その田渕が陸上自衛隊に入隊したのは昭和61年3月。
1等陸佐に昇ったのが平成16年6月なので、30期組1選抜(1番乗り)よりも半年以上も早い、スピード昇任である。
ただこれはいつもどおりのお話で、防衛駐在官として現地に赴く前に、昇任をしているという扱いになっているのだろう。
とはいえ、実質的に1選抜前記昇任のスピード出世であることに変わりはない。
(画像提供:陸上自衛隊飯塚駐屯地公式Webサイト)
1佐時代には、先述のように情報系の補職や高射特科の現場で指揮を執る傍ら、平成24年からは愛知地方協力本部長を務めているのが印象的だ。
キャリアを見ると、情報系の近寄りがたい最高幹部という感じだが、一転して営業活動の責任者である地本長を務めるというのはなかなかの対応範囲の広さである。
私見だが、外務事務官(防衛駐在官)を務め、さらに地本長までつとめるというキャリアの最高幹部はそう多くないのではないだろうか。
現役では、後数名ほどおられたような気がするが、いずれにせよ250名ほどいる将官の中では、数えるほどのキャリアであることは間違い無さそうだ。
最後に、その30期組の人事の状況を見てみたい。
30期組は2017年に最初の陸将が選抜されたばかりの世代であり、既に同期の陸幕長レースでは、出走馬が出揃っている状態だ。
そして2018年7月現在で、その出走馬には以下の幹部たちが名前を連ねている。
髙田祐一(第30期)・第4師団長(普通科出身・2017年8月)
野澤真(第30期)・第2師団長(野戦特科出身・2017年8月)
小野塚貴之(第30期)・第7師団長(施設課出身・2017年8月)
吉田圭秀(第30期相当)・第8師団長(普通科出身・2017年8月)
田中重伸(第30期)・第3師団長(航空科出身・2017年12月)
※肩書はいずれも2018年7月現在。( )は陸将昇任時期。
陸自においては、1選抜で陸将に昇ることはそのまま、同期の陸幕長に選抜されたことを意味する。
そう言った意味では、30期組は髙田、野澤、小野塚、吉田の4名がその候補者に絞られたと考えて、まず間違いないだろう。
なお管理人は、髙田がその中でも頭一つ抜けており、おそらく陸上幕僚長に昇るものと予想している。
田渕については、2018年現在の安全保障環境の中でますますその重要性を高めつつある高射特科出身の幹部であるということ。
併せて、情報系も経験している将官ということで、ますます大きな、かつ独特の存在感を発揮していくことになるのではないだろうか。
あるいは小平などでの要職に就くことも予想され、その活躍がとても楽しみだ。
その動向からは目を離さずに、今後も変わらず応援していきたい。
※文中、自衛官及び関係者各位の敬称略。
(画像提供:陸上自衛隊飯塚駐屯地公式Webサイト)
◆田渕忠史(陸上自衛隊) 主要経歴
昭和
61年3月 陸上自衛隊入隊(第30期)
平成
9年1月 3等陸佐
12年7月 2等陸佐
16年6月 ベトナム防衛駐在官 1等陸佐
19年8月 研究本部研究員
19年12月 情報本部
21年3月 第6高射特科群長
23年4月 研究本部主任研究開発官
24年2月 愛知地方協力本部長
25年12月 統合幕僚監部総務部総務課長
27年8月 中央情報隊副隊長
29年8月 第2高射特科団長 陸将補
コメントを残す