その中村が海上自衛隊に入隊したのは昭和63年3月。
1等海佐に昇ったのが平成19年7月だったので、1選抜後期(2番手グループ)となるスピード出世だ。
その後、10年に渡り1佐として現場指揮を重ね、平成29年8月に海将補に昇っているので非常に頼もしい、上滑りしない豊富な現場経験が持ち味の将官と言ってよいだろう。
堂々の、海将補昇任であった。
(画像提供:海上自衛隊鹿屋基地公式Webサイト)
そのキャリアは、多くの固定翼航空屋の最高幹部がそうであるように、航空機を運用する第1航空群や第4航空群といった最前線で指揮を執り、一方で中央では海幕の指揮通信情報部でキャリアを重ねる。
その間、外務省に出向しイタリア防衛駐在官を務めるなど、幅広い分野で持ち味を発揮していることも特徴だ。
おそらく今後も、同様の要職を重ねながら海将の椅子を狙っていくことになるだろう。
では気になる、同期であるその32期の動向についても見てみたい。
32期組は、2019年夏の将官人事で最初の海将補が選抜される予定の年次にあたる。
そのため2018年6月現在での最高位は海将補ということになるが、その任にあるものは以下の幹部たちだ。
二川達也(32期)・横須賀地方総監部幕僚長(2013年8月)
伊藤弘(第32期)・内閣審議官(国家安全保障局担当)(2013年8月)
白根勉(第32期)・ 掃海隊群司令(2014年12月)
小座間善隆(第32期相当)・潜水艦隊司令部幕僚長(2015年3月)
柴田弘(第32期相当)・海上幕僚監部装備計画部長(2015年8月)
梶元大介(第32期)・第3護衛隊群司令(2016年12月)
中村敏弘(第32期)・第1航空群司令(2017年8月)
石田伸介(第32期)・防衛装備庁調達事業部総括装備調達官(2017年12月)
瀨戸慶一(第32期相当)・第2航空群司令(2018年3月)
※肩書はいずれも2018年6月現在。( )内の数字は将補昇任時期。
以上のような状況になっており、まずは二川、伊藤、白根の3名が抜けているというところだろうか。
それぞれ航空屋、水上艦艇、掃海屋といった配置だが、それを潜水艦の小座間が追っており、とても楽しみな32期の動向になっている。
いずれにせよ、32期組はこの中から2019年度に最初の海将が選抜されることが確実であり、その後2020年代半ばにかけて我が国の平和と安全を担っていくことになる中核世代だ。
中村を始めその活躍からは、目が離せそうにない。
今後とも注目し、そして応援していきたい。
※文中、自衛官および関係者各位の敬称略。
(画像提供:海上自衛隊鹿屋基地公式Webサイト)
◆中村敏弘(海上自衛隊) 主要経歴
昭和
63年3月 海上自衛隊入隊(第32期)
平成
11年1月 3等海佐
15年1月 2等海佐
15年3月 第1航空群第1航空隊(鹿屋)
16年3月 第1航空隊飛行隊長
18年5月 イタリア防衛駐在官
19年7月 1等海佐
21年10月 海上幕僚監部指揮通信情報部情報課情報班長
23年8月 海上幕僚監部指揮通信情報部情報課情報運用室長
24年8月 第4航空群第3航空隊司令(厚木)
25年8月 第1航空群主席幕僚(鹿屋)
27年8月 海上幕僚監部指揮通信情報部情報課長
29年3月 第1航空群司令
29年8月 空将補
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