管制団司令を務めたほどの横尾だ。
今後更に要職を歴任していくことは確実であり、その活躍には注目して、そして応援していきたい。
※文中、自衛官・関係者各位の敬称略。
◆横尾広(航空自衛隊) 主要経歴
平成
2年3月 航空自衛隊入隊(第34期相当)
13年1月 3等空佐
16年7月 2等空佐
18年4月 第6高射群第21高射隊長
19年8月 航空幕僚監部装備体系課
21年1月 1等空佐
21年8月 幹部学校付
22年8月 航空幕僚監部防衛課
23年3月 航空幕僚監部防衛課編成班長
24年12月 第3航空団基地業務群司令
26年6月 航空幕僚監部装備体系課
27年3月 情報本部画像・地理部長
28年7月 南西航空警戒管制隊司令
29年7月 南西航空警戒管制団司令 空将補
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