その山﨑が陸上自衛隊に入隊したのは平成3年3月。
1等陸佐に昇ったのが22年7月なので、1選抜後期(1番手グループ)となるスピード出世だ。
原隊(初任地)は駒門駐屯地に所在する第1特科連隊であり、同地で初級幹部として、厳しい自衛官生活のスタートを切った。
(画像提供:自衛隊旭川地方協力本部公式Webサイト)
(画像提供:第1特科団公式Webサイト)
その後、職種部隊では、連隊長(相当職)を第4特科群長兼ねて上富良野駐屯地司令で上番。
なお第4特科群は、我が国が誇る最大の特科部隊・第1特科団の隷下にある精鋭部隊だ。
第1特科団はなんというか・・・
ロシア(ソ連)の着上陸を阻止するため、あらゆる大火力を集結させてしまった、北海道の物騒でヤバイ連中である。
同団が誇る大火力の前に、もしそれでもロシアが海岸線から着上陸できるのであれば、もはや我が国に為す術はないだろう。
それほどまでに、陸上自衛隊が誇る火力部隊を集中させている部隊である。
しかしそれでも、ある元幹部自衛官にお聞きした話では、
「それでもまだ、ロシアが仕掛けてくるであろうと想定される飽和攻撃の前には、全く役に立たない」
ということであったので驚いたことがあるが、それほどまでに北方の危機感と緊張感は非常なものということだ。
あるいは山﨑自身も、第4特科群を率いながら同様の危機感を持ち、訓練に精励していたのかもしれない。
またその間、中央(陸上幕僚監部)では、人事部人事計画課、監理部総務課広報室を経て、班長ポストは人事部人事計画課の給与室長(組織変更により人事教育部厚生課給与室長)で着任。
東部方面総監部では、防衛部防衛課長の要職も務めた。
そして平成30年3月から自衛隊旭川地方協力本部長を務め、新しく自衛隊を志す若者の入り口として、また長年に渡り国防に貢献した自衛官を送り出す出口として、その責任者たるポストを務めている。
35期を代表する高級幹部であり、今後さらに役割を大きく変えていく野戦特科の中で、より活躍が期待される幹部の一人と言ってよいだろう。
では最後に、その山﨑と同期である35期組の人事の動向について見てみたい。
35期組は、2016年夏の将官人事で最初の陸将補が選抜された年次にあたる。
そして2019年3月現在、その任に在る最高幹部たちは以下の通りだ。
井土川一友(第35期)・北部方面総監部幕僚副長(2016年7月)
上田和幹(第35期)・需品学校長兼ねて松戸駐屯地司令(2016年7月)
遠藤充(第35期)・第3施設団長(2016年7月)
戒田重雄(第35期)・第1空挺団長兼ねて習志野駐屯地司令(2016年7月)
坂本雄一(第35期)・中部方面総監部幕僚副長(2017年3月)
武田敏裕(第35期)・富士学校機甲科部長(2017年8月)
青木誠(第35期)・富士学校特科部長(2017年8月)
※肩書は全て2019年3月現在。( )は陸将補昇任時期。
※2018年夏以降の将官人事で昇任した将補について、年次未確認のために追記する可能性あり。
以上のようになっており、まずは井土川、上田、遠藤、戒田の4名が、35期組の陸上幕僚長候補として1歩抜け出した状態にあると言って良さそうだ。
山﨑については、特に現職がそうであるように、広報系や、また面倒見の良さを感じさせる人事系での活躍が目立つ高級幹部である。
おそらく今後も、野戦特科の知見を活かす傍らで、人事系のポストでも要職を歴任していくことになるのではないだろうか。
いずれにせよ、2020年代半ばにかけて、我が国の平和と安全を中心になって担っていくことは間違いのない自衛官の一人である。
今後ともその活躍には注目し、そして応援していきたい。
※文中、自衛官および関係者各位の敬称略。
(画像提供:自衛隊旭川地方協力本部公式フェイスブック)
◆山﨑誠一(陸上自衛隊) 主要経歴
平成
3年3月 陸上自衛隊入隊(第35期)
3年9月 第1特科連隊(駒門)
11年3月 第1師団司令部第3部
12年8月 幹部学校
14年8月 富士学校企画室
16年3月 長官官房広報課報道室
18年3月 陸上幕僚監部人事部人事計画課
20年8月 陸上幕僚監部監理部総務課広報室
22年7月 1等陸佐
22年8月 陸上自衛隊幹部学校
23年8月 東部方面総監部防衛部防衛課長
26年3月 第4特科群長兼ねて上富良野駐屯地司令(上富良野)
28年3月 陸上幕僚監部人事部人事計画課給与室長
29年3月 陸上幕僚監部人事教育部厚生課給与室長
30年3月 自衛隊旭川地方協力本部長(旭川)
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