その岩村が陸上自衛隊に入隊したのは平成2年3月。
原隊(初任地)は大分県・由布院に所在する第112特科大隊だが、その第112特科大隊も2018年3月で廃止され、一足先に203mm自走榴弾砲から迫撃砲に換装を完了している状態だ。
国防の最前線でも、大火力の兵装は次々に、機動力を重視した軽武装へと切り替えられていっている。
(画像提供:陸上自衛隊第5旅団公式Webサイト)
その後職種部隊にあっては、多くの幹部自衛官が思い出の配置として振り返る中隊長職を、駒門駐屯地に所在していた第1特科連隊と日本原駐屯地に所在していた第13特科隊で。
大隊長ポストは久留米駐屯地に所在する第4特科連隊の第5大隊で上番した。
その間、中央(陸上幕僚監部)では人事部厚生課での勤務があり、また富士教導団、北方面総監部の人事部募集課長など人事や訓練などの領域でも強みを発揮。
そして平成29年3月、第5特科隊長に着任し過渡期にある特科部隊において、その戦力の移行準備に尽力をし続けている。
現場を知り尽くし、現場改革を成し遂げるために無くてはならない高級幹部の一人と言ってよいだろう。
では最後に、その岩村と同期である34期組の人事の動向について見ていきたい。
34期組は、2015年に最初の陸将補が選抜された年次にあたる。
そして2018年12月現在で、陸将補の任に在るのは以下の幹部たちだ。
荒井正芳(第34期)・自衛隊東京地方協力本部長(2015年8月)
柿野正和(第34期)・陸上幕僚監部監理部長(2015年8月)
小林弘樹(第34期)・統合幕僚監部運用部副部長(2015年8月)
橋爪良友(第34期)・陸上総隊司令部運用部長(2015年8月)
佐藤真(第34期)・第1師団副師団長兼ねて練馬駐屯地司令(2016年3月)
鳥海誠司(第34期)・陸上自衛隊教育訓練研究本部教育部長(2016年7月)
松永康則(第34期)・中部方面総監部幕僚副長(2017年3月)
大場剛(第34期)・第4師団副師団長(2017年8月)
※肩書はいずれも2018年12月現在。( )は陸将補昇任時期。
※2018年8月の昇任陸将補人事は期別未確認のため、追記する可能性あり。
以上のように、まずは荒井、柿野、小林、橋爪の4名が頭一つ抜けた状態にあり、第34期の最高幹部人事の中心になって行くことになりそうだ。
岩村については、過渡期にある特科戦力の指揮官として、職種部隊の現場で力を尽くしてきた実績が目立つ高級幹部だ。
第5特科隊のみならず、新たな特科部隊全体の戦力化のために無くてはならない幹部であり、さらにその知見と経験を活かして活躍していってくれるだろう。
大きくは、その活躍は我が国の新しい国防体制そのものであり、非常に注目が高まるキーマンの一人である。
これからもその動向には注目し、そして応援し続けていきたい。
※文中、自衛官および関係者各位の敬称略。
(画像提供:陸上自衛隊第5旅団公式Webサイト)
◆岩村福雄(陸上自衛隊) 主要経歴
平成
2年3月 陸上自衛隊入隊(第34期)
2年9月 第112特科大隊(湯布院)
4年3月 第111特科大隊(湯布院)
6年3月 幹部候補生学校(前川原)
8年3月 第1特科連隊(駒門)
9年3月 第1特科連隊中隊長(駒門)
11年3月 富士教導団(富士)
14年3月 富士学校付(富士)
15年3月 第13特科隊中隊長(日本原)
16年8月 中央業務支援隊付(市ヶ谷)
17年8月 陸上幕僚監部人事部厚生課(市ヶ谷)
21年8月 第4特科連隊第5大隊長(久留米)
23年8月 幹部候補生学校(前川原)
27年4月 東北方面総監部人事部募集課長(仙台)
28年1月 1等陸佐
29年3月 第5特科隊長(帯広)
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