その大判が海上自衛隊に入隊したのは昭和61年3月。
1等海佐に昇ったのが平成17年1月だったので、30期組1選抜前期(1番乗り)の昇任となるスピード出世だ。
1等海佐では、中央の要職や現場指揮官を歴任し、また自衛艦隊や護衛艦隊では主要幕僚を経験。
水上艦艇屋の1等海佐として経験するべきあらゆる要職を経験した上で、30年3月に堂々の海将補昇任を果たした。
(画像提供:海上自衛隊公式twitter)
(画像提供:防衛省派遣海賊対処行動水上部隊公式Webサイト)
なおその間、第4護衛隊の司令であった2011年6月からは、派遣海賊対処行動水上部隊(9次隊)の指揮官としてアフリカ・ソマリア沖に赴任。
上記画像は、上がリムパック2018の時のものであり、下がソマリア沖に派遣された際のものだ。
やはり、7年の歳月と潮風は、大判の若々しさをだいぶ風化させてしまった印象がある。
だが、だからこそ感じさせる風格を身にまとっての、リムパックでの一コマだ。
これほどの大舞台で、海上自衛隊を代表する精鋭を率いる機会は早々あるものではなく、おそらく大判にも、強く印象に残った任務になったのではないだろうか。
では最後に、その30期組の人事の動向について見ておきたい。
30期組は、2017年に最初の海将が選抜された年次に当たり、既に同期の海上幕僚長候補たちが次々と名乗りを上げている真っ最中だ。
そして2019年5月現在で、その候補者たる海将の任には、以下の幹部たちがあたっている。
出口佳努(第30期相当)・海上幕僚副長(2017年8月)
湯浅秀樹(第30期)・護衛艦隊司令官(2017年12月)
西成人(第30期)・教育航空集団司令官(2018年3月)
中畑康樹(第30期)・統合幕僚監部運用部長(2019年4月)
※肩書は全て2019年5月現在。( )は海将昇任時期。
以上のような状況になっており、まずは1選抜の前後期・海将である3名に加え、中畑が2019年4月に昇任をしている。
中でも、1番乗りの昇任は岡山大学を卒業し海上自衛隊に入隊した出口であり、とても印象深い。
30期組から海上幕僚長が選抜される情勢になれば、この4名の中から選ばれることはほぼ間違いないだろう。
大判については、2018年3月の海将補への昇任だったため、このまま海将補として、要職を歴任し、活躍をしていくことになるのではないだろうか。
いずれにせよ30期組は今まさに、我が国の国防においてもっとも重い責任を担っている世代である。
その活躍には今後も注目し、そして応援していきたい。
※文中、自衛官および関係者の敬称略
(画像提供:海上自衛隊第2護衛隊群公式Webサイト)
◆大判英之(海上自衛隊) 主要経歴
昭和
61年3月 海上自衛隊入隊(第30期)
平成
9年1月 3等海佐
12年7月 2等海佐
13年3月 海上幕僚監部補任課
15年8月 第1護衛隊群幕僚
16年8月 あまぎり艦長
17年1月 1等海佐
18年8月 海上幕僚監部指揮通信課指揮通信班長
19年8月 海上幕僚監部補任課補任班長兼海上自衛隊幹部学校
21年4月 海上幕僚監部防衛課分析室長
22年4月 第4護衛隊司令
23年12月 自衛艦隊司令部幕僚
26年9月 護衛艦隊司令部訓練主任幕僚
28年12月 訓練指導隊群司令
29年12月 第2護衛隊群司令
30年3月 海将補
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