その髙山が陸上自衛隊に入隊したのは平成5年3月。
初級幹部として、これまた既に廃止されている第1特科連隊の第2大隊で経験を積んだ。
先述のように、部隊廃止にとても縁がある幹部と言えるかも知れない。
(画像提供:陸上自衛隊第11特科隊公式Webサイト)
しかし、このような傾向はあるいは髙山に限ったことではないのかも知れない。
というのも、髙山の職種である野戦特科、とりわけ大火力を運用する自走榴弾砲の部隊は次々に規模を縮小され、また廃止が続いているためだ。
これもまた、時代の陸上自衛隊に対する要請であることは、一定の理解をしないわけではない。
厳しい防衛予算の削減方針を受け、国内での実戦が想定しにくい大火力を運用する部隊から、その装備と人員を削減しやすいと言うことなのだろう。
しかし、自衛隊の根本思想が専守防衛である以上、どこまで行っても有事の際には「いきなり本土決戦」を想定せざるをえない事実は、憲法が変わらない限り変えようがない。
その際に、上陸側に装備や人員で大きな負担を求めることができるのは、機甲科であり野戦特科だ。
すなわち、上陸をしてもこれら大火力が待ち構えているのであれば、上陸には大規模な舟艇や人員が必要になる。
そしてそのような負担を強行した部隊を見逃すほど、海空自衛隊の警備網は甘いものではない。
すなわち、大火力の部隊は存在そものもが戦争の抑止力であり、果たしてここまで機甲科や野戦特科の削減を実施しても良いのか。非常に懸念している。
かつて地対艦ミサイル部隊の大幅削減方針が短期間で覆ったように、現在進行系で誤った国防政策が進行していることはないか。
政治家や財務省には、ぜひ制服自衛官の真摯な声に耳を傾けてほしいと願う。
あるいはそれは、部隊廃止に多く携わってきた髙山も、同じような思いを秘めているのでは無いだろうか。
では最後に、髙山と同期である37期組の・・・と言いたいところだが、37期組は2018年8月に最初の陸将補が選抜されたばかりであり、まだ昇任将補の年次を確認できていない。
通例であれば4名が昇任しているはずだが、分かり次第改めて追記したい。
髙山については、先述のようにFOC課程を履修している幹部だ。
そのため今後も、現場で力を尽くし足元から我が国の国防を支える存在として、活躍をしていってくれることだろう。
そしてその活躍は、2020年代後半にかけて、日本の安全保障の中核となっていくはずだ。
今後とも目を離さずに、そして応援していきたい。
※文中、自衛官および関係者各位の敬称略。
(画像提供:陸上自衛隊第11特科隊公式Webサイト)
◆髙山将一(陸上自衛隊) 主要経歴
平成
5年3月 陸上自衛隊入隊(第37期)
6年2月 第1特科連隊第2大隊
11年8月 第1特科連隊第10中隊長
14年3月 第1師団司令部第3部訓練幹部
18年3月 幹部特修(野戦特科)課程学生
19年3月 富士学校特科部教育課戦術教官
21年3月 統合幕僚監部運用部運用第2課災害派遣班
23年10月 運用企画局事態対処課兼ねて内閣府(防災)防災対策推進室出向
24年8月 第10特科連隊第5大隊長
26年3月 中部総監部防衛部訓練課長補佐(YS69)
28年3月 陸上幕僚監部運用支援・訓練部運用支援課航空支援集団陸上連絡官
28年7月 1等陸佐
30年3月 第11特科隊長
コメントを残す