福田隆宏(第5航空団司令・空将補)|第35期・航空自衛隊

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その福田が航空自衛隊に入隊したのは平成3年3月。

先述のように、航空教育集団でパイロットとしての教育を受け、平成5年9月には、静岡県浜松に所在する航空救難団浜松救難隊に配属となる。


(画像提供:航空自衛隊新田原基地公式Webサイト


(画像提供:航空自衛隊航空救難団公式Webサイト

そして、1等空佐に昇ったが22年7月、空将補に昇ったのが30年8月。

1等空佐への昇任は1選抜後期のスピード出世であり、空将補への昇任は同期1選抜の2年遅れということになるが、もっとも航空自衛隊の場合、将官に昇る幹部の数が非常に少ない。

現役でも、1佐への昇任が1選抜の2年遅れでありながら空将まで昇り、空幕長レースの有力候補になっている山田真史(第28期)・航空支援集団司令官のような幹部もいるなど、最後まで人事が読めないのが空自だ。

そのため同期1選抜に2年遅れであっても、福田の今後の活躍を考える上では大した予測の根拠にはならないだろう。

なお、同じく2018年8月の将官人事では、小野打泰子(第31期相当)も空将補に昇任し、空自で久しぶりの女性将官が誕生している。

さすがにこのあたりは、「勇猛果敢・支離滅裂」の空自だ。

今後も更に、形式や伝統にとらわれず必要に応じ、多くの有能な女性を将官に登用していくことになるのではないだろうか。

 

福田のキャリアに戻る。

福田は初任地以降、現場では百里、小牧、新潟などの救難団で指揮を執り、救難隊長職は福岡の芦屋救難隊長で経験。

中央では、人事や運用などで要職を歴任したが、課長職は人事教育部補任課長で経験し、2018年8月に空将補に昇任の上で第5航空団司令兼ねて新田原基地司令に着任している。

そのキャリアを考えると、今後もやはり救難の現場に関係する要職を歴任していくことは疑いがないだろう。

 

さて最後に、その福田の同期である35期の動向についてだ。

35期は、2016年夏の将官人事でに最初の空将補が選抜されており、2018年8月現在で以下の幹部たちが空将補の責任を任されている。

 

熊谷三郎(第35期)・北部航空方面隊副司令官(2016年7月)

亀岡弘(第35期)・防衛監察本部監察官(2016年7月)

船倉慶太(第35期)・第1輸送航空隊司令(2017年12月)

稲月秀正(第35期)・第9航空団司令兼ねて那覇基地司令(2017年12月)

福田隆宏(第35期)・第5航空団司令兼ねて新田原基地司令(2018年8月)

※肩書は全て2018年8月現在。( )は空将補昇任時期。

 

過去の事例から見ても、空将補昇任が同期1選抜から2年以内までくらいであれば、空将に昇りさらに重い責任を担う可能性が十分考えられる。

そう言った意味では、上記5名は全員が、近い将来の空将候補と言ってよいのではないだろうか。

 

福田の今後のキャリアについては、もはや予測でも何でも無いが、まだ35期の若さである。

航空救難団司令を経験することは間違いなく、さらにそのタイミングによっては、空将に昇り、航空方面隊司令官に昇る事も考えられるのではないだろうか。

その活躍には要注目であり、今後とも目を離さずに応援していきたい。

 

※文中、自衛官および関係者各位の敬称略。


(画像提供:航空自衛隊新田原基地公式Webサイト

◆福田隆宏(航空自衛隊) 主要経歴

平成
3年3月 航空自衛隊入隊(第35期)
3年9月 教育集団付
5年9月 航空救難団(静岡県浜松)
5年12月 航空救難団(茨城県百里)
11年5月 航空救難団(愛知県小牧)
13年3月 幹部学校付(東京都目黒)
14年3月 航空支援集団司令部(東京都府中)
16年8月 航空幕僚監部防衛部装備体系課(東京都市ヶ谷)
20年8月 航空救難団(新潟県新潟)
21年8月 航空救難団飛行群芦屋救難隊長(福岡県芦屋)
22年7月 1等空佐
23年3月 幹部学校付(東京都目黒)
24年3月 航空幕僚監部防衛部防衛課(東京都市ヶ谷)
24年12月 航空幕僚監部防衛部防衛課編成班長(東京都市ヶ谷)
26年8月 航空幕僚監部人事教育部人事計画課調整官兼企画班長(東京都市ヶ谷)
28年4月 統合幕僚監部運用部運用第2課(東京都市ヶ谷)
28年6月 統合幕僚監部運用部運用第2課災害対策調整官(東京都市ヶ谷)
29年8月 航空幕僚監部人事教育部補任課長(東京都市ヶ谷)
30年8月 第5航空団司令兼ねて新田原基地司令 空将補

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