井土川一友(いどがわ・かずとも)は昭和43年8月13日生まれ、宮崎県国富町出身の陸上自衛官。
防衛大学校第35期の卒業で幹候72期、出身職種は普通科だ。
平成30年3月(2018年3月) 北部方面総監部幕僚副長・陸将補
前職は自衛隊沖縄地方協力本部長であった。
(画像提供:自衛隊沖縄地方協力本部公式フェイスブック)
2019年1月現在、我が国最大の規模を誇り、圧倒的な火力を運用する北部方面隊の幕僚副長を務める井土川だ。
どのような形であれ、将来の陸上幕僚長候補に名前が挙がるような最高幹部であれば、必ず経験するであろう北部方面総監部での要職を務める。
そして井土川も、35期組の1選抜前期(1番乗り)で出世を続け、近い将来の陸上幕僚長候補として活躍している陸将補である。
その井土川。
陸将補に昇任後、2つ目のポストとして現職を務めるが、昇任後の最初のポストは自衛隊沖縄地方協力本部長であった。
ある意味において、2019年現在、陸自の将官が務めるポストの中でも、非常に重要で極めて意義深いポストだ。
それはなぜか。沖縄地本長を巡る最近の流れと併せて、少しご説明していきたい。
沖縄地本長のポストが将補相当職になったのは2008年。
この記事をポストしている時から遡ること11年ほど前になるが、その間に地本長を務めた幹部の多くが、その後さらに出世を重ねており、エース級の幹部が座る指定席となっている。
なお井土川は第24代の沖縄地本長にあたるが、2019年1月現在で現役の沖縄地本長経験者は井土川と現任者を含めて5名。
第21代~第24代で地本長を務めた者たちだが、以下の最高幹部たちだ。
第21代 上尾秀樹(第29期)・防衛大学校幹事(陸将)
第22代 本松敬史(第29期)・統合幕僚副長(陸将)
第23代 山根寿一(第33期)・東北方面総監部幕僚副長(陸将補)
第24代 井土川一友(第35期)・北部方面総監部幕僚副長(陸将補)
第25代 松永浩二(第36期)・沖縄地方協力本部長(陸将補)
※肩書はいずれも2019年1月現在。
ご覧のように、いずれの5名も同期1選抜前期で将官に昇っている最高幹部であり、上尾と本松については、29期組の陸上幕僚長候補として、最後まで残っている最高幹部だ。
山根、井土川、松永も同様に、順調に行けば1選抜で陸将にも昇り、陸幕長候補として活躍を続ける可能性が高い。
つまり沖縄地本長ポストは、同期の中でももっとも仕事のできる切れ者が着任するポストとして、すっかり定着したと言うことである。
言い換えれば、それほどまでに防衛省は沖縄を重視しており、その地元対応の実務責任者である沖縄地本長には、これ以上優秀な人間はいないという人材を充ててきたと言うことである。
それはなぜか。
2008年から陸将補ポストになったということからも明らかだが、宮古島や石垣島などにおける、陸自の新基地建設を予定しての、十分な地元対応を行う上での配置ということになるだろう。
別のコラム、
防衛省・自衛隊の沖縄新ミサイル基地建設 本当の目的はどこにあるのか
で詳述しているのでここでは触れないが、これら沖縄方面の陸自基地が完成し予定通りの部隊配置が完了すると、東北アジアにおける安全保障環境は、一変する可能性すらある。
すなわち、中国人民解放軍の、第1列島線内への封じ込めだ。
専守防衛を国是とせざるを得ない我が国の国防政策の中では、これ以上はないと言うほどに、国家100年の大計に繋がるほどの大きな仕事となるだろう。
そしてその大仕事の中でも、地元対応などの極めて厳しく、そして重要な仕事を担うのも、沖縄地本長の仕事の一つである。
であれば、もっとも優秀な幹部が着任するポストとなっているのも、当然というものだ。
井土川をはじめ、極めて優秀な将官が担当するポストとして定着している理由も、よくご理解頂けるのではないだろうか。
なお2018年12月22日、その沖縄地方協力本部では深夜未明、何者かに庁舎のガラスが割られた上に、放火までされるという凶悪事件が発生している。
極めて暴力的な一部「平和運動家」が沖縄で活動しているのは周知のことではあるが、暴力で行政の運営を妨害しようとするまでに、そのような勢力の活動は先鋭化しているのかも知れない。
そういったことを含めて、沖縄地本長の役割は極めて重要であり、また文字通り、国防のために体を張った要職ということになる。
では、そのような要職を歴任してきた井土川とは、これまでどのようなキャリアを歩んできた幹部なのだろうか。
少し詳細に、その経歴を見ていきたい。
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