中川理(なかがわ・まこと)|第36期・第13特科隊長

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その中川が陸上自衛隊に入隊をしたのは平成4年3月。

1等陸佐に昇ったのは平成28年7月であった。

非常に穏やかなお話の仕方、それでいて聴くものを引きつける、非常に不思議なスピーチをされる武人である。

(画像提供:陸上自衛隊日本原駐屯地公式Webサイト

職種部隊では、多くの幹部自衛官にとって「もっとも思い出深いポスト」と言われる中隊長ポストを、帯広の第5特科隊第2中隊長で上番。

その後は職種部隊から離れ、第11師団司令部第3部、富士学校特科部教育課戦術教官、国際活動教育隊評価支援課、富士教導団本部第3科長などとして辣腕を発揮する。

また中央では、陸幕の人事部厚生課や統幕の運用部運用第1課などでも、スタッフとして力を発揮した。

その他、国際舞台では平成22年からネパール国際平和協力隊の一員として現地に赴いたほか、24年からは極めて過酷な任務となった、スーダン防衛駐在官としても現地に赴任していることは先述のとおりだ。

そして平成31年3月、第13特科隊長兼ねて日本原駐屯地司令に上番し、先人から引き継いだ精鋭部隊をますます鍛え上げるなど、充実した任務を遂行している。

国際経験豊かな非常な紳士であり、魅力的なお人柄の1等陸佐である。

 

では最後に、その中川と同期である36期組の人事の動向について見てみたい。

36期組は、2017年8月の将官人事で最初の陸将補が選抜された年次にあたる。

そして、2020年3月現在でその任にあるのは、以下の幹部たちだ。

 

松永浩二(第36期)・沖縄地方協力本部長(2017年8月)

德永勝彦(第36期)・教育訓練研究本部研究部長(2017年8月)

堺一夫(第36期)・西部方面総監部幕僚副長(2017年8月)

藤岡史生(第36期)・陸上自衛隊幹部候補生学校長兼ねて前川原駐屯地司令(2017年8月)

若松純也(第36期)・東部方面総監部幕僚副長(2017年12月)

南川信隆(第36期)・西部方面総監部幕僚副長(2018年3月)

大野真(第36期)・中央会計隊長(2018年8月)

※肩書は全て2020年3月現在。( )は陸将補昇任時期。

※2019年夏の将官人事で昇任した将補について、年次未確認のために追記する可能性あり。  

 

以上のような状況になっており、まずは松永、徳永、堺、藤岡の4名が、36期組の中で頭一つ抜けた形になっている。

恐らく今後の陸将人事も、この4名を中心に選抜が進められていくことになるのではないだろうか。 

 

中川については、ご覧頂いたように準戦時下のスーダンにおいて非常に厳しい任務を完遂するなど、国際経験に優れた幹部だ。

CRF隷下にあった国際活動教育隊での勤務経験もあるなど、今後もおそらく、国際畑での活躍を重ねていくことになるのではないだろうか。

あるいは、地方協力本部長に転じるかも知れず、その活躍の場は今後も非常に多くありそうだ。

 

いずれにせよ、36期組は2020年代後半にかけて、我が国と世界の平和を守るために、もっとも力を発揮してくれる年次である。

その活躍には今後も注目し、そして応援していきたい。

 

※文中、自衛官および関係者各位の敬称略。

(画像提供:陸上自衛隊日本原駐屯地公式ツイッター

◆中川理(陸上自衛隊) 主要経歴

平成
4年3月 陸上自衛隊入隊(第36期)
年 月 第5特科隊第2中隊長(帯広)
年 月 第11師団司令部第3部(真駒内)
年 月 富士学校特科部教育課戦術教官(富士)
年 月 陸上幕僚監部人事部厚生課(市ヶ谷)
22年 月 ネパール国際平和協力隊(ネパール)
年 月 国際活動教育隊評価支援課(駒門)
24年6月 スーダン防衛駐在官(スーダン)
年 月 富士教導団本部第3科長(富士)
28年7月 1等陸佐
年 月 統合幕僚監部運用部運用第1課(横田)
31年3月 第13特科隊長兼ねて日本原駐屯地司令

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