その石丸が陸上自衛隊に入隊したのは平成元年3月。
原隊(初任地)は北熊本に所在していた第8特科連隊であり、同地で初級幹部として、厳しい自衛官生活のスタートを切った。
(画像提供:自衛隊高知地方協力本部公式ツイッター)
(画像提供:陸上自衛隊第1特科団公式Webサイト)
その後、幹部候補生学校の区隊長を経て、多くの幹部自衛官が思い出深いポストと語ってくれることが多い中隊長ポストは、第1地対艦ミサイル連隊の第1中隊長で上番。
なお先述のように、原隊はFH-70を主力とする野砲部隊であったが、中隊長ポストは照準射撃で海上の敵を殲滅する部隊だ。
同じ野戦特科ではあるが、この2つの兵科で共に指揮を執る幹部の数は、余り多くはなく、どちらかの部隊指揮官になることが多い。
そういった背景があることから、石丸は西部方面特科隊の再編準備を任される部隊幹部になったと思われる。
また連隊長ポストは、第7師団隷下の第7特科連隊長として上番していることは先述の通りだ。
その間、幕僚やスタッフのポジションでは、陸上幕僚監部の防衛部防衛課、防衛部運用課、統合幕僚監部の防衛部運用課、運用部運用第2課などで活躍。
方面隊では中部方面総監部で防衛部訓練課長を務めた他、研究本部では主任研究開発官の職責も担っている。
また平成16年7月からは、イラク復興業務支援隊の幹部としてサマーワに渡り、非常に困難な任務を完遂し無事帰国を果たしていることも、ぜひ注目して欲しい。
そして平成30年3月、自衛隊高知地方協力本部長に着任し、自衛隊の「入口、出口、窓口」として指揮を執り続けている。
33期のみならず、陸自の野戦特科を代表する幹部の一人であると言ってよいだろう。
では最後に、その石丸と同期である33期組の人事の動向について見てみたい。
33期組は2014年に最初の陸将補が選抜され、2020年に最初の陸将が選抜される予定になっている年次だ。
そして2019年5月現在で、以下の幹部たちが陸将補の任にあたっている。
冨樫勇一(第33期)・陸上幕僚監部人事教育部長(2014年8月)
山根寿一(第33期)・第13旅団長(2014年8月)
牛嶋築(第33期)・東北方面総監部幕僚長兼ねて仙台駐屯地司令(2014年8月)
末吉洋明(第33期)・陸上幕僚監部運用支援・訓練部長(2014年8月)
廣惠次郎(第33期)・陸上幕僚監部指揮通信システム・情報部長(2015年3月)
児玉恭幸(第33期)・教育訓練研究本部副本部長兼ねて総合企画部長(2015年8月)
梅田将(第33期相当)・警務隊長(2015年12月)
酒井秀典(第33期)・第1ヘリコプター団長兼ねて木更津駐屯地(2016年3月)
宮本久徳(第33期)・高射学校長兼ねて下志津駐屯地司令(2016年12月)
堀江祐一(第33期相当)・陸上自衛隊高等工科学校長兼ねて武山駐屯地司令(2017年3月)
楠見晋一(第33期)・中央情報隊長兼ねて陸上総隊司令部情報部長(2017年8月)
更谷光二(第33期)・東北方面総監部幕僚副長(2018年3月)
※肩書はいずれも2019年5月現在。( )内は陸将補昇任時期。
※2018年8月以降の将官人事で昇任した陸将補の確認が未了のため、加筆する可能性あり。
以上のような状況になっており、まずは冨樫、山根、牛島、末吉の4名が中心になって、33期組の最高幹部人事は進んでいくことになるだろう。
石丸については、野戦特科にあって砲兵のみならず、地対艦ミサイル部隊の指揮にも通じる知見を持つ幹部だ。
その知見はこれからの離島防衛に無くてはならないものであり、今後ますます、その活躍の場を広げていくことになるだろう。
いずれにせよ石丸は、この先2020年代前半にかけて、我が国の平和と安全を中心になって担っていく世代である。
その活躍には今後とも注目し、そして応援していきたい。
※文中、自衛官および関係者各位の敬称略。
(画像提供:自衛隊高知地方協力本部公式ツイッター)
◆石丸信二(陸上自衛隊) 主要経歴
平成
元年3月 陸上自衛隊入隊(第33期)
元年10月 第8特科連隊(北熊本)
8年3月 幹部候補生学校区隊長(前川原)
11年8月 第1地対艦ミサイル連隊第1中隊長(北千歳)
14年8月 陸幕防衛部防衛課(市ヶ谷)
16年7月 イラク復興業務支援隊(サマーワ)
16年12月 陸幕防衛部運用課(市ヶ谷)
18年3月 統幕運用部運用第2課(市ヶ谷)
21年8月 中部方面総監部防衛部訓練課長(伊丹)
24年3月 第7特科連隊連隊長(東千歳)
26年3月 研究本部主任研究開発官(朝霞)
28年3月 西部方面特科隊副隊長(湯布院)
30年3月 自衛隊高知地方協力本部長
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