千葉徹(ちば・とおる)|第34期・第1特科団副団長

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その千葉が陸上自衛隊に入隊したのは平成2年3月。

先述のように、その職種は野戦特科であり、原隊(初任地)は福岡県久留米市に所在する第4特科連隊であった。

当時、西方の守りの要として野戦特科の大火力が集中する、大規模部隊であった。


(画像提供:陸上自衛隊第1特科団公式Webサイト

その西方の精鋭部隊で、初級幹部としての知見を積み上げた千葉だが、中隊長ポストでは東北に転じ、青森の八戸に所在する第4地対艦ミサイル連隊で着任。

さらに連隊長職も、同じ第4地対艦ミサイル連隊で着任し、2019年現在の安全保障環境でもっとも存在感を発揮する地対艦ミサイルの指揮官として、揺るぎないポジションを築いた。

またその間、平成18年にイラク復興支援隊の要員としてバクダットに渡るなど、世界の厳しい安全保障環境も肌感覚で経験。

中央では陸幕人事部や監理部などで要職を歴任し、平成30年8月に第1特科団の副団長に着任した。

その充実した地対艦ミサイル部隊の指揮官としてのキャリアは、南西方面の島嶼部に現実的な紛争の危機を持つ我が国にとって、欠くべからざる非常に重要なキーマンとなる。

第1特科団副団長のポストもまた、敵性勢力の着上陸を阻止する総合的な戦闘を指揮する上で、千葉をさらに一つ上の指揮官に押し上げる知見となるだろう。

 

では最後に、その千葉と同期である34期組の人事の状況についてみてみたい。

34期組は、最初の陸将補が選抜されたのが2015年夏の将官人事であった。

そして最初の陸将が選抜されるのが2021年夏の将官人事の予定なので、陸将補が同期の出世頭ということになるが、2019年9月現在でその任に在るのは、以下の幹部たちだ。

 

荒井正芳(第34期)・陸上幕僚監部防衛部長(2015年8月)

柿野正和(第34期)・北部方面総監部幕僚長兼ねて札幌駐屯地司令(2015年8月)

小林弘樹(第34期)・陸上幕僚監部装備計画部長(2015年8月)

橋爪良友(第34期)・西部方面総監部幕僚長兼ねて健軍駐屯地司令(2015年8月)

佐藤真(第34期)・第1師団副師団長兼ねて練馬駐屯地司令(2016年3月)

鳥海誠司(第34期)・陸上自衛隊教育訓練研究本部教育部長(2016年7月)

松永康則(第34期)・中部方面総監部幕僚副長(2017年3月)

大場剛(第34期)・第4師団副師団長(2017年8月)

平田隆則(第34期相当)・西部方面総監部幕僚副長(2018年3月)

今村武(第34期)・北部方面総監部幕僚副長(2019年4月)

※肩書はいずれも2019年9月現在。( )は陸将補昇任時期。

 

以上のように、まずは荒井、柿野、小林、橋爪の4名が頭一つ抜けた状態にあり、第34期の最高幹部人事の中心になって行くことになりそうだ。

 

千葉については、今まさに我が国の危機に必要な知見を多く積み上げた地対艦ミサイルのエキスパートであり、なおかつ増強が予定されてる職種の幹部だ。

再編・増強が予定され、総合的な野戦特科部隊になることが予定されている西部方面特科連隊長のポストが格上げになった場合には、同ポストに着任するなど、国防の最前線の要職に就くことになるのではないだろうか。

 

いずれにせよ、我が国の喫緊の課題である島嶼部防衛を考える上で、非常に重要なキーマンとなる幹部である。

その活躍には特に注目し、そして応援していきたい。

 

※文中、自衛官および関係者各位の敬称略。


(画像提供:陸上自衛隊第1特科団公式Webサイト

◆千葉徹(陸上自衛隊) 主要経歴

平成
2年3月 陸上自衛隊入隊(第34期)
年 月 第4特科連隊
年 月 防衛大学校訓練部
年 月 特科教導隊
年 月 第4地対艦ミサイル連隊中隊長
年 月 幹部学校教育部
年 月 研究本部総合研究部
18年 月 イラク復興業務支援隊
年 月 陸上幕僚監部人事部
年 月 陸上幕僚監部監理部
24年1月 1等陸佐
24年4月 第14旅団司令部第3部長
年 月 中部方面総監部人事部厚生課長
年 月 富士学校特科部研究課長
28年8月 第4地対艦ミサイル連隊長兼八戸駐屯地司令
30年8月 第1特科団副団長

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