その佐藤が陸上自衛隊に入隊し、最初に配属になった原隊(初任地)は、真駒内に所在する第18普通科連隊。
その後、すぐに習志野に異動になり、第1空挺団普通科群で厳しい任務をこなしたことは先述のとおりだ。
(画像提供:防衛省公式Webサイト)
(画像提供:防衛省公式Webサイト)
その後、職種部隊では空挺教育隊、第1空挺団普通科群を経て、多くの幹部自衛官が「最も思い出深いポスト」として語ってくれる中隊長も、第1空挺団の普通科中隊長で上番。
幕僚やスタッフのポジションでは、航空総隊司令部の連絡官や第11旅団第2部長、富士学校普通科部、西部方面総監部情報部、部隊訓練評価隊副隊長などで要職を務めた。
また中央(陸上幕僚監部)でも、運用支援・情報部の運用支援課で、その辣腕を振るっている。
そして平成30年8月から、第47普通科連隊長として即応予備自衛官の練度の維持向上に努めているのは先述のとおりだ。
空挺戦士としてこれ以上はない部隊を任された、今の安全保障環境に無くてはならない高級幹部の一人と言ってよいだろう。
なお上記2枚の写真は、その47普通科連隊にある即応予備自衛官の皆さまが、有事、すなわち西日本豪雨などに際して、古巣に駆けつけ活躍している様子を撮影したものである。
普段は民間企業で働きながら、緊急事態に際してはこのように、自衛官に戻ることができるマインドも本当に素晴らしいが、それを認める会社の経営者も本当に素晴らしい人であると思う。
ぜひ、世の中の「会社経営者」と呼ばれる人は、少しでも国防に貢献する意志があるのであれば、元自衛官を雇用した上で、即応予備自衛官に送り出す形で国防に貢献して欲しい。
それが、私たち国民一人ひとりにできる、国防の具体的な形だ。
では最後に、その佐藤と同期である35期組の人事の動向について見てみたい。
35期組は最初の陸将補が2017年夏の将官人事で選抜されたばかりの年次だ。
そのため2019年9月現在では、1選抜の幹部が陸将補ということになるが、以下の幹部たちがその重責にあたっている。
井土川一友(第35期)・統合幕僚監部運用部副部長(2016年7月)
上田和幹(第35期)・需品学校長兼ねて松戸駐屯地司令(2016年7月)
遠藤充(第35期)・富士学校普通科部長兼ねて諸職種協同センター副センター長(2016年7月)
戒田重雄(第35期)・第1空挺団長兼ねて習志野駐屯地司令(2016年7月)
坂本雄一(第35期)・陸上総隊司令部運用部長(2017年3月)
武田敏裕(第35期)・防衛監察本部監察官(2017年8月)
青木誠(第35期)・陸上幕僚監部監察官(2017年8月)
垂水達雄(第35期)・第2師団副師団長(2018年8月)
※肩書は全て2019年9月現在。( )は陸将補昇任時期。
以上にような状況になっており、まずは井戸川、上田、遠藤、戒田の4名に続き、坂本、武田、青木の3名が頭一つ抜けている状況だ。
この7名については恐らく、陸将まで昇り要職を歴任していく最高幹部となるのではないだろうか。
佐藤については、空挺のキャリアが長く、またこれからの陸上自衛隊に求められる「軽武装・高機動力」の部隊を率いる事に長けている幹部だ。
これからもますます、2018年3月から始まった陸自大改革を現場で支える指揮官として、活躍してくれるのではないだろうか。
いずれにせよ、佐藤はまさに今後10年の、我が国の安全保障を中心になって支える幹部の一人である。
その活躍には今後も注目し、そして応援していきたい。
※文中、自衛官および関係者各位の敬称略。
(画像提供:陸上自衛隊中部方面混成団公式Webサイト)
◆佐藤篤(陸上自衛隊) 主要経歴
年 月 第18普通科連隊(真駒内)
年 月 第1空挺団普通科群(習志野)
年 月 空挺教育隊(習志野)
年 月 第1空挺団普通科群(習志野)
年 月 幹部候補生学校(目黒)※
年 月 航空幕僚監部・航空総隊司令部(横田)
年 月 第1空挺団普通科中隊長(習志野)
年 月 陸上幕僚監部運用支援・情報部運用支援課(市ヶ谷)
年 月 第11旅団第2部長(真駒内)
年 月 富士学校普通科部(富士)
年 月 西部方面総監部情報部(健軍)
年 月 部隊訓練評価隊(北富士)
年 月 部隊訓練評価隊副隊長(北富士)
30年8月 第47普通科連隊長(海田市)
(※注)
このキャリア一覧は中部方面混成団の公式Webサイトから引いたものですが、目黒に所在していたのは幹部学校です。
幹部候補生学校(前川原)か、幹部学校(目黒)のいずれかの間違いだと思いますが、おそらく幹部学校での、いずれかの高級幹部課程だと思われます。
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